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あしたのわたしは【短編連載小説】#1

 「1日が過ぎるのってなんでこんなに早いの?」
愛娘がつぶらな瞳でそう呟く。
「なんでだろうね。」
子供は純粋に気になっているのでしょう。
私も同じ様な事を思う時があります。
「なぜこうも日々が過ぎていくのだろう」と。
大人になると時間がとても早く感じます。
つい最近、大学を卒業したと思えば
いつの間にか社会人になってはや8年…。
今年三十路を迎える主婦としては「時間が過ぎる」というのは
「老いていく」と同義語なのです。
「美琴、帰ろっか」
「えー、まだあそびたい!」
「じゃああとちょっとだけね。」
「やった!ママ!すべりだいしてきていい?」
「いいけど、ケガしないようにね」
「はいはーい!」
そう言って娘は元気よく走っていった。

娘の美琴は今年で4歳。
前の旦那との子で、旦那とは別居離婚。
仕事に生きる人で、家事育児はすべて私。
仕事から帰ってきても、基本子供とはあまり遊ばずにご飯、お風呂、そのまま就寝。子供は次第にイヤイヤ期に入り、旦那を拒絶し始めた。
そんな矢先に旦那の単身赴任が決まり、1ヶ月ほど家を開けていた。
私は束の間の休息とはならず、休まる時間はほぼなかった。
 次第に疲れが出始め、限界を迎えかけたので実家に助け舟をお願いした。
「あんた、育児や思って舐めてたら体壊すよ?いつでも頼りや?」
そう母は言ってくれて、心底ホッとしたのを覚えている。
翌日、友人と久しぶりの再会ランチにいく事になって繁華街を歩いていた時、見覚えのある後ろ姿。
妻が旦那の背中を見間違える訳が無い。絶対そうだ。
「単身赴任中じゃないの?」シンプルな疑問が湧いた。
そして視線を横にやると、見知らぬ女性。
「…ん?手組んでない?」
大したことのない自慢だが、私は昔から視力は良いほうだ。
ましてや腕を組んでいるかどうかなど、一目でわかった。
「…どういう事?」
怒鳴りつけに行きたい私と冷静に判断しようとする私。
グチャグチャになって、結果帰宅した。
友人から安否確認が来たが返す気力も無かった。

「あしたのわたしは #1」
つづく…

「あしたのわたしは」

毎週金曜日に更新予定…。

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