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チャリで来ない

車で走っていたら、高校生がチャリに乗って帰宅していくところだった。

1人の女の子が、顔をハンドルのあいだに入れようとしてるんじゃないかっていうぐらい座高を低くして、坂道を走り去っていった。どんだけ空気抵抗を無くしたいんだ。なぜ一人だけスピードを追求してるの?

自転車は特に好きでも嫌いでもない。通学に使っていたとか、置いておいたら盗まれたみたいな、印象的なエピソードもない。

こうやって日記を書いていると、気づくと好きなものか、もしくは嫌いなものの話しかしないな、と思う。当たり前かもしれないけれど。好きでも嫌いでもないものの話って、改まってはなかなかできない。

自転車。今持っているのは海沿いに住んだ時に錆びてしまったやつで、漕ぐとキコキコと妙な音がする。他の格好がどんなにきちんとしていても、自転車がキコキコ言っているだけで急に不審人物みたいになるから不思議だ。

自転車。ゆずの「夏色」を聞くたびに、道交法など気にしないのが文学の自由さだな、と毎回思う。君を自転車の後ろに乗せる人は細心の注意を払ってほしい。直前に夏色を聞いたりせず、事故っても口をつぐんでほしい。流れ弾のクレームで名曲が死なないために。

自転車。チュートリアルの漫才で、自転車のベルを盗まれるというネタがあった。チャリのチリンチリンを奪われた人が、恋人や家族を奪われたようなテンションで語るのだ。「誰か!俺のチリンチリンを見ませんでしたか!」「それから俺の生活は荒れたよ」みたいな恋人を失った文脈では違和感のない言い回しが、別の文脈で使われるとめちゃくちゃに面白い。全くのナンセンスも面白いけれど、ああいう、別の場所では正しいものがTPOで正しくなくなってしまうような構造のユーモアって好きだな。

あーあ。結局好きなものの話しちゃったな。難しい。今日はここまで。ありがとうございました。

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