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令和3年12月の朝礼

 全国の地方公務員のみなさん、おはようございます。今日から12月、令和3年も最後の月に突入しました。今年の仕事は今年のうちにめどをつけるようにし、新しい年を新たな気持ちで迎えられるようにしていきましょう。
 昨日は二つの大きなニュースがありました。ひとつは立憲民主党の代表選挙です。自由民主党の総裁選挙は9月29日に行われ、岸田文雄総裁が選出されましたが、第一次岸田内閣の組閣後、臨時国会が召集され、解散総選挙となり、与党が勝利をして第二次岸田内閣がスタートしました。その後、政府与党では令和4年度に向けた当初予算編成と税制議論が進んでいます。
 一方、野党の立憲民主党は大きく議席を減らすこととなり、敗戦の責任を取って枝野代表と福山幹事長が辞任をし、結党以来初めてのフルスペックでの代表選挙が行われました。4人が出馬しての選挙戦でしたが、昨日、泉健太新代表が選出されました。泉新代表の記者会見は言語も内容も明瞭な受け答えで記者にも好印象のようでした。そういえば岸田総理も総裁選挙の公約通り毎日ぶら下がり記者会見を行い、説明責任を果たしています。いずれも当然のことのように思えますが、菅前総理や枝野前代表は記者会見を極力回避し、説明責任を果たさず、誤魔化し、有耶無耶にし、最後には逆ギレするということを重ねてきただけに、当然のことをやろうとしている岸田総理や泉新代表の行動が評価されるという皮肉な結果となっています。やはり、政治や行政に携わる者はすべからく、有権者や住民から負託を受けてみんなの代わりに権限を行使しているという責任を片時とも忘れることなく、説明責任から逃げてはいけないということなのでしょう。
 もう一つの大きなニュースは、新型コロナウイルスのオミクロン株がとうとう日本国内でも確認されたということです。検出されたのはナミビアの外交官でしたが、政府の対応はこれまでとまったく異なり、同じ飛行機に搭乗していた70人も隔離措置が取られたということです。ヨーロッパではすでに市中感染に移っており、空気感染の可能性も排除できないことから、安全側に立っての対応であるといえます。このことは入国規制についても同じことがいえ、昨日0時からすべての渡航者について入国制限が行われました。昨年の1月には中国武漢市で発生した最初の新型コロナウイルスに対しては、湖北省だけに渡航制限を限定したために、大量に国内侵入を許した同じ轍を踏まないという政府の覚悟が見えてきます。
 経済の回復基調に多少ダメージがあったとしても、短期間に大量にウイルスが侵入し、医療機関がひっ迫することで経済の全面停止に追い込まれるということを避けたいという目的がよくわかりますし、当面の渡航制限を行っている間に感染力の高いオミクロン株の毒性やワクチン耐性が明らかになれば、相当の対応を取るまでの時間を稼ぐことができるということで、まさに危機管理の要諦であるともいえます。ヨーロッパ医薬品庁がオミクロン株に特化したワクチンは3、4か月以内に承認が可能であるとしたり、アメリカのファイザー社が「パクスロビド」、メルク社が「モルヌピラピル」という開発中の経口薬があらゆる新変異株に有効であると発表したりして、その先の対応も準備が進みつつあります。国内では、ワクチンも本日から3回目のブースター接種が始まりますが、市町村の現場においてはほぼすべてがファイザーワクチンの接種であったところ、3割ほどはモデルナワクチンの交差接種となるようなので、これもまた説明責任を求められてくるものと予想されます。今回は時間と経験があるので、うまくオペレーションを組み立てて行ってほしいと思います。
 先週のNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は、主人公の安子の祖母と母が突然空襲で亡くなり、枕崎台風の後には父がバラックで亡くなり、そして夫の稔の戦死公報が届くというように、毎日視聴者に戦争の現実を突きつけていきました。そのうち枕崎台風は昭和20年8月15日の終戦から程ない9月17日に被爆地広島を中心に大きな被害を出した台風です。その詳細は柳田邦夫の『空白の天気図』にまとめられていますが、これは大きな時代の流れの中で巨大な歯車に噛み込まれていく細かな塵埃のような係員たちが、被爆、終戦を経て一日も欠測せずに業務に勤しんだ記録でもあります。公務員のみなさんにはぜひ一読いただきたい一冊です。昨日は台風21号も発生しましたが、これからは寒気や積雪との戦いに切り替わります。どこまでも気の抜けない自治体現場ではありますが、予算編成作業をしっかりと積み上げながら、しっかりと住民のための自治を確かなものにしていきましょうとお願いして、今月の朝礼を終わります。

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