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令和6年5月の朝礼

 全国の地方公務員のみなさん、おはようございます。すでに令和6年も1か月を過ぎて、今日から5月を迎えました。4月は急に夏日になったり、雹が降ったりと寒暖の差が激しく、気圧の高低もあって体調を崩された人も多いのではないでしょうか。また、採用や異動で慣れない環境下での仕事や生活でいわゆる五月病が注目されていますが、自身のこともそうですが、周囲の仲間のみなさんにも気を配っていただき、兆しがあれば状況に応じて早期のメンタルヘルスをさりげなく勧めてみてください。

 さて、GWだというのに選挙事務に従事されたみなさん、大変お疲れさまでした。とりわけ、長崎3区と島根1区もさることながら、東京15区を抱える江東区の職員のみなさんは常識を疑う政治的不祥事と重ねての選挙に心身ともに疲れ切っているのではないかと思います。そこに選挙期間を通じた異常な選挙運動の応酬に神経をすり減らしたのではないかと思います。中央政界の制度疲労と泡沫政党の乱立で大変な混乱であったと思いますが、選挙制度をしっかりと守って頂いたことに感謝を申し上げます。

 ところで、先月24日、「人口戦略会議」から出された消滅可能性自治体の一覧は大きな衝撃を持って受け止められました。1741自治体のうちその4割以上に当たる744自治体が消滅する可能性があるとされたのです。10年前の日本創生会議による消滅可能性都市よりも落ち着いた自治体も、その多くは外国人の流入により日本人人口の減少が抑えられているのが実態です。わが国は移民政策を取っていないのが建前ですので、そこで若年女性の人口が増えても将来的にプラスにならないことは明らかですし、逆に定着を図るのであれば同化を誘導しながらの多文化共生施策強化が不可欠となってきます。一方で、ブラックホールのように若年人口を吸い込み続ける25自治体には、安心して子どもが生み育てられる施策を全国に先駆けて重点的に進める責務が求められます。単純な地方創生のように人口や税を奪い合うゼロサムゲームではなく、日本国全体がよりよい国となる政策を国政が担う覚悟が今こそ必要とされるときはありませんし、地方でできることは地方で担い、国に対してしっかりと提言を突きつけていく気概が大切になります。

 それなのに、ここ半年ほど、自治体ではハラスメントに関するニュースが相次ぎました。先月24日には愛知県東郷町長がセクハラとパワハラが認定されて町議会議長に辞職願を提出し、明日付で退職するとされています。岐阜県岐南町長はセクハラで3月5日に、岐阜県池田町長もセクハラで4月26日にそれぞれ辞職しました。福岡県若宮市長は昨年末にパワハラ発言で辞職勧告が決議されていますし、国政では長谷川岳参議院議員の北海道庁や札幌市、帯広市などの職員に対するパワハラ行為も指摘されています。過去には大阪市長や明石市長、大和市長なども批判されていました。セクハラは論外ですが、パワハラも4年任期の首長と基本的に終身雇用の一般職との間における認識の違いを受け止めての組織運営を今の時代の首長は求められています。また、職員側にもハラスメント行為を芽のうちに組織として受け止めて是正を強く求める姿勢が必要でしょう。よりよい自治を実現するためにお互いの理解を深めることが大切です。

 理解を深めると言えば、4月からスタートしたNHK朝ドラ『虎に翼を』は、ジェンダー問題どころか男女平等すら実現していなかった時代をリアリティをもって描写しながら、一歩ずつ理解を深めていく姿を描いています。今週は森次晃嗣と古谷敏が登場して驚きましたが、作中では共亜事件と言っているものの検察ファッショででっちあげられた帝人事件を取り扱った刑事公判に入っており、昭和史の基礎知識がなくても理解しやすいような番組作りに腐心している様子が昭和史を趣味としてきた身としては手に取るようにわかります。わからないことをわかりやすく伝えるということは公務においても重要なことですが、すべてを正確にすれば相手には伝わるということではなく、時にはデフォルメし、時には端折りながら確実に伝えたいことを伝えるという技術をぜひ身に付けて、お互いの思いの行き違いを少なくして行っていただくようにお願いして、今月の朝礼を終わります。

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