割増
街灯が綺麗だなァ。
目が悪い。小学校低学年の頃から目が悪いので、物心ついてから目が良かった時の記憶がほぼない。これがスタンダードだ。
視力が悪いといいことが一つある。夜に光が綺麗に見えることだ。
目が悪い人間は、光源が数倍の大きさに見えている。乱視も入っていればあらゆる方向へエフェクトもつく。
目が良い人間には、目が悪い人間の世界があまり理解されない。小さい頃はよく、数メートル先のところで指を立てては「これ何本?」とか聞かれていた。それはわかる。当たり前だろう。近視ってのはそういうことじゃないんだ。ただその指が輪郭がふわふわしたピンク色の棒にしか見えなくなるというだけで。
輪郭がにじむので、いろんなものが大きく見える。夜の光はその最たるもので、夜景は眼鏡を外した方がファビュラスだ。眼鏡をかけた途端、なーんだただのダイオードかい、つまらん、となる。
私は眼鏡が当たり前に買える時代に生まれたから、この点に関しては障害者のカテゴリに入っていないわけだけれど、他の何らかの機能に支障がある人にも、何かしらそういう、その人にしかわからん景色があるんだろうな、とは思う。
今日はここまで。ありがとうございました。
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