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世界一役に立たないガイドブック

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私が今までに訪れた場所に関する記事を集めたマガジン。一般的なガイドブックには載っていないディープな側面を紹介します。美味しいレストランの情報も素敵なホテルの情報も、ものによっては…
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2020年3月の記事一覧

幸せの意味

幸せな暮らしとは、なんだろう。 幸せでない時間を経験したことがある人なら、一度は自問自答したことがあるだろう。「こんな質問があるのか」とこの手の質問に馴染みがないのであれば、そんなことを考えなくてもいい相当な幸せ者か、またはそんなことを考えても意味がないと人生に絶望している者かどちらかだろう。 Country Shopping私はもう5年間もパートナーのルーさんと一緒に世界中を旅している。旅自体に目的なんてものはないのだけれども、私たちは自分たちの旅のスタイルを "cou

世界一のホステル

ホームレスとジャンキーと哲学者と暮らすのが こんなに心地いいとは知らなかった 「みんなで仲良く」が苦手だった私が 自分が属したいと思える集団が存在することを知ったのは だいぶ大人になってからだった 世界一のホステル私が世界一だと思うホステルが、インド西部のある街に存在する。その街はヒンドゥー教の聖地でありながら、大麻の非犯罪化や肉食禁止などヒッピー文化を地で行く特性により、世界中からのバックパッカーを魅了していた。そのホステルは街の中心部から徒歩圏内にあるものの、夜になれば

アクセサリー売りの少女

はっきりと覚えている。それは2016年のある月曜日の昼下がりだった。月も季節すらも覚えていない。でもそれが月曜日だったのははっきりと覚えている。 彼女は10才くらいだっただろうか。一人の女の子が私の元にやってきて話しかけてきた。日本の子供、いや大学生ですら比にならないほどの流暢な英語で、彼女はどうやって顧客に対して魅力的に商品を売りつけるかを理路整然と話してくれた。本当に頭がいい子だなあと思ったが、まあたまに、神童と呼ばれる人たちは存在する。でも彼女は他の神童とちょっと違う

世界はまた美しいビーチを失った

祗園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらはす。 おごれる人も久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、 偏に風の前の塵に同じ。 『平家物語』第一巻「祇園精舎」より 鐘の声の代わりに小波の音 娑羅双樹ではなくココナッツの木 春いうよりは常夏の夢 ではあるが、私が一夏を過ごしたあの楽園は諸行無常、盛者必衰の理を痛いほどに教えてくれた。自分が愛した場所が目の前で壊されていくことほどに切ないことはあるだろうか。 カ