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大義なき野合の終焉

 自民党総裁選で石破茂新総裁が誕生したことは、自民党的には大きな振り子が安倍政治的なところから菅、岸田を経て大きく揺り戻した感じです。派閥に最後までこだわった麻生太郎副総裁に大義はありませんでした。
 23日に代表選挙のあった立憲民主党では、当初勢いのあった小泉進次郎対策としてベテランの重鎮である野田佳彦元首相を代表に選出しましたが、鵺(ぬえ)のような自民党はその上を行って野田対策として石破総裁を選出したかたちとなりました。
 小泉元環境相であれば答弁が迷走しますし、高市早苗経済安保相であれば明確に筋立てようとする議論の矛盾を衝くことができたでしょうが、石破総裁となれば、のらりくらりの石破節で論戦もうやむやにしてしまうことでしょう。
 立憲民主党内では、前回総選挙敗北からの党勢の立て直しに腐心してきた若き泉健太代表を、総選挙に敗北した前代表と前身政党代表として政権を明け渡した元代表が引きずり下ろした格好ですが、今となっては対石破決戦兵器としては、若さと将来性、継続性という面でも、故安倍元首相にシンパシーを感じていた野田代表よりも泉前代表の方が適任だったかもしれません。大義よりも小手先の見映えにこだわった政治は吉とはなりません。
 昨日、玉木雄一郎国民民主党代表とお話をしていましたが、国民民主党はずっと軸をぶらさずに動かなかったところ、いつの間にか自民党も立憲民主党も国民民主党の位置まで近寄ってきたという産経新聞の指摘を引用して笑っていましたが、自民と立憲はストレートやフックを繰り出すのではなく、国民民主党の頭の上でクリンチ合戦をするのかもしれません。
 まさに政界全体が見失った自分たちの立ち位置を探して右往左往しているかのようですが、さらに立ち位置を見失っているのは日本維新の会です。国政維新と大阪維新の認識の違いも含めて一体性が希薄化してきていますし、東京や愛知や香川など全国で国会議員候補予定者や地方議員の離党も相次ぎ、足立康史代議士の党員資格停止や本拠地である大阪での連戦連敗に加えて兵庫長崎両県知事の不祥事で退勢は覆うべくもありません。
 その維新に抱きつきに行ったのが教育無償化を実現する会です。所属議員5人のうち小選挙区で勝ち抜いているのは前原誠司代表のみ。参議院議員を除くとあとの3人は立憲民主党や国民民主党の名前で拾われた議員ばかり。維新にへばりつきに行ったのも比例での維新票を期待すればこそ。どこまで行ってもコバンザメ政党です。
 しかし、今朝の京都新聞のスクープによると、神奈川18区での選挙区調整が不調に終わり、教育無償化は維新に合流できなくなったようです。これはマクロに見れば維新とのブリッジとして期待していたかもしれない野田立憲にとっても痛手ですが、ミクロに滋賀県政を観察すれば、大阪での維新票だけが頼りだった滋賀2区での徳永久志代議士の再選の芽がなくなったことを示します。
 滋賀2区にはすでに自ら退路を断って立憲から出馬を表明し公認申請した平尾道雄米原市長がいます。前原代表が野田代表に滋賀2区の選挙区調整をしたいと述べていましたが、立憲としては裏切り者である徳永代議士に対して身を捨てて有権者に選択肢を示そうとしている平尾市長を切る訳にはいかないでしょう。
 そのことは同時に、去年4月の統一地方選挙で立憲民主党滋賀県連代表として、滋賀県ではまだまだ足腰が弱くヨチヨチ歩きの日本維新の会の候補たちを殺しに来た徳永代議士にひれ伏すことを、本部から強制されようとしていた滋賀維新の面々にとっても朗報で、ホッとしたのではないかと思います。
 折から自民党滋賀県連では来年の参院選候補予定者として予備選で宮本和宏前守山市長を選出しました(正式な最終手続は残っていますが)。宮本候補の誕生は対嘉田由紀子最終決戦兵器の完成であり、定見もなくキャッチフレーズだけで滋賀県政を壟断してきた嘉田支配の終わりの始まりとなるでしょう。
 大義なき野合である維新への乗り移りに失敗した教育無償化は総選挙で前原代表以外の衆議院議員を失って解党し、それぞれが個人として維新入りするのでしょうか。その場合、野党系の参院候補者としては、中沢啓子県議しかいないでしょう。中沢県議であれば、男女対比や南北対比、官僚対党人ということで野党系としても戦いようはあります。
 角田航也県議が米原市長選に転出し、中沢県議が参院に転じようとするのであれば、県議会の与野党バランスも変わってきます。そうすれば、自民側でもバランスをシビアに考える必要がなくなり、来年1月の高島市長選挙に自民系県議が出馬しても良くなる可能性があります。
 来月の甲賀市長選挙は無風の感じですし、野洲市長選挙には栢木進市長に2人の新人が挑戦します。そして湖南市長選挙は「三雲謀議」が露見して大義なく野合しようとしていた人々が疑心暗鬼に陥っています。
 やはり、政治は大義こそが大事であり、有権者国民県民市民を見ているかどうかだけが政治家が信頼を得られる第一歩であるということが、ここ数日の流れで理解いただけたのではないでしょうか。

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