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キッチハイク創業のきっかけ。事業の形が見えた時、僕の原体験はみんなの理念になった。

「なんで、キッチハイクを立ち上げたんですか?」

創業から6年。数えきれないくらい聞かれたことです。
その度に、僕はこう答えてきました。

「世界を変えるためです。」

笑う人がいました。笑わずにいてくれる人がいました。
怪訝な顔をする人がいました。真顔で聞いてくれる人がいました。
離れていく人がいました。仲間になってくれる人がいました。

どちらの人に会っても、僕は嬉しくなります。
よし、これからだ!と思えるからです。

今、時代は「共感」から「実感」のフェーズに入りました。
「共感」と「実感」がなめらかにつながり、流れるように中の人になることができます。(中の人の範囲が広がったとも言えます。)共感した人は、実感する人になり、気づけば、共感される人になっているのです。

笑わない人、真顔で聞いてくれた人、仲間になってくれる人。
つまりユーザーの皆さん、応援してくれる株主の方々、チームのみんなの「共感」が「実感」になり、キッチハイクの当事者が毎日増えていることが、僕の情熱のエンジンになっています。本当にありがとう!

はじめまして、キッチハイクの山本雅也です。

チームは、今総勢20人!オフィスは、東上野にある ROUTE COMMON。「食でつながる暮らしをつくる」を企業理念に、みんなで食べる「みん食」という文化を広めるべく、キッチハイクを育てています。

2019年4月現在、毎月2,000人以上が “食” をきっかけに交流するアプリになりました。ここ最近は、何度も利用くださる方が増えていて、本当に嬉しいです。(2018年にいちばん利用した方の参加回数は、なんと年間200回!)

1. 仮説検証は 47ヶ国450日  「もぐもぐ・ザ・ワールド」

どうしたら、世の中はもっと良くなるだろう? 10代の頃から、僕はずっと考えていました。もう6年以上前のことになりますが、キッチハイクの種を見つけた瞬間を振り返ります。

それはある日、共同体のなりたちに関する文章を読んでいた時のことです。

「部外者と友好を深めるためには、一緒に食事をするのがいちばんだ。地球上のすべての民族が根源的にこの慣習を持っている。」

そんな一説に出逢いました。なるほど!これはシンプルで具体的だ!と思いました。僕と共同代表の藤崎は、考古学者が遺跡から過去の人類の生活様式を掘り起こしたような気分になったのです。

2013年5月 キッチハイクβ版 ローンチ直後の一枚(左・藤崎 / 右・山本)

その後は転がるように、当時務めていた広告会社を辞め、キッチハイクと共に人生を送ることになります。(藤崎との出会いについてはまた後日書きます)

発見した種は、事業化するにあたり、仮説検証が必要です。
そこでまず、世界中の人とごはんを食べる旅に出ることにしました。それが最善の策と確信したと同時に、掘り起こした種へ畏敬の念を込めて、通らねばならぬ道のように思えたからです。

シンプルに、自分と違う人、自分といちばん遠い人とでもつながれれば、誰でもどんな人とでもつながれるはずだ、そう思ったのです。

「 “食” で人はつながるか?」

僕は、身を以て、証明しないと気が済みませんでした。

Japan / Korea / Malaysia / Thailand / Vietnam / Philippines / Taiwan / Australia / New Zealand / Indonesia / Burunei / Sri Lanka / India / USA / Mexico / Guatemala

Cuba / Peru / Bolivia / Brazil / Uruguay / Argentina / Chile / Morocco / Spain / Portugal / England / France / Italy / Belgium / Denmark / Sweden / Estonia / Latvia / Poland / Germany / Austria / Turkey / Korea

47ヶ国450日の旅と食と出会いのエピソードは、さまざまな縁に恵まれ、撮りためた人と食卓のポートレートとともに、一冊の本になりました。
食を通して、人と出会う、人とつながる最高に幸せな時間は、「食でつながる暮らし」の価値の証明になり、僕の原体験にもなったのです。

2.  「みんなで食べる」 を生活の新しい態度にしたい

2019年、今、改めて考えます。
食べることが持つもっと大きな可能性についてです。キッチハイクは、僕がこれまで考えていたものよりも、もっと大きなものでした。

キッチハイクは、これまでに2つの大きな決断をしました。
ひとつめは、2016年4月に利用シーンを旅先から日常にピボットしたこと。
ふたつめは、2018年6月に飲食店でも開催されるようにしたことです。

「食でつながる暮らしをつくる」という軸足をぶらさずに、よりたくさんの人に届くよう、社会に溶け込むよう、トライ&エラーを続けています。

原体験は、強いです。僕の経験上、事業を軌道に乗せるまでのエネルギーとして、これ以上のものはありません。強烈なゴールイメージがどんどん湧いてきて、躊躇なく全力の挑戦を繰り返すことができました。

事業が軌道に乗ってから大切になるのは、理念と仲間です。軌道に乗るまでの過程で、自然と無駄が削ぎ落とされてシンプルになった原体験は、メンバー全員が実感できる理念になりました。

僕らは、もっともっとなめらかに、食でつながることが誰にでもできる世の中にしたいのです。食事の目的が栄養摂取になりがちな現代こそ、「みんなで食べる」が、古くも新しいコミュニケーションとして成立することは間違いありません。

The future is already here - it's just not very evenly distributed.
未来はすでにここにある。ただ均等にないだけだ。

僕が好きな SF作家 William Gibsonの言葉を紹介します。まさにその通りだと思います。

もう、時代は変わっているはずです。みんなで食べることは、「生活の新しい態度」になり始めているのです。今、僕らが描くのは、知らない人から親しい友人まで、当たり前のように食でつながり、人生が豊かになる未来。

言うなれば、食から始まるおいしい革命。一緒にごはんを食べて、笑って、わかりあって、お腹いっぱいになる、こんな幸せな革命があったなんて!
2019年でも、まだ突拍子もなく聞こえるでしょうか。6年前は、もっと意味不明だったかもしれません。みんなで食べることが、時代を越えて、また“ふつう”になるのです。今、おいしい未来が広がっています。

3.  自分の狂気に遠慮しない

創業時から、変わらないことがあります。それは、僕らしかやらないことを、僕らしかできない方法でやろう、ということです。

スタートアップやイノベーションの種は、日々の生活から滲み出てくるものだと思います。個人的な体験や思想、狂気から混沌として生まれてくるのです。 

だからスタートアップのプロダクトは、創業メンバーの人生そのもの。 人生を具現化させたそのもの、写し鏡なんだと思います。 キッチハイクは、「こうゆう世界になったらいいと思う!」という極めて個人的な想いからスタートしています。 世界が求めてる!と思い込んだ強烈なおせっかいが原動力です。 

キッチハイクの構想がぼんやり見えた次の瞬間、「あ、これは、僕らでやるパターンか。」と思ってしまったあたり、笑えるくらい思い込みから始まっています。もちろん今は、市場規模やビジネスモデルでも将来性を語ることはできますが、正直それは後付けです。 

人は、自分が思うほど器用ではないと思います。 自分のように考え、自分のように思い付き、自分のように行動することしかできません。 でも、それでいいんだと思います。むしろ、これからの時代はそれがいいんだと思います。

スタートアップやイノベーションの方程式が確立されていけばいくほど、逆説的に、狂ったほど属人的な思想、ストーリーから生まれてくるものがおもしろく見えます。 

生き方に正解がなくなってしまった時代です。僕らは、自分の狂気に遠慮せず、研ぎ澄まし、昇華させることに、躊躇する理由はもうなくなったんだと思います。

・・・

「なんで、キッチハイクを立ち上げたんですか?」

これからも数えきれないくらい聞かれることでしょう。
今日も明日も、僕はこう答えます。

「世界を変えるためです。」

まだ、笑う人がいるでしょう。怪訝な顔をする人がいるでしょう。離れていく人がいるでしょう。

でも、僕らはもう確信しています。
笑わずにいてくれる人がいることを。真顔で聞いてくれる人がいることを。仲間になってくれる人がいることを。
しかも、その数がどんどん増えていることを。

食でつながる世界をモチーフにした「胃袋パンゲア」
Whole Earth Catalogへのオマージュを込めて

それでは、初回はこのあたりで。チームでたくさん書いていきます。ぜひお楽しみに。新メンバーも募集中!キッチハイク!

食やコミュニティ、キッチハイクにまつわることを書いています。食でつながる暮らしをつくります。