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【感想】大作戦はつづくよいつまでも【鉄ミュ6〜ハッピーレール大作戦〜】


ミュージカル『「青春-AOHARU-鉄道」6~ハッピーレール大作戦~』を鑑賞してきたので、感想を書きます。


初めての鉄ミュ生観劇でした!初めての銀河劇場!初めての万歳!ありがとう!全てのご関係者の皆様にありがとう!なんか……見送ってくれた家族とか、お休みをくれた弊社とか、周りでマナー良く共に盛り上がって鑑賞してくださった乗客の皆様とか、前日から情緒を乱していた私を見守ってくれた友とか、あとちゃんと定時に動いてくれた上越上官とかりんかいとかにもありがとう!!超楽しかったです!

まず何より最初に感激したのは音だったかなぁ。大好きな曲を爆音で聞ける、これだけでもう最高なんですわ。そのため最初のつながる青春のサビ終わってメドレー部分に入る前にはすでに静かに泣いていた。それから前半その勢いで笑いすぎて泣いて、後半だばだば泣いて、最後のつながるでも泣いていたので実質ほとんど泣いてる。マスクが全てを吸っていって助かった。

暗転で本当にこんなに切り替われるんだ!というのも分かって良かった。円盤だとタイトルが全画面になるから完全に別の話という感じが出るけれど、本来はただの暗転のはずなので気になっていたんですよ。3階席だったので最前の人とはまた見え方が違うんだろうけど、思った以上にきっちりと切り替わっていてすごい。山陽鉄道の話から東海道本線の話に暗転で切り替わるところとか、逆に東海道と北陸本線が並んで座っているうちに戦争が始まって終わったりだとか、今回はそういう、見せ方でグッとくるようなところが多くてすごく良かった。

「基本的に原作にある話を選んで並べ直すことで文脈のようなものを作り出しているのがすごい」ということはずっと言っているけれど、今回もそれがめちゃくちゃに冴えていて、もう舌をグルッグルに巻いてしまう。もちろん見ている間はものすごい情報量と勢いに圧倒されてしまう(特にこれは劇場で見ていると本当にすごい)のだが、見終わった後に、あれって……そういうことだったのかぁ……みたいに天を仰ぐことになる。そもそも計算された編集と順序があってこその情報量の厚みなのだと思うし……

この、好きな作品のミュージカルを見に行ったら見てる間と直後のうわ〜〜〜!!!!!!おもしろ〜い!!!!!!!!と見終わってちょっと冷静になったころのうん……面白かったな……が両方あったということ、それってかなりハッピーだと思います。



せっかくなので、今回は実際に現地に見に行って特に印象に残った内容の話を中心にしたい。公開されてすぐのものなので何かしら間違いがありましてもご容赦いただけると幸いです。


劇場という空間で、ステージ上にいる彼らを見て、「人だ!!」と思った。

無人島をさまよっていた人みたいになってしまったが、本当にこれなのだ。いわゆる2.5次元というもの、漫画原作の舞台作品はイラストという2次元を俳優が演じて3次元にするものだが、それを配信や円盤で見ている限り、鑑賞者にとってはまだ2次元だ。劇場に行って、同じ空間に立って初めて、本当に次元の変わったキャラクターと出会えることになる。

さらに、この作品は擬人化作品だ。物や概念を擬人化した作品には、擬人化したモノだけが暮らす世界を舞台にしたタイプのものと、擬人化したモノと人が共に存在している世界観のものがある。青春鉄道は後者だ。そしてそこがこの作品の面白さ、醍醐味の一つでもあると思っている。

路線たちが人の姿を取って、我々が住む世界のどこかにいるということは、つまりこういうことなのだ、ということが、私にはやっと腑に落ちた気がする。もちろんそこにいるのは俳優で、この物語はフィクションだけれど、つまりこういうことなんですというのを突きつけてくる、そこに存在している身体の説得力。これが発見だった。演劇ってすごい。

特にそう感じたのは、「線上のメリークリスマス」だ。これまでの公演で、"人"がここまでしっかりと舞台に登場することはあまりなかった気がする。井上さんや早川さんはナレーションで表現されてきた。今回は違う。

舞台上で相対している2人は、どちらもしっかりと"人間"だ。けれど、それは見かけだけのことで、山陽鉄道は違う。見かけは一緒なのに、山陽は「モノ」の理屈で話をしている。これから持ち主が変わってしまう、という彼の胸中は、推し量ることもできるし同情もできるけれど、きっと本当に理解することはできないのだろう。人間には同じことが起きないからだ。

「けじめで俺を捨てるのか」「でも俺はプレゼントみたいなものだから」。そんな「モノ」の言葉を、成人男性の肉体を持って言う様は、ちょっと不思議で、それでいて健気で愛おしい。

裏表のように語られる東海道本線の物語もそうだ。この国の最初の1人として生まれることがどういうことなのか、こうあれと最初に望まれたように生きたいという望み。それが叶った喜び。

それらは想像もできて、泣けるほどに感情移入もできるけれど、その本質や強さ、無垢さみたいなものはなんだかちょっと不思議だ。それが人間の肉体と言葉をもって語られる。そのアンバランスさが、なんだか泣きたくなるほど眩しくて愛おしいと思った。

全体的に、今回は「モノの幸福」の話だったように思う。ジュニアが兄さんと生きる今というハッピーを手に入れるまでの物語であったようにも思える。

それでも、このミュージカルで「僕たちはレール、みんなはハッピーを担当して」と彼らは歌う。ハッピーは我々側に託されているのだ。当たり前のような、へんてこなような、と思ったけれど、見終わってなんとなく納得した。

路線たちはみんな、人間のためにこの世界に生まれている。みんながハッピーになる大作戦、それをずっと続けているのが道具たちなのだとしたら、それなら人間が幸福になるということが道具の幸福なのではないだろうか。

ハッピーにならなきゃな、と思う。モノたちがあんなふうに自分という存在を全うすべく生きているのだとしたら、それに報いたいと思うなら、もう我々人間が幸せになるしかないのではないかと思う。そんなことを思った。


鑑賞後にご挨拶に行きました。みんな元気にやってます!


今回の公演を現地で見て感じたことはそんな感じです。無事完走できて良かった!!!新車の皆様もめちゃくちゃ良かった!そして相変わらず曲がいい!!!前回書いた「鯨井本線のバラードを聴きたい」という夢が叶ったので満足です!!お気に入りの曲は東上のハンカチーフっぽい何かです。良すぎ。

そしてしみじみと兄さんがカッコよかったな……今回は弟視点が多いこともあり、あとつばめ様がいないこともあり、ほんとに終始天上天下唯我独尊世界最高唯一無二(以下略)な兄さんでした。私はこの作品の「誰かにでっかい矢印を向けたとてそれが返ってくるとは限らないし返す義務もない」みたいなドライかつ正論とも言える風情が好きで、ここの兄弟もそういうとこあると思っているんですけど、なんかその辺の塩梅というか調整もちょうど良かったなと個人的には思います。ずっと元気で楽しくいてほしい。

あとは乗り鉄の日だったんですが、こういう舞台のお見送りって初めてだったので、同じ高さの地平にいるという衝撃がすごかったです。ありがとうございました!!ってヘロヘロの状態で敬礼したら日光と日比谷ちゃんが敬礼返してくれて、息が止まるかと思ったしもうなんか本当にこれから強く生きていけると思った。私は2人に敬礼を貰ったオタクなので。


次はライブだ!!そしてけっこう先だ!!その頃の世界と私がどうなっているのか全然わかりませんが、またあのお祭りみたいな空間に身を置きたいなという気持ちでいっぱいです。頑張ってハッピーに生きて待っていようと思います。ハッピー担当の私だから!


今日はここまで。ありがとうございました。



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