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社会人?学生?特別研究員(DC1,DC2)

私は現在、独立行政法人日本学術振興会より特別研究員として採用されています。
文系の方などはあまりなじみがないかもしれませんが、理系大学生・大学院生で、研究室に配属されたことがある方は、「学振」に通る通らないという話を聞いたことがあると思います。
今回は、この特別研究員について紹介したいと思います!

特別研究員というのは博士課程(博士後期課程)の中で、書類審査(もしくは書類+面接)を行い、その審査に通過すると、月20万円の給与をもらいつつ博士後期課程の学生として研究を行うことができる制度です。
各分野の専門家(大学教員等)が審査員として書類審査し、申請者のうち約20%が採用されます。
このような採用率になっているため、研究者の登竜門と呼ばれることもあります。
採用される学年によって名称が異なり、
博士後期課程1年から採用されるのが、DC1
博士後期課程2年以降から採用されるのが、DC2となります。

特別研究員に採用されると、特別研究員奨励費(科研費)と呼ばれる研究費を使用することができます。
1年間で70~150万円使用することができますが、使用可能額は申請書により決まります。
この科研費は当然、私的には使用することができず、装置や実験器具など研究に必要なものを購入するために使用できます。
そのほかにも、国内・国外の学会参加や共同研究の際の出張費用にも使用することができます。

月20万円の給与ですが、これは満額で支払われるわけではなく税金(所得税、住民税等)や国民保険、年金などが差し引かれます
1年目は住民税がありませんので、手取りで18万くらい、2年目以降は16~17万となるようです。
自分は現在1年目ですので、2年目以降の具体的な手取りがどのくらいか正確に計算はしていませんが、だいたいこの金額になると思っています。

博士後期課程の多くの学生(特に実験系の人)は、大学の近くのマンションアパートなどに一人暮らししているケースも多いため、この手取りから毎月の家賃、水道・電気・ガス代、スマホ代、Wi-Fi代など差し引くと、
結構厳しい生活になります…
また、大学によっては特別研究員でも授業料を支払わなくてはならないケースもあり、そうなると本当に困窮します。
(自分の大学は幸い特別研究員かつ独立生計者であれば授業料は免除されます。)

皆さんからすると、
「好きな研究やっているんだから我慢しろ。金が欲しければ、アルバイトでもすればいいだろ。」
と思うかもしれませんが、残念ながらアルバイトは原則できません
アルバイトをしていることがばれると、特別研究員として研究できなくなります。つまり、クビです...
原則と明記したのは、大学の教育に関する業務(TAやRA)のアルバイトはすることができます。
修士1年のころにTAをしていましたが、週に2時間ほどしか働けないので、そこまでお金は稼げません。
特別研究員は研究に専念しなければならないので、仕方がないことではありますが、大学の同期が民間の企業に就職し、お金を稼いでいるのを見るとやはりうらやましいなぁと感じてしまいます。
人と比べるより自分がどうするかが重要といつも自分に言い聞かせて研究に励んでいます。

特別研究員のグチみたいのが多くなりましたが、研究しながら給与をもらえさらに、自分で自由に使用できる研究費もつくので、この制度には非常に感謝しています。
ただもう少し、月収が上げていただけると、より研究に専念できると思います!
この制度は昭和何年かにできたものですので、令和の時代に合わせた制度にしていただきたいです。
現代は、消費税も10%ですし、スマホ代やWi-Fi代など、昔よりもただ生活するだけでお金がかかりますので。

近年、博士課程に進む学生が減少し、日本の研究が今後衰退していってしまうのではないかと考えています。(というより、既に衰退してる?)
先進国のなかで日本は基礎研究への投資額が低いです。
基礎研究は、確かにすぐに役に立つものではありませんが、長期的にみれば必ずリターンがあると思います。
そこを理解していないと、日本はあっという間に各国に追い抜かれ、サイエンスの後進国となってしまうかもしれないです。
そうならないためにも、すぐには役に立たないかもしれないが、中・長期的には役に立つかもしれない分野に投資できるような体制を作るべきではないかと思います。

以上いかがでしたでしょうか?
へー特別研究員っていうのがあるのかと思っていただけたら、幸いです。
これからも研究を進めつつ、noteの執筆もしていきたいと思います!

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