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自衛隊で働きながら夜間大学を卒業してSIer勤めから東京でフリーランスエンジニア兼デザイナーになるまでのおはなし【自衛隊〜夜間大学編パート1】

こんにちは。
元自衛官で、現在はフリーランスでシステムエンジニア兼デザイナーをしているkgami3(ケーガミさん)と申します。

今回は、なぜ自衛隊で働きながら夜間大学に通うことにしたのかという過程を書いていきます。

「高卒自衛官で転職したくても学歴が無くて人生詰んだ😭」
と、当時の私と同じように絶望している人の未来が、少しでも明るくなることを願って。

高校〜自衛隊編はコチラ👇

いざ、新隊員教育!

自衛官採用試験に合格し、晴れて陸上自衛官となった私。
公務員になったし、これから人生安泰だー!と意気揚々と新隊員教育隊に入隊しました。が、恐怖の前期教育で人生に初めて絶望します(笑)

入隊後は朝6時きっかりにラッパの音で起き、点呼の直後に隊内の掃除をし、ご飯を食べ、座学や体力錬成などを行う毎日。

中高と文化部(吹奏楽部)でスポーツ経験のほぼ無い私が、いきなり自衛隊式の5〜10kmの走り込みや腹筋腕立て等のハードな筋トレに付いていけるわけもありません。

訓練中は自分の体重の半分ほどもある重たい装備を纏い、草がボーボーの山中を汗だくになりながら駆け回ります。

「こんなの仕事じゃない、、誰のなんの役に立つんだ、、自衛隊辞めたい、、、

当時の貧弱な私がそう思うのも時間の問題でした。

※もちろん、自衛隊を卒業した今となっては厳しい訓練の意味は理解していますし、必要なものだったと思っています。当時は視野が狭かったな〜笑

上官の命令は絶対

(上官の命令に服従する義務)
第五十七条 隊員は、その職務の遂行に当つては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

e-Gov法令検索 自衛隊法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000165_20240517_506AC0000000024

自衛隊には、上官の命令に服従する義務というものがあります。「上官の命令は絶対」というやつですね。これは国家公務員として、公務遂行において円滑な上位下達を実現するため、当然の義務です。

しかし19歳の私は非常に生意気で、自分が正しいと思ったことが「絶対」だったため、この義務を煩わしく感じていました。

文化部出身の自分が今まで経験してきたライトな上下関係とは全く異なり、完全軍隊式の上下関係に全く馴染めなかった私は、さらにフラストレーションが溜まります。

そして徐々にこの厳しい上下関係や、入隊方法の違いによる階級の壁を実感することとなります。

曹と幹部の壁

自衛隊には「階級」というものが存在します。
よく軍隊ものの映画で聞く「軍曹」とか「大佐」とほぼ同義ですが、自衛隊の場合は少し呼び方が異なり、「曹長」や「3佐」といった呼び方をします。

※階級について詳しく知りたい方は、自衛隊のWebサイトへどうぞ👇

私は一般曹候補生という枠で入隊しました。
一般曹候補生は、順当にいけば2士→1士→士長と階級が上がっていき、試験を受けることで曹と呼ばれる階級に必ず昇任することができます。しかし、曹から尉官以上(幹部自衛官)に上がることは容易ではありません。

内部から昇任するには、3曹になってから4年経過後に受験資格が得られる「幹部候補生部内選抜試験」に合格するというルートがあります。(いわゆる部内幹部(Iって言う場合もありますね))

しかし部内幹部の場合、よっぽど成績が良くなければ1尉ぐらいまでしか上がることはできないのです。

※ちなみにエリート(高級幹部)になれる方のルートを進むためには「新卒枠で幹部候補生になる(U)」もしくは「防衛大学校に進む(B)」必要があります。

曹と幹部は、一般企業や公務員の入社試験でいう「一般職」と「総合職」の枠組みで考えてもらえば理解しやすいと思います。(システムエンジニア的に言うなら「中途入社」と「プロパー」に近いかな?)

端的に言うとこんな感じ👇

  • 一般職(曹士、高卒枠)で入った場合は非エリートで、昇進しても課長止まり

  • 総合職(幹部、大卒枠)で入った場合はエリート街道を進むことができる

要するに、入った時点で枠組みが区別されていて、一般職で入った人間はそもそも総合職のような出世枠に乗ることすらできません

そう、私が曹士としてどんなに国のためを思って頑張って自衛隊で働いたとしても、位の高いお偉いさんになれないことは入った時点で確定しているのです!ナンテコッター

これが、私が社会に出て初めて知った見えない「壁」でした。

階級による待遇の差

自衛隊の敷地内には隊員用の食堂があるのですが、階級によって場所や入り口が違います。曹士用食堂、幹部食堂、といった具合です。

食堂で出るメニューはどちらも一緒ですが、幹部食堂では盛り付けるお皿が綺麗だったり、机には綺麗なシーツが引かれていたりします。対して曹士は味気の無い食堂で、銀色の使い古したお皿を使っています。(基地や駐屯地ごとに多少状況は異なります)

また、幹部自衛官は営外(自衛隊の敷地の外)に住むことが許されていますが、曹士の場合は基本的に営内(敷地内)に住む必要があります。(結婚している場合や一定の階級&年齢以上の場合は営外居住が認められる)

私は入隊するまで全然知らなかったのですが、このように曹士と幹部では待遇が全く異なるのです。

学歴が、必要だ

前述のとおり、曹士と幹部は扱いが全く違います。
つまり「高卒枠で入った」のか「大卒枠で入った」のかで、立場的にもお給料的にも「勝ち組と負け組が決まっている」ということです。(もちろん立場によって責務も異なりますので、どちらが良い、ということではありませんが、確実に「差」は存在します。)

公務員の両親のもとでぬくぬくと育った世間知らずの私は、そんな当たり前の現実を考えたこともありませんでした。

「大学行って勉強したいことなんてないし、大学受験するのも面倒〜」
「自衛隊ならお父さんと一緒だし公務員だし将来安泰だし良いよね〜」

これが当時の私の考えですが、ほんと世間知らずですね。阿呆の極みです。

しかし、後悔したところで私は既に高卒枠で自衛官になってしまいました。お給料や階級を今以上にアップしたいと思っても、高卒自衛官に敷かれたレールを進むしかありません。

ではどうすれば現状を打破できるのか?

  • ひとつ、このまま自衛隊で頑張って3曹に昇任し、幹部候補生部内選抜を受ける。
    →却下。最短ルートで3曹になっても、幹部候補生試験を受けるには3曹昇任後4年経過する必要があるし、大して階級も給料も上がらない。そもそも自衛隊もうイヤ

  • ふたつ、自衛隊で働きながら独学で勉強し、幹部候補生試験(大卒程度)を受けてエリートコースへ進む。
    →無理。商業高校卒でセンター試験すら受けたことがない低レベルな私に、大卒公務員レベルの試験問題は絶対に解けない。そもそも自衛隊もうイヤ

  • みっつ、自衛隊を辞めて援護協会が推薦する企業に就職する。
    →却下。援護協会が推薦する企業を見てみたが、警備会社とかなんかよくわからない地元の企業っぽい会社名しかない。なにより多分自衛隊より給料低い

詰んだー!完全に人生詰んだー!
高卒ってこんなに給料低いのかー!!
大学行って大卒になっていればもっとまともな職に就けたのにチクショー!!!

と、再度現実の厳しさを知り絶望した私。
途中でふと「あれ、大学行けば良いんじゃね??」と思い立ちます。

万が一幹部自衛官を目指すにしても、転職をするにしても、「学歴と学があれば良いのだ!!」との結論に至った19歳の私は、すぐに社会人が大学へ進学する方法のリサーチを開始しました。

社会人が大学に行く方法

商業高校卒の私は、そもそも大学受験をしたことがありませんので、まずは受験制度について調べることにしました。

最初に調べたのが「センター試験」。
私にとっては、なんかニュースで聞いたことあるな〜というレベルのぼんやりした認識の単語です。

私のような商業高校出身者はほぼ全員「学校推薦」ルートで大学進学が決まるため、周りの友人はセンター試験を受けたことがなく、身近な体験談を聞くことはできません。ということで、とりあえずインターネットを使ってセンター試験の問題を検索したり予備校を探したり2ちゃんねるを見たり色々しましたが、、、

結論、ワイの頭じゃ大学無理!!!

高校では簿記や電卓ばかりやっていて、大学受験の勉強なんてしたことありませんからね。今更数学とか物理とか言われてもさっぱりぱーぷりんです。そして、現状昼間は自衛官としてみっちりお国のために働いており、勉強時間を取ることもなかなか難しい、、

ということで、残念ながらまともなお受験は断念しました(テヘペロ

とはいえ、このまま諦めたら大学に行って学歴を手にいれることはできず、一生自衛隊で下士官として働くことになります。当時の私はまだ輝かしい19歳。何にでもなれるお年頃。そんなの絶対嫌です。

他に大学に行くための「学校推薦」のようなチート制度は無いのか?と、当時のネットサーフィンスキルを駆使し、色々調べていくうちについに私が出会ったチート制度(?)が、「社会人推薦」という選択肢だったのです。

つづく


次回は「夜間大学入学編パート2」です。
いよいよ社会人推薦を受けるkgami3。果たして、夢のキャンパスライフは待っているのでしょうか、、

続きを読みたい!と思ってくださった方は、ぜひスキ🫶お願いします〜

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