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【こんか漬けとお酒】日本酒のうま味②

前回の記事では、日本酒にはよく旨味があるという紹介がありますが、そもそも旨味とは何ぞやという話を投稿しました。前回の記事を要約すると、旨味とは、甘味や塩味とバランスよく合わさることで、その味わいにコクや深みを与え、美味しさを膨らませてくれる味のことで、代表的なものはグルタミン酸(アミノ酸の一種で昆布に多く含まれてます)、旨味物質は単独よりそれらを組み合わせることで更に旨味が増す事、また長期寝かせることでも旨味が増すという内容でした。

さて今回は日本酒にも旨味があり、そして日本酒における旨味とはという話をしようかと思います。

旨味がある日本酒とは

端的に言えば、旨味のある日本酒とはアミノ酸の一種の「グルタミン酸」に代表される旨味成分を豊富に含むお酒のことです。

繰り返しになりますが「グルタミン酸」はアミノ酸の一種なので、このアミノ酸の量が多い日本酒が、よりうま味のある日本酒になる傾向があるということが言えます。

日本酒は米が麹菌の働きによって分解され糖になり、その糖が酵母の働きによってアルコールと炭酸ガスなどに変わり作られるのですが、日本酒におけるアミノ酸は、その麹菌や酵母がお米のたんぱく質を分解し出来上がります。そのたんぱく質はお米の表面の部分に多く含まれているので、日本酒を製造する際の精米をすることで、アミノ酸は少なくなっていきます。

つまり、精米歩合が低いお酒(精米を多くし、よくお米を削ったお酒)の大吟醸酒などは、アミノ酸の量が少なくなる傾向があるということになります。

一方、精米歩合の高いお酒(お米を大吟醸酒ほど削っていないお酒)である純米酒はアミノ酸の量が多くなり、旨味成分も多くなる傾向があるということが言えます。さらには純米酒は醸造アルコールを添加しないこともあり、旨味が薄められないのですね。

このように旨味成分が多い日本酒は、コクがあって深みのある味わいになります。

日本酒と料理の関係

前回の記事で、旨味物質は単独で使うよりも、アミノ酸の一種であるグルタミン酸と、核酸系旨味物質であるイノシン酸やグアニル酸を組み合わせることで、旨味が飛躍的に強くなることが知られている(和食では昆布とかつお節、洋食や中華では野菜類と肉類を組合せて出汁を取る理屈)と書きました。

この旨味の相乗効果は日本酒と料理の関係にも当てはまります。それぞれを単独で頂くより、食事と合わせる相乗効果で料理とお酒それぞれが美味しく美味しく味わうことが出来ます。日本酒には食中酒として昔から嗜まれてきましたが、それには旨味という点からみてきちんとした理由があるのです。

こんか漬けの味の源は「いしる」

ここでうちの商品の話を。魚のぬか漬けである「こんか漬け」は魚を塩漬けしたあと、米糠や糀で本漬けし1年以上寝かせ完成させる食品です。その際、漬物の差し汁として使われるのが「いしる」です。

いしる

この「いしる」はいわしを原料とした魚醤で、肴の本漬け込みの際だけでなく、貯蔵庫で寝かせている間も切らさないように差し続けています。

「いしる」にはグルタミン酸を始めとする非必須アミノ酸だけでなく、総遊離アミノ酸が多く含まれています。旨味を多種多量に含んでいる「いしる」を1年以上吸収し作られる「こんか漬け」漬けの旨味の含有量は当然、非常に高いものです(その分、クセも非常に強いと言えますが)。それ故、「こんか漬け」に合わせるお酒に、同じく旨味成分が多い純米酒を勧めているのです。

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