ゲームのアクセシビリティに関する覚え書き 〜感覚や運動の制約が大きいように見えてもゲームを楽しむことができる時代がそこまできている件〜 その1

 それは8月8日(火)のことだった。私の担当している教職課程の特別支援教育の対面セッションでのこと。
 視線入力やPPSスイッチ等の支援機器を学生に実際に操作してもらったり、Keynoteで画像や動画を使った教材を作ったり、「のじぎく」「ひなぎく」でデイジー図書を作ってみたり。そんな中で参加した学生が「格闘ゲームが好きで」「そういえば先日スト6(ストリートファイター6)の世界大会で全盲の人が予選通過して話題になっていました」と教えてくれた。
 「え、何?それ?ちょっと待って。ググってみるから」
 「EVO2023予選の『ストリートファイター6』で盲目のプレイヤーが歴史的勝利!!→開発チームが取り組んできたアクセシビリティ向上の努力が結実
 「すっげー!!!!!」「知らなかった」「教えてくれて感謝!」

 こんなやりとりからゲームのアクセスビリティ(利用のしやすさ)の新時代の到来を確信することになった。
 あ、こんな場面(学生に新しい重要な情報を教えてもらう)、前にもあったっけ。
 今までの授業資料を探すと、ありました。時は2年前。2021年の11月のことでした。
 学生のコメントシートにこんなことが書かれていました(抜粋と編集)。
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「SEGAが開発するゲームに「ぷよぷよ」というものがあり、テトリスと同じように同じ色のパズルを組み合わせて消去していく(テトリスとの違いは落ちてくるパズルに表情があるということ)ゲームがあります。色盲の方(現在は色覚特異性といっています)はテトリスのように色で判断しなければならないゲームはほとんどできないらしいのですが、ぷよぷよというゲームはパズルに表情があり、色盲の方はこの表情で判断し、パズルを消して楽しんでいるらしい。
 そこにとあるゲーム配信者が目をつけ、色盲の方とぷよぷよをするという企画を立てたところ「差別だ」「障がい者を馬鹿にしている」などの批判コメントが寄せられ、結局その企画は頓挫したようです。私は色盲の方へのリスペクトが寄せられると思っていたのでやるべきではと思い、むしろ批判をしている人こそ障がい者の気持ちを分かって折らず、ただ正義を振りかざしたいだけではないかと思いましたが奥山ちゃんはどのように思いますか。
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 学生に教えてもらった「炎上」をググっていると、驚くべき事実を知りました。
 まず、色覚特異性がある方がどのように「ぷよぷよ」をするかについて当事者の書き込みがありました。2007年の書き込みです(色弱の人がどうやってぷよぷよするのか。
 そして「炎上」する以前に「ぷよぷよ」のゲームそのものが色覚特異性に対応しているということ。2020年9月の記事です(「ぷよぷよができる!」と喜びの声 色調整で色覚多様性に対応 「ぷよぷよeスポーツ」が大型アップデート
 しかもその年の2月にはSEGAが「色覚多様性に対応したぷよぷよ体験会」を開いていました。「『ぷよぷよeスポーツ』「色覚多様性に対応したぷよぷよ体験会」を開催 」
 同時期に経済誌のネット記事がこのことを報じていた。日本では色覚特異性のある方がどのくらいいるかということも含めて伝えていた。
「ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難 劣等感が生まれがちな学校にも配慮が必要だ」(東京経済ONLINE)

 ちなみに「ぷよぷよ」における「色覚特性に対するアクセシビリティの工夫」の一方で、学校教育で何か起きていないかググってみた。
 今のところ学校からの発信はみつけることができなかった。が、しかし、SEGAの方が学校へ働きかけているんだよね。これは「スト6」関係でググったときにも出てていたのですが、SEGAは2020年には「ぷよぷよプログラミング」として「ぷよぷよ」でプログラミングを学べる教材を無償公開していました。
「ぷよぷよプログラミング(学校向け)特設ページ」
【公式】ぷよぷよeスポーツ×プログラミング

今日はここまで。


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