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【こんか漬けとお酒】「能登ワイン ヤマソーヴィニヨン」

今回も再び石川県の伝統的な保存食である魚のぬか漬け「こんか漬け」と、それに合うお酒のお話ですが、今までは清酒ばかりでしたが趣を変え今回は地ワインを紹介します。

1.能登ワイン ヤマソーヴィニヨンについて

今回紹介するのは石川県の奥能登、鳳珠(ほうす)群穴水(あなみず)町にある醸造元・能登ワインの赤ワイン、「ヤマソーヴィニヨン」です。

ヴィニヨンヤマソー

このお酒でよく目にする商品の宣伝コピーや蔵元自身の紹介文は以下の通りです。

山ブドウに由来する野性的な香りと、どこか日本の原風景を彷彿さえるとさせる素朴さ、それでいて骨格のしっかりとした味わいは、まさに能登ならではのワイン。
色は青紫の濃い色調で、しっかりとした酸味、完熟した果実風味も感じられ飲み応えがあります。

因みに、醸造元である「能登ワイン」は2004年にスタートした歴史の浅い会社ですが、『能登の葡萄で、世界にも評価される、質の高い能登のワインを』という大きな夢を掲げ、地方の小ワイナリーだからこそ出来る葡萄栽培からワイン造りまで全てに携わり、より良い葡萄・より深く豊かなワイン造りに励んでいます。

2.味わいや香り

実際味わってみると、心地よい渋み、軽やかな甘さ、多彩な表情がバランスよく調和している印象があります。
料理に寄り添う親しみやすさと、葡萄の個性を主張する力強さが見事に両立しています。
このワインのスペックを記載するなら以下の感じかなと思います。

■ボリューム:ミディアムボディ(やや軽め) 見事
■甘さ:やや辛口
■タンニン(渋味):普通
■酸味:ややシャープ
■果実味:ややフルーティ 
■香り:ミント、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、イチゴ、ピーマンなど
■飲み頃温度:14~16℃

3.ヤマソーヴィニヨンという品種

ヤマソーヴィニヨンとは、日本で開発された日本固有の赤ワイン用ブドウ品種で、山ブドウとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配種です。1990年に山梨大学の農学博士・山川祥秀教授が、日本の気候風土への適応と病害虫への耐性の付加を目的として開発した品種で、交配、選抜そして品種登録まで実に13年間もの長い期間をかけられました。

品種ヤマソーヴィニヨン

日本に自生する在来種である山ブドウと、ボルドーを代表する最高級醸造用品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンを交配して生まれたこの品種は、日本では栽培が容易ではないヨーロッパ系のワイン専用品種に、日本の気候・風土での栽培しやすさを併せたことで、両者の長所を併せ持つ品種となっています。 

4.単一品種へのこだわり

「能登ワイン」では、能登に実った葡萄だけを使って、単一品種のワインを造るのが特徴です。ブレンドはしないので、品質の劣った葡萄でなく、真心こめて栽培された9月から10月にかけて糖度と酸度の最もバランスの取れた時期に収穫した良質の葡萄だけを使います。
ここで使われるヤマソーヴィニヨンは甘み、渋味、多彩な表情が調和しています。 

単一品種

5.牡蠣殻の畑

「能登ワイン」のある能登・穴水町は日本海側最大の牡蠣の産地です。穴水湾で取れた牡蠣の殻を1年間天日干しにしたものを砕いて畑に撒き、ミネラルを土壌に補強し土壌の改良を行います。
もともとの能登の地は赤土の酸性土壌なので、牡蠣殻のアルカリ分は土を中和し、さらに雨が多い気候なので殻の塩分はほとんど抜け、能登ワインの葡萄に欠かせない役割を果たします。

牡蠣殻畑

6.熱処理をしない「生ワイン」

「能登ワイン」のヤマソーヴィニヨンは、加熱処理しない生ワインであるのも大きな特徴です。
タンクでの発酵後、目の粗い布で濾過し、樽で熟成させます。さらに、瓶詰め前に今度は微細フィルターを通して残った澱(おり)を除くという手の込んだ作業を行います。

ワイナリー


熱処理するとワインは劣化こそしませんが熟成もしません。熱処理をしない分、まろやかに、あるいは複雑な味わいへと育っていくのがこのワインの醍醐味です。

7.このワインに合うこんか漬け

能登ワインのヤマソーヴィニヨンとのマリアージュにお勧めしたいのが、さばへしこです。

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一般的にワインは含まれる鉄分が少ない方が、一緒に食べる魚料理などの生臭みが抑えられるといわれますが、このワインの鉄分は少なめで青魚特有の生臭さを抑え込み、且つ程よい渋味(タンニン)が発酵臭を包み込んでくれるだけでなく、相手を引き立ててくれるワインです。 

また、ふぐの子(河豚の卵巣のぬか漬け)を使ったアレンジ料理でシーザーサラダや、カルボナーラを始めとしたパスタとも相性抜群です。

1シーザーサラダ

2カルボナーラ

8.最後に~地ワインと地元食材について

一般的にその土地の料理はその土地で生産されたワインと相性がいいと言われています。
一つは水が関係しているようです。料理もワインも同じ水を使用して造るため、自然と相性がよくなります。
また、その土地の人の味覚でワインも料理も誕生します。当然、その味はその土地の人の味覚に合わせて作られるため、風味が似通ってきます。

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一般的に「似たもの同士」は、お互いを引きたてると言われているため、相性が良くなります。

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