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63 大村はま『教えるということ』読了

こんにちは、眠り子です。
大村はまさんという方が書かれた『教えるということ』を読みました。
今回は、この本の感想&紹介noteになります。

日本の国語教育のパイオニアともよばれる大村はまさんは、1947年に学校制度改革で義務教育になったばかりの新制中学校に赴任し、50年以上、教壇に立ち続けた方です。
1947年というと、第二次世界大戦の終戦直後で、学校といっても、机もなければ教科書もない。ノートも、鉛筆さえも‐‐‐。そんな状態だったそうです。
そんな中、様々な壁に必死にぶつかりながらも数々の業績を残された方です。

大村はまさんについてはこちらから。


さて、『教えるということ』は、大村さんが各地の公演会でお話されたものを文字に起こしたものなのですが、これを読んだとき、とても心が引き締めらる思いがしました。
もっと厳しく、シビアに教育というものを見つめ直す必要がある---そう感じました。

教育者とはどうあるべきものなのか。
私は、どうあるべきだと考えているのか。
そして自分は、どのような教育者になりたいのか‐‐‐。


教師とはどういう職業なのか、「教える」とはどういうことなのか。
この本に書かれていることは、基本的にはこれらのことに尽きるのですが、これらをとことん突き詰めた話が書かれている、そんな感じがします。


学校現場で行われがちなことだが、実は非常に問題であること。
それは本来、どうあらなければならないのか。
「静かにしなさい」「分かりましたか」「読んできましたか」「あなたのお子さんは勉強が足りません」「ご家庭でも勉強するように言ってくれませんか」等々、これらの言葉はなぜ禁句にすべきなのか。
子どもが作文を書いていたり問題を解いている間、教師は何をすべきなのか。


ここに挙げたのは、この本で書かれていることの一部です。

もちろん、大村さんが講演会をされたときと今とで、学校の状況は同じではありません。
また、ここに書かれていることが唯一の正解だとは思いません。


ただ、それでも目指すべき理想やあるべき姿を踏まえたうえで、そこに少しでも近づいていく努力を重ねるのか、それとも現状に満足し、「教師」ではなく「教員」であるのかでは、大きな差が出ると思います


ここに書かれていることをすべて実現させるのは難しいと思いますし、その必要がないこともあるかもしれません。
ですが、常に内省し、成長しようとするための、よい足がかりにはなると思いました。
教育に携わる人は、一度読んでみて欲しい一冊です。

ちなみにこの本、ちくま学芸文庫と共文社からそれぞれ出ているのですが、最後の章だけ内容が異なっています。
個人的にはちくま学芸文庫から出ているものの方が好きですが、気になる方は、ぜひ両方ともお手にとってみてみてください。

お読みいただきありがとうございました。
素敵な一日になりますように。


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