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なかなか見られない?知花花織の勝負服/那覇市歴史博物館こぼれ話


レポートをUP済みの「王家の芭蕉布」展を目的に出かけた那覇市歴史博物館。芭蕉布以外にも気になった展示があったので、ご紹介します。

よろしければ併せてご覧ください!

〈期間限定〉国宝「王家の芭蕉布」にパレットくもじで合える!

芭蕉布に負けじ劣らじ遭遇しづらい(!?)知花花織の競馬服

それが、こちらの知花花織の生地で仕立てられた勝負服。「勝負服」というと今では一張羅のことを指すことが多いですが、競馬の騎手の衣装、という意味合いです。

ガラスケースへの写り込みが激しくてすみません。
木綿紺地経緯絣花織衣裳 知花花織
写真左から馬乗上着、馬乗袴/19C半ば頃製作

その昔、琉球で親しまれていた「競馬」は、「馬勝負(ンマスーブ)」や「馬揃い(ンマズリー)」と呼ばれる競技。起源は300年ほど前。馬同士の足の速さを競わせるものではなく、「足組す(アシクマスン)」といって、足さばきや走る姿勢の美しさを比べるものとして人気を博したんだそう。美を競う大会とあって、騎手も華やかな衣装を身にまとっていたんだとか。

で、晴れの舞台衣装として重宝されていたのが知花花織の生地。競馬のほかに臼太鼓(ウスデーク/五穀豊穣を祈るための女性たちのお祭り)などの神に捧げる舞踊の衣装としても用いられてきました。


この馬乗衣装は5枚の布を繋ぎ合わせて製作。残りの生地は何処へ……と
要らぬ心配をしてしまう贅沢なお仕立てですね。
(見づらい写真で、ごめんなさい)

あくまで個人的な意見ですが、
花織といえば、読谷山花織(ゆんたんざはなうい)や首里織、与那国織のイメージが先行してしまいます。目にする機会も限られている印象がある知花花織を、じっくり眺められる場は貴重ではないでしょうか?
この知花花織、沖縄の伝統織物としては珍しく、貢納布に指定されなかったため自由な意匠で織られてきたという側面も持っています。琉球王朝の指示ではなく、知花で暮らした市井の人びとの感性から生まれた“花”だと思いながら布を眺めると、その可憐さが一層際立つ気がいたします。

参考:知花花織事業協同組合 公式HP

那覇市歴史博物館/Information

公式サイト: http://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/

アクセス:パレットくもじ4階

※文中でご紹介した知花花織衣裳が常設展示かどうかは未確認です。ご了承ください



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