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声が聞かれた日

行政書士の渡邉です。
昨日、皆川の企画•脚本•演出作品「ついている議員」の千穐楽を無事迎えることができました。

「学んで、書いて、創り出す」をテーマにした「シバイバ」で、私は、三浦まり先生の『さらば、男性政治』を学びました。講座での学びを自分ごとに落とし込み、執筆したのが今回の作品『ついている議員』です。

https://note.com/kh_lab_/n/n2905698bc8b8

皆川が書いているように、演劇祭を主催した「シバイバ」の壮大で切実な企画意図は、胸打たれるものがあります。

「もうどうだっていいや」
「どうせ何も変わらない」
そんな風に思いたくなる事象に溢れる今の社会で、「それでもきっと良くなる」と真摯に人と社会の変化を信じる人たちがいること。
いつも厭世気分の私には、とても良い薬になりました。

Eチームの他2作品、樹月麗奈さんの『黒点』、松枝佳紀さんの『巨木の森』も、真摯な語りが散りばめられた素敵な作品でした。
法制度、社会の仕組みと人の成熟は車輪の両輪であること、パリテの意義を「多様性」視点で読み解いたこと、発見と感動であっという間の20分でした。


私と皆川は、20年の付き合いです。
子どもの頃から、他者の「期待」に「期待以上」の成果を上げなければ、私はここに「居てはならない」と思って生きてきました。
その近くで、私が見落としてきた「日常」の美しさや、数では測れないものの尊さを見ていたのが皆川です。

期待に成果で打ち返すだけの人生は空虚です。 
かつての私が「無駄」と投げ捨ててきたものの大切さを知っている皆川に、私は沢山のことを気付かされてきました。

今回の演劇祭は、日常の暖かな光の中で生きてきた皆川が、人前でスポットライトを浴び、作品を通して沢山の方に声を聞かれた日々でした。

誰にでも、語ることを諦めたくなること、伝える言葉が枯れてしまったこと、絶句してしまうことがある。
その痛みを、皆川が作品を通して代弁してくれたことに、私は心から感謝しています。

私の身体の中心に大きく刻まれた傷が、皆川の作品と、それを「受け止める」佇まいで見入って下さった観客の皆様の姿を見て、癒されていくのを感じました。
「この声」を聞いて欲しかった「あの人」には届かなくても、その声を真摯に受け止めてくれる「誰か」がいるから、人は生きていけるのかもしれません。

千穐楽の日、私の心の「実家」であるフェミニズムワールドのお姉様方を見ていたら、ボロボロと涙が溢れました。
職場にも関わらず、私の痛みを真摯に、そしてユーモアを持って受け止めてくれたこと。
お酒を飲みながら、ともに怒ってくれたこと。
ジャーナリズムで、勇敢に痛みを代弁してくれたこと。

大きな愛と、受容と、誠実な生き様を前に、私ももう少しこの世界を信じてみよう、と思えた日でした。 
大切な時間を割いて、この場にいらして下さった皆様、本当にありがとうございました!

荘厳な夜の築地本願寺

(おまけ)
作品中、演出で使われた書籍を皆川と共に選書しました。
以下、書籍リストです。

◎三浦まり著『さらば、男性政治』
◎ジュディス•L•ハーマン著『心的外傷と回復 増補新版』
◎信田さよ子著『アダルト・チルドレン:自己責任の罠を抜けだし、私の人生を取り戻す』
◎ベル•フックス著『フェミニズムはみんなのもの』
◎新編 日本のフェミニズムより『12 男性学』
◎岩渕功一編著『多様性との対話 ダイバーシティ推進が見えなくするもの』 
◎ダイアン•J•グッドマン著『真のダイバーシティをめざして―特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育』
◎岡野八代編『家族――新しい「親密圏」を求めて (自由への問い 7)』
◎上岡陽江、大嶋栄子著『その後の不自由「嵐」のあとを生きる人たち』


学ぶことは、言葉を得ること。
言葉を得ることは、捉え直しが起こること。
捉え直しは、自己責任の罠から自由になること。
自己責任から抜け出した先に、加害と被害を「そのまま」受け止めることができる。 
その回復の道筋をガイドする本を選びました。
私自身が、大切に読んできた本です。

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