令和5年12月朝礼
全国の地方公務員のみなさん、おはようございます。今日から師走、令和5年も12月を迎えました。あと31日で新しい年を迎えることになります。諸準備に怠りないように改めて気を引き締めてください。
さて、今朝の朝日新聞は、安倍派の東京地検特捜部が自由民主党安倍派の政治資金パーティーで所属議員がノルマを越えて集めた資金を政治資金収支報告書に記載することなく所属議員に裏金としてキックバックしていたという疑いで東京地検特捜部が立件を視野に捜査をしているという報道を行いました。見出しとしては「1億円超の裏金か」とあり、なかなかセンセーショナルな見出しとなっています。今、ちょうど『安倍晋三vs財務省』という本を読んでいますが、いわゆる安倍一強時代には最強官庁と言われた財務省も政治の不正を監視する検察も首相官邸に強力に支配され、多くの「筋」が曲げられてきたにもかかわらずそれが正されてこなかったことを忸怩たる思いで見てきた公務員のみなさんも多かったのではないかと思います。
確かにさまざまな改革を進めようとすれば強い権限が必要になりますが、権力を集中してしまうとその周囲には改革とは無縁の権力だけに群がろうとする輩もたくさん集まってきます。そうしたときには過度に集中した権力を分散させることが求められることになるのは世の法則であり、自治体の行政改革についても同じことが言えます。簡単に言ってしまうと、改革は権限を集めるか、分散させるかであり、程度の問題なのです。ですから、どちらが正しいかということではなく、どうすればよりよいサービスを効率的効果的に住民に届けることができるかということに腐心していただくとありがたいと思います。
また、いかに強い権限を持っていてもいつかはそれが崩れます。かつて自民党内で権勢を誇った田中派木曜クラブも、竹下派経政会も、細川政権や民主党で一世を風靡した小沢派も今や見る影もありません。そして、今は経政会のライバルであった安倍派清和会が権力の絶頂にありながら後継者をつくることもできずに東京地検特捜部の前でなすところを知らない状況に置かれているのです。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」です。身近なところでも同じような経験をしている人も多いと思いますが、受け止めきれない理不尽があってもまともに受けることなくいったん受け流しておいて、時が解決することもあるということを歴史から学ばれてはどうかと思います。
昨日はいろいろな動きがありました。前原新党という法律の隙間を縫って国会議員が自分の身分と金を守るためだけの党を立ち上げて非難を浴びました。比例復活という自力で当選できない政治家の生命維持装置として対立政党に移れないからと新党を立ち上げて政党交付金を掠め取るという軽犯罪法で禁止された乞食行為のようなことを国権の最高機関で毎年のように見せられる国民はたまったものではありません。関西大阪万国博覧会も開催まで500日を切り、前売り券の販売やラッピング電車も走り始めましたが、その建設費の増大や撤退ドミノへの不安など課題も多く数えられています。名古屋高等裁判所では生活保護費の基準額大幅引き下げが憲法の保障する生存権を侵害するものであり、厚生労働大臣は裁量権を逸脱して重大な過失があるとして、初めての賠償命令が下されました。
いずれも国民が政治に無関心となったうえで権力が暴走した結果が可視化されたり是正したりしようとする反作用ですが、行政は望むと望まざるとにかかわらずその一端を必ず担わなければならないのであり、そこに至る過程で間違っていることがあれば、職務上の小さな声を上げて間違いを指摘するということに心掛けたいものです。後になればなるほど傷口が大きくなり行政では取り返しがつかなくなり、司法判断や政治責任に拡大し、誰も幸せにならないのですから。
失敗を繰り返すことが可能な世界があれば取り返しがつかなくてもいいのですが、そんなときには「Re:ゼロから始める異世界生活」がオススメです。この世界では何度でもやり直しが効きますよ。しかし、やり直せるのは「死に戻り」ですから、何度も死にたくなければ、今生きている世界の理不尽な現状を小さくても少しでもいいから直していく努力をしていきましょうよと呼びかけて、今月の朝礼を終わります。
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