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【こんか漬けとお酒】「能登ワイン マスカットベリー」

約2か月ぶりの投稿となります。先月の父の日商戦、そして今月はお中元商戦と慌ただしく過ごし、ようやく本日の連休初日にPCに向かう時間を作れました。

今回のお話は再度、石川県の伝統的な保存食である魚のぬか漬け「こんか漬け」と、それに合うお酒のお話ですが、紹介するお酒は最近量は多くないもののちょくちょく出る(売れる)地ワインについてになります。

1.能登ワイン マスカットベリーについて

今回紹介するのは石川県の奥能登、鳳珠(ほうす)群穴水(あなみず)町にある醸造元・能登ワインのロゼ、「マスカットベリー」です。

マスカットベリー

以前ここの記事で紹介した「ヤマソーヴィニヨン」の能登ワインの人気酒になります。このお酒でよく目にする商品の宣伝コピーや蔵元自身の紹介文は以下の通りです。

ふくよかで上品な甘さと爽やかな酸味のバランスがよいワイン。美しい色合い、チャーミングな味わいが特徴のロゼワインです。
女性に人気のワインです。

2.味わいや香り

実際味わってみると、優しいマスカットの香りやイチゴキャンディーのような甘い香りが特徴で、さわやかな酸味と甘味が融合したふくよかな味わいの印象があります。
甘口なのですが、スッキリとした酸味が後味を引き締めているせいか、和食との相性は抜群だと思います。和のみならず、中華料理・シンプルにチーズ・洋菓子などといただくのも良いのではないでしょうか。

このワインのスペックを記載するなら以下の感じかなと思います。
■ボリューム:やや軽め
■甘さ:甘口
■タンニン(渋味):控え目
■酸味:ややまろやか、すっきり
■果実味:ややフルーティ
■香り:イチゴ、イチゴジャム、マスカット、赤リンゴ、ブラックベリー、洋梨など
■飲み頃温度:5~8℃

3.マスカットベリーAという品種

マスカット・ベーリーAとは、醸造(ワイン)に用いられる黒ブドウ品種で日本固有品種の代表です。寒さや湿気の多さに強く、特に能登の気候に適しています。栽培は容易で、糖度は20度前後にも達します。

マスカットベリー


濃いピンク色の果皮が特徴で、果皮は厚く果実は大きく、菌性の病害への抵抗性が強い甘く濃厚な葡萄です。

4.能登の里海里山の恵み~世界農業遺産の葡萄畑

能登は世界農業遺産にも認定されている豊かな里山里海の地です。低い山並みと丘陵地が多く、複雑な海岸線を有する土地柄ゆえ、季節風が吹き注ぎ、また雨量の多さと照りつく夏の陽射しが果実に奥行きのある味わいを添えます。
「能登ワイン」は、2万本を超えるワイン専用葡萄品種を能登の風土と気候を生かして広大な畑(東京ドーム6個分)で栽培・収穫を行っています。

能登ワイン畑

5.直接圧搾法

能登ワインのマスカットベリーは、マスカットベーリーA種を直接圧搾し、その搾り果汁をステンレスタンクで低温発酵させ造られます。皮や種との接触時間が無いため、色が薄く、渋みも殆ど無い爽やかなロゼワインが出来ます。

搾汁

このような製法ですので、この品種特有のイチゴキャンディーのような甘い香りや熟した果実の風味が豊かで、甘酸っぱいチャーミングな味わいで飲みやすいワインが出来上がります。

6.国際ワインコンクール銅賞

2004年にスタートした能登ワインは、「能登の葡萄で、世界にも評価される、質の高い能登のワインを」という大きな夢を掲げています。

入口能登ワイン

この10余年の間にマスカットベリーAロゼは、国際ワインコンクール銅賞(2007~9、11,12,14)というように数多く受賞しています。

7.このワインに合うこんか漬け

マスカット・ベーリーAで作られるロゼワインは和食全般に合わすことが出来ます。それは、この品種に含まれているフラネオールなどの成分が、日本の出汁と似ているからです。マスカット・ベーリーAの甘く繊細な香りは、味噌や醤油を使ったものと合わせるのが一般的です。

一方、味の濃厚なものと合わせるとこのワインが負けてしまうので、癖の強いこんか漬けの中では塩分控えめで口当たりがやさしい金沢海鮮ぬか漬けとのマリアージュがお勧めです。

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この海鮮ぬか漬けは甘えび・ばい貝・水たこといった金沢港で水揚げされる刺身素材の魚介を新鮮なまま、まろやかな(塩分控えめで口当たりが優しい)糠床に短期間で漬け込み、素材の味を十分活かしつつ旨味も引き出す言わば速醸タイプの発酵食です。発酵風味がほのかに漂う魚介と、甘くもありつつ酸味があるこのロゼワインとの組み合わせは絶妙です。

また、マスカット・ベーリーAはオリーブオイルとの相性が良いので、同じくオリーブオイルとの組み合わせが抜群なふぐの子を使ったカプレーゼやカルパッチョ、アヒージョなどもお勧めします。

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オリーブオイル系のパスタでは、ふぐの子のペペロンチーノはニンニクと発酵食、そしてロゼとの組み合わせが絶妙となります。

8.最後に~地ワインと地元食材について

以下を今回も書きます。一般的にその土地の料理はその土地で生産されたワインと相性がいいと言われています。
一つは水が関係しているようです。料理もワインも同じ水を使用して造るため、自然と相性がよくなります。
また、その土地の人の味覚でワインも料理も誕生します。当然、その味はその土地の人の味覚に合わせて作られるため、風味が似通ってきます。

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一般的に「似たもの同士」は、お互いを引きたてると言われているため、相性が良くなります。


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