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61 頼んだ行動が遂行されない?そんなときに考えたいこと。【三項随伴性】

こんにちは。
眠り子です。

今説明したことをやってみなさいといっても動き出さない、子どもに部屋を掃除しなさいと言ったのにそうしようとしないなど、行動は指示しているのにどうしてやらないのだろう…と思われることがあるでしょうか。
今回は、そんなときに考えたいことのお話をします。

三項随伴性

三項随伴性という理論があります。
これは、生物の行動を先行刺激行動結果からなる3つの視点から考えるものです。
それぞれの英単語の頭文字を取ってABC分析と呼ばれることもあります。

三項随伴性(ABC分析)
・先行刺激(Antecedent)
・行動(Behavior)
・結果(Consequence)

ではこれを具体的に、子どもに掃除をしなさいと言った場合について見ていきます。

まず、保護者なり先生なりからの子どもへの「掃除をしなさい」といった声かけ。
これが、先行刺激に当たります。

次に、それによって指示された行動が生じるかどうか。
今回ならば、掃除をするかしないかです。

そして最後に、その行動を取った結果です。
これによって、今後その行動が生じる頻度や起こりやすさが変化します。
例えば、言われたとおりに掃除をした結果、褒められれば今後も部屋を片付けなさいと言われたときに掃除をする可能性が高まります。
そのうち、言われずともやるようになるかもしれません。

反対に、言われた通り掃除をしていたら「なんでそんなに遅いの!」とか「全然綺麗にできていないじゃない!」とか、その人にとってあまり好ましくない結果が得られた場合、今後は部屋を片付けなさいと言われても、その行動は起きにくくなるでしょう。


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先行刺激によって行動が生じ、結果が今後の行動の起こりやすさに影響を与える。これが三項随伴性でした。

さて、それではこれはどのように普段の生活の中で活かすことができるのでしょうか。
ポイントは、ある行動が行われないとき、原因となっているのは先行刺激、行動、結果のうちの一つあるいは複数である可能性があるということです。

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子どもに「掃除をしなさい」と言ったのに、その行動が生じない場合で考えてみます。

もし「掃除をしなさい」といった言葉の意味の理解に困難を抱えているのだとすれば、それは「綺麗にするよ」と表現を変えたり、あるいは音声言語ではなく視覚的に支持を与えることなどが必要になりうるでしょう。
まだ小さい子どもであれば「掃除」と言われるよりも「ピカピカ」とか「キレイキレイ」と言われた方が理解がしやすいかもしれません。
音声言語の理解が苦手な人には、音声以外の方法で情報を伝える方が効果的な場合もあるでしょう。
これらは、先行刺激の与え方が原因になっていた場合になります。
そもそも指示が通っていないのに、例えば「掃除をしたらご褒美をあげるよ」といくら言っても、掃除をするという行動は生じませんよね。

次に、行動が起こせないことが原因になっているとどうなるでしょうか。
これは、指示は理解しているけれども、それを行う能力が備わっていないといった場合や、どうしたら良いか分からない場合が挙げられます。
これは掃除の場面以外でも割と起こることが多いと思うので、イメージしやすいのではないでしょうか。
掃除の場合だと、例えば掃除用具がどこにあるのかも分からない場所で、いきなり「じゃあ掃除しておいて」と言われても困ってしまいます。
適切な掃除の仕方というものを知らないが為に、どうしたらいいのか分からないこともあるでしょう。
だというのに、いくら「ピカピカにしてね」とか「キレイキレイしよっか」と言っていても始まりませんし、「なんでやらないの!」なんて言ってもかえって逆効果になるだけです。

最後に、結果に原因があるとどうなるでしょう。
これは先ほどの例でも挙げましたが、過去に、その人の指示に従って行動をしていたら、あるいはしたら怒られたといったことがあると、その人に指示された行動は徐々に起きにくくなります。
指示された→言われたとおりにした→怒られた
というのが続けば、段々と行動しなくなるというのはお分かりいただけるのではないかと思います。
この状態でも、指示の言い換えをいくらしたところで状況は一向に良くなりません。

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このように、同じ「指示した行動が遂行されない」であっても、何が原因となっているかによって、取るべき対応が変わってきます。
もちろんこれを知っているからといって、どんな問題でも解決できるわけではありませんが、知っているのと知らないのとでは取れる対応に大きな差が出るなと感じた今日この頃でした。

お読みいただきありがとうございました。
素敵な一日になりますように。

【参考文献】
三項随伴性とは(ABC分析)|学習理論 | カウンセラーWEB:心理学・カウンセリングの基礎知識


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