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〈あと1週間限定〉国宝「王家の芭蕉布」にパレットくもじで合える!


芭蕉布の推し活に専念するため、沖縄県北部やんばる地方・大宜味村に移住した藤尾です。

突然ですが、沖縄県は旧盆で先祖を弔う習慣があるってご存知でしたか? 今年の旧盆は明日、2023年8月28日(月)〜30日(水)。この時期にお盆休みを取る企業や施設もあり、大宜味村喜如嘉(きじょか)にある「大宜味村立芭蕉布会館」も休館予定とのこと。

パレットくもじ内にある那覇市歴史博物館で「王家の芭蕉布」展 開催中!

とはいえ、本土で暮らしている方は旧盆なんて意識したこともないのでは? 来週前半に沖縄旅行を計画していた芭蕉布好きの皆様、無念のお気持ち、ものすごーくお察しします。
やんばるまでお越しいただきたい気持ちもあるのですが、ちょうど現在、那覇空港に程近いデパート「パレットくもじ」では「王家の芭蕉布」展を開催中! お邪魔したところ満足度が高かったので、ご紹介させていただきますね。

意外と穴場? パレットくもじ4階にある那覇市歴史博物館

私が初めて沖縄に来たのは、確か2004年。その頃からパレットくもじは国際通りの端っこに君臨していたけれど、博物館なんてあったっけ?
調べてみると、どうやら2006年に出来た模様。デパート内とあり館内スペースは限られているものの、琉球王国の歴史を軽く学びながら、琉球王朝・尚家に伝わっていたお宝をサクッと鑑賞できます。忙しい観光客にもってこいの施設です。

月替わりで一部を差し替える展示室の一画に陳列されているのが、8月の国宝衣装「王家の芭蕉布」!

照明が落とされた展示室で柔らかな光を浴びる芭蕉布のお着物3点。お合いした瞬間、心の中で拍手喝采です。初めまして、こんにちは!
なかなか申し上げづらいのですが、この那覇市歴史博物館の魅力のひとつが、館内がいつも落ち着いているところ。今回も、私と芭蕉布、1対3で4
人だけの対話をすることができました。心置きなくショーケースにギリギリまで近づき、ガラスを吐息で曇らせながら鑑賞させていただくことに。眼が喜んでいます……♡
(さながら変態ですが、「写真撮影可」だと確認してから撮っていますのでご安心ください。そこら辺は一応、わきまえているんです)

「王家の芭蕉布」って、どういう着物?

琉球王国時代には庶民から王家まで、幅広く着用されていたという芭蕉布。庶民は染めを施していない生成色で、太めの糸で編まれた着物を着用していたそう。
そして、士族の男性が首里城を訪れる際の正装に用いていたのも芭蕉布。こちらは黒く染められていたそう。
対して、色鮮やかな芭蕉布生地に、絣や浮き織りが施された着物を着用していたのが王族たち。今回、展示されていた3点は、どれも王族の子どもが着用していたと推測されているものだそう。

王家の芭蕉布 1点め :黄色地枡形文様絣芭蕉衣裳

[国宝]黄色地枡形文様絣芭蕉衣裳/18〜19C製作

黄金色の生地に赤い四角模様が描かれた愛らしいデザイン。王子が纏ったのでは、とのことですが、幼い男の子が着た姿を想像すると「絶対可愛い!」と、思わずにっこりしてしまいますね。
化学調査を行った結果、この赤色はベニバナで染めたものだと判明したそう。

王家の芭蕉布 2点め :緋色地枡形菱繋文様花織芭蕉衣裳

[国宝]緋色地枡形菱繋文様花織芭蕉衣裳/19C製作

個人的に大好物の花織です。こちらの赤色もベニバナ染料によるものだそう。
せっかくの花織ですから、斜め角度から見て透け感を堪能しましょう。あぁ、美…。

花織部分の色の濃淡がたまらん……

1点めも同様なのですが、袖口や襟の部分は布の両端にあたる「耳」の部分をそのまま活かして縫製しているんですって。
つまり、織工さんは両端(の緯糸が折り返す部分)までまっすぐ揃うように織らなきゃならん、ということです。なんというか、お疲れ様です……。

王家の芭蕉布 3点め :黄色地縦縞二の字ずらし鍵文様絣芭蕉衣裳

[国宝]黄色地縦縞二の字ずらし鍵文様絣芭蕉衣裳/18〜19C製作

展覧会の告知フライヤーでは期待値が高くなかったものの、肉眼で見ると一番、見惚れてしまったのがコチラ。この縞(しま)模様、白と青、紺、朱色という4色が配されているんですけれど、古さを感じさせないデザインだと思うのは私だけでしょうか? 芭蕉の繊維の光沢感が品格も醸し出しています。この縞がデザインされたシャツとか、英国ロンドンのサヴィル・ロゥで紳士なテーラーが仕立てていそう。特にこの襟の部分がツボ。

渋い縞。好き。

余談ですが、こちらの着物だけ襟に当て布あり。展示品の保護のためかな……と受付で質問してみましたが(めんどくさい客ですみません)、ちょうど学芸員さんが不在だったそうで謎のままです。はてさて。

写り込みが激しい写真で恐縮です。謎の当て布。保護用ですよね、きっと。

この「王家の芭蕉布」展示期間は2023年9月3日(月)まで。当たり前ですが、写真で見るのと肉眼で見るのは印象が大きく異なります。
タイミングが合う方は、ぜひ足を運んでご自身の眼でご覧ください!

那覇市歴史博物館/Information

公式サイト: http://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/

アクセス:パレットくもじ4階

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