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中東、周辺国の情勢!

これまで、中東情勢をお伝えしてきたが、現在も変わらず世界の紛争や、各国の思惑がうごめく、中東情勢の近況まとめをお伝えします。


関連記事


国連総会

イランは、アメリカがイランに実施している、経済制裁の影響で、史上最悪の経済危機に陥っていると非難を国連総会で発表した。

イラン・イラク戦争時に、アメリカがイランのサダム・フセインを支援したことで、イランは何十万人もの死者がでた事なども指摘した。

アメリカはイランの声明に対し、ヒズボラとかパレスチナのハマスに多くのミサイルを提供し、それで多くの人々が死んでいると指摘。

ヒズボラ:1982年に結成したレバノンのシーア派イスラム主義の政治組織、武装組織。日本では「ヒズボラ」と表記される事が多い。アラビア語で「神の党」を意味する。イランとシリアの政治支援を受け、その軍事部門はアラブ・イスラム世界の大半で抵抗運動の組織と見なされている。日本、欧州連合、米国、オランダ、バーレーン、エジプト、英国、豪州、カナダ、イスラエルは、ヒズボラの全体または一部をテロ組織に指定。

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ヒズボラ兵士


イスラエル国交正常化

2020年9月15日、イスラエルが、アラブ首長国連邦(以下UAE)、バーレーンと国交正常化した。

イスラエルと、UAE、バーレーンは15日、米ホワイトハウスで、国交を正常化させる合意文書に署名

ドナルド・トランプ米大統領は「中東の夜明けだ」と称賛した。

署名した3カ国も、歴史的な合意だとしている。

イスラエルの1948年の建国以来、同国と国交をもつ中東湾岸諸国はこれで4カ国となった。

トランプ氏は、他の国々も後に続くことへの期待を表明。

一方、イスラエルと対立しているパレスチナ自治政府は、同様の合意をしないよう他国に働きかけている。

多くのアラブ諸国は数十年間にわたり、イスラエルと国交を結ぶことを拒否してきた。同国がパレスチナとの問題を解決するのが、国交正常化の前提だとしていた。


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バーレーン外相、イスラエル首相、アメリカ大統領、UAE外相が米ホワイトハウスでの署名式


パレスチナ

現在、パレスチナとイスラエルの問題が解決していないにも関わらず、イスラエルとの国交樹立の動きに対して、パレスチナは孤立している。

パレスチナを統治し、イランがバックアップしているハマスがイスラエルへ、ロケット弾を撃ち込んみ、緊迫した状況である。

パレスチナとの国交正常化は、イスラエルや仲介約であるアメリカが、パレスチナのガザ地区や、ヨルダン川西岸地区をパレスチナ国として認定する事を条件にイスラエルと、国交樹立へ向かう可能性がある。

パレスチナ大統領


アラブ連盟

アラブ連盟会議において、アラブ連盟の議長が辞任すると発表された。

現在進んでいる、アラブ諸国とイスラエルとの国交正常化の動きに対して、パレスチナが嫌悪感を示しており、国交正常化を実施した「UAE」「バーレーン」に対して、「裏切り者」と非難している。

アラブ連盟は、元々イスラエルを国家として承認しない中東の21カ国が集まり、パレスチナを応援するという目的で、第1回アラブ連盟会議パレスチナ解放機構(PLO)を作った。

アラブ連盟の後ろ盾の形で支えられて、パレスチナ国を設立しようと動いていたが、そのアラブ連盟の中から、イスラエルと国交正常化を行う国が現れたため、パレスチナはアラブ連盟にいられないという考えを示した

ますます、パレスチナは孤立化に向かっている。


ファタハVSハマス

ファタハは、パレスチナ解放機構で(PLO)でヨルダン川西岸地区を支配。ハマスは、ガザ地区を実質支配している。この2大政党は対立勢力である。

パレスチナは、ファタハとハマスの2つの政党の対立構図になっている。

現在、イスラエルとアラブ諸国の国交正常化が進む中、2つの勢力が対立している場合ではないという事で、トルコのアンカラにおいて、2つの政党の代表が集まり、会合を開いた。

パレスチナの内部抗争がいったん凍結し、一時的に協同体制に入る可能性がある。

ファタハ:パレスチナの政党。1957年、パレスチナ独立を目標としてヤーセル・アラファートにより設立され、パレスチナ解放機構(PLO)に加入。党名の「ファタハ」は、アラビア語の「パレスチナ民族解放運動」の頭文字を逆に綴った言葉。アラビア語で「征服」や「勝利」との意味もある。

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ファタハの旗

ハマース:イスラム主義を掲げるパレスチナの政党。1987年12月14日、アフマド・ヤーシーンによりムスリム同胞団のパレスチナ支部を母体として創設。2004年12月、パレスチナ地方議会選挙において過半数の議席を獲得し、さらに2006年1月のパレスチナ評議会選挙でも定数132の議席中で76議席を獲得。

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ハマスの旗


イスラエルとパレスチナの世界との関係

世界の84%162カ国がイスラエルを国家承認

イスラエル外交関係図

世界の138カ国72%がパレスチナを国家承認

パレスチナ承認国


サウジアラビア

アルジャジーラによると、サウジアラビアは、イスラエルとパレスチナの国交樹立が確立されないと、イスラエルとの国交正常化の動きは困難との姿勢を示してきたが、現在その国交樹立に柔軟化の姿勢を示している。

イスラム教の3大聖地の1つである、メッカのカーマ神殿の最高指導者がイスラエルと共に手を組み、宗教観の問題を乗り越えようという事を、大々的に発表した。

サウジアラビア政府は、政府がいきなり、イスラエルと国交樹立するというと、国民の反発が強くなるため、カーマ神殿の最高指導者とイスラエルの動きに対して、国民がどのような感情を持つのか、様子をうかがっている

現在、サウジアラビア世論調査では、反対の意見もあるが、賛成派が多く、大きな問題へと発展を見せていない。

サウジアラビア政府は、イスラエルと国交正常化によって、油田事業以外の多角化を図りたい狙いがある。そのための第一段階としての動きと見られている。

サウジアラビア王国指導部は、イスラエルとの国交樹立に、サルマン国王と息子である事実上のリーダーであるムハンマドビンサルマン王子(MBS)と対立している。

サルマン国王は、イスラエルとの国交樹立に反対であり、経済の多角化など、国のさらなる発展を推し進めたいムハンマド王子と内部対立し、意思統一していく事に暗雲が立ち込めている。

サウジアラビアは、パレスチナに対して、これまで支援してきたが、サウジアラビアの期待に応えることをせず、パレスチナのリーダーは70年間失敗であったとの声明を発表。

イスラエルと国交樹立し、中東和平を作るタイミングが幾度もあったが、すべて逃してきたのは、パレスチナであると指摘。

また、サウジアラビアは、イランに対して強硬姿勢を示しており、国際社会に対して、イランの核合意は、条例違反であり、アメリカに続いて、各国へ核合意からの脱退を促している。

サウジアラビアは、アメリカに協調姿勢を示している。

今後の動向に注目である。

サウジアラビア国王 皇太子


UAE

イスラエルと国交樹立したUAEは、どんどん国交を推進している。

その一つに、イスラエルとUAEの両国の会社が共同で、映画を製作する動きを見せていてる。

さらに、両国で映画祭の開催も決定し、開催国を一年ごとに交代制で開催するそうだ。

両国は、中東を映画の拠点にする狙いがある。

UAE国王 皇太子


スーダン

スーダンは、イスラエルとの国交樹立への条件があり、イスラエルとスーダンの国交樹立の仲介役である、アメリカからの30億ドル以上の支援、人道援助と、テロ支援国家指定の解除の3つの条件を求めている。

現在、スーダンはイスラエルとの国交正常化協議を正式に始めている。

それを受け、アメリカのポンペオ国務長官は、10月上旬に、上院議員議会において、テロ指定国家指定解除に対して、投票を実施。

スーダン 最高評議町

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70代目アメリカ合衆国国務長官

マイケル・リチャード・"マイク"・ポンペオ


オマーン

オマーンは、UAEとバーレーンがイスラエルとの国交樹立を最初に祝福した国家。

東エルサレムを首都とする独立国家を目指すパレスチナ人の正当な権利に引き続きコミットしていると発表。

今後、イスラエルとの国交正常化に向けて有力国家と見られている。

オマーン 国王


クウェート

クウェート政府は、イスラエルとアラブ諸国の国交正常化についての立場を再確認し、パレスチナ国家が達成されるまで、イスラエルとの関係を正常化しないと発表し、イスラエルとの国交樹立へは否定的な姿勢を示している。

クウェート 首長


カタール

カタールは、包囲されたガザ地区に深く関与しており、パレスチナ人への福祉給付金の管理と資金提供を行っている。

カタール政府のスポークスマンは、イスラエルとの関係を正常化する事を拒否し、イスラエル・パレスチナ紛争への「答えにはなり得ない」と発表。

カタールはイスラエルに対して強硬派で、パレスチナ自治区のガザ地区のハマス政権へ支援を行っている。

ハマス政権へはイランも支援している。

一方で、カタールは、親米国家である。

カタール 首長


アルジェリア

アルジェリアのアブデルマジッドテブーン大統領は、イスラエルとの関係を正常化する協定には、決して参加しないと述べている。

パレスチナ問題は、我々にとって神聖で、すべての問題の母であり、1967年の国境を持ち、聖エルサレムを首都とするパレスチナ国家を樹立することを除いて解決されないと述べている。

基本的に、イスラエルに対してクウェートと同様の強硬姿勢を示している。

アルジェリア民主人民共和国 大統領


イスラエルとアラブ諸国の国交正常化状況

イスラエルとアラブ諸国の国交正常化状況

アメリカのトランプ大統領は、イスラエルと国交正常化を結ぶ国は、現在の4カ国以外に、さらに5カ国増えるとの見解を示しており、5カ国はすでに国交正常化の協議に突入している。

5カ国の2カ国は、オマーンとスーダン。

残り3カ国は、アフリカ大陸のジブチ、コモロ、モーリタニアである。

ジブチ共和国 大統領

コロモ連合 大統領

モーリタニア・イスラム共和国 大統領


イエメン内戦とタンカー危機

アラブニュースによると、早急に原油タンカーの問題を解決しなければ大きな問題になると報じた。

現在、紅海に放置されている原油貯蔵庫に関して、アラブ連盟の環境大臣たちは、集まり対策会議を開いた。

アラブ連盟は、各国の大臣による提案書を国際機関に提出し、色々な国際機関でフーシ派を取り囲み、「セイファー」タンカーの問題を一刻も早く調査・修理を実施し、場合によっては、原油引き取りする方向に動いている。

フーシ派は、原油を渡さないと声明を発表している。

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浮体式海洋石油貯蔵庫積出設備「セイファー」

浮体式海洋石油貯蔵庫積出設備「セイファー」:イエメン西部ホデイダに2015年から放置。45年前に建造され老朽化が進む。5年間メンテナンス未実施。最近はエンジンルーム内に海水が入ってきており、爆発の危険性が高まっている。


タンク内の原油は110万バレルあり、史上最悪の被害が出たとされる米アラスカ沖タンカー座礁事故で流出した原油量を上回る。


アラブ首長国連邦(UAE)のアリ・アムディ博士(環境経済学)は「いつ沈んでもおかしくない時限爆弾のようなもの。全量が流れ出れば40~50年は環境に影響する」と警告。


国連は「沈没の場合は深刻な環境汚染を引き起こす」と警告。

調査を要請するとともに原油の撤去を提案したが、フーシ派は拒んでいる。

内戦が行き詰まり、財政に苦しむ中、調査要請を受け入れる代わりに、労働者への賃金支払い名目で金を要求するなど、国連などとの交渉材料に使う思惑がフーシ派にはある


イエメン情勢に詳しいエジプトの評論家アブドル・アリム・フマイディ氏は「フーシ派も(フーシ派を支援する)イランも施設の危険性は把握している」と指摘。


イエメン原油貯蔵施設


被害予測:

1.イエメンの主要ライフラインであること

イエメンに入ってくる食糧、医薬品、機械、武器などの物資の7割は、ホデイダの港から輸入しており、タンカーからの原油流出で、港が使用できなくなり、物資の輸入が制限される。

現在、イエメン国内は内戦状態で、物資が行き届かない状況で、衛生環境も劣悪であり、コレラや新型コロナが蔓延している。

さらに、大洪水にも見舞われ、サバクトビバッタの大量発生に繋がっている。

「内戦」「コレラ」「新型コロナ」「大洪水」「サバクトビバッタ」の5重苦がのしかかっている。

そこへタンカー問題が降りかかり、物資が止まれば、国の混乱は甚大なモノとなる可能性が高い。


2.世界で最も忙しい輸送航路であること

ホデイダ沖は世界中のコンテナ船や、オイルタンカーの航路になっており、アデン湾を通り、紅海からスエズ運河を抜け、ヨーロッパとアジアの多様な船が往来している。

そこへ、タンカーの原油流出が起きると、航路が閉ざされ、世界中の物資流通へ大きな影響を与える可能性が高い。


3.多様な生態系をもつ海であること

紅海の海は、スキューバダイビングのメッカになるほど、生態系が豊かで、透明度が高く、綺麗な海ある。

そこに、タンカーの原油が流出すると、甚大な環境破壊により生態系が壊されてしまう。


イエメンの発表:

イエメンの中央戦略研究所は、ホデイダの港に停泊している「セイファータンカー」がもし原油流出を起こした場合の被害予測を行っている。

1.周辺115の島は生物を失う。

2.12万6000人の漁師は失業

3.969種の魚が絶滅危機

4.85万トンの近海の魚が被害を受ける

5.300のサンゴが死滅


ロシア

ロシア国防省は、音速の8倍以上(マッハ8)の速さで飛行する極超音速ミサイルの発射実験に成功したと発表

世界規模のミサイル防衛網を構築するアメリカをけん制するねらいがあると見られている。

ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は、プーチン大統領とテレビ会議を行い、「ツィルコン」が高度28キロを最高で音速の8倍に当たるマッハ8以上の速さで飛行し、4分30秒後に、450キロ離れた海洋上の標的を破壊したと報告。

音速をはるかに超える速さで飛行するミサイルなどは「極超音速兵器」と呼ばれ、近年、ロシアのほかアメリカや中国でも開発が進んでいます。

「極超音速兵器」は既存のミサイル防衛システムでは迎撃が困難とされていることからロシアとしては、世界規模のミサイル防衛網を構築するアメリカをけん制するねらいがあると見られます。

ロシア ツィルコンミサイル

極超音速ミサイル「ツィルコン」

ロシア 大統領


トルコ

トルコのエルドアン大統領が、カタールのドーハにて、タミム首長と会談を行った。

カタールは、湾岸諸国のUAE、サウジアラビア、バーレーン、エジプトの4カ国と2017年に国交断絶している。

その際に、一番最初に支援を行った国がトルコである。

カタールに対する支援は、今後さらに強化し協力関係をより強いものにしていくという会談であった。

トルコのカタールへの支援は、カタールと国交断絶している4カ国への対抗処置の意味合いも含まれているとの見方もある。

トルコ 大統領


今後、11月のアメリカ大統領選挙の結果によって、さらに中東の情勢が左右される。

今後も定期的に記事を上げていきます。


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