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ボクなりの泣けるマンガBEST10。

たまには思いきりベタなやつを書いてみようと思った。

とはいえ何を書けばいいんだろう。効率よく時間を使う仕事術とかは無理だしなあ。時短レシピでおうち時間を有効に!みたいな?これも無理。むしろ教えてもらいたい。ならばと思いネットの記事とかでよくあるやつをボクもやってみようと思い、タイトルもありがちな「泣けるマンガBEST10」としてみました。まあオレのセレクションBEST10でしかないわけだが。


なのでセレクトはいつものように主観でしかないです。「やだなにこれイミわかんない」「読む気がしない」「うっせえわ」「趣味おしつけんな」と罵詈雑言あるかもですが別にボクがここで「スラムダンク」泣けるとか書いてもイミないじゃないですか。「やっぱ鬼滅は泣けるよ」とか書いても無理がある。なのでいつものようにマイペースにセレクション。だけど自信はある。絶対泣けますよ。ネットで買うのもよし。読み放題で読むのもよし。自宅時間が長い(予想)今だからこそ手にとって欲しい(オレ主観)セレクション。ぜひ。


①目指せ!1等賞/みやたけし 週刊少年チャンピオン連載

先日も自分のnoteで激推ししましたけど未読ってひとが存在することが信じられない名作。何人か知り合いにもリコメンドしましたよ。「ああ、みやたけし」「ブンの青シュン!は読んだわ」「サンデーでサッカー漫画やってたよね。創作お好み焼きがなかなかヘヴィなやつ」とまあほぼ読んでない。この時期のチャンピオンを読んでるひとがなかなかいないってのもありますね。なんだかんだで最終巻がベストかな。オリンピック出場が繰り上げで決まり(ライバル五十嵐くん出場不可能になり)誰にも期待されない中、最終日のマラソンへの参加すべくたったひとりで立ち向かっていく。炎天下のオリンピック。そして起こる大どんでん返し。いやあ、何度読んでも泣ける。キャプテン谷口編の青葉初戦結果にも通じるエンディング。正統なキャプテンDNAを感じざるを得ないスポーツマンガの大傑作。騙されたと思って読めばわかるさ。みやたけしの最高傑作。書店には置いてないです。ネットで全巻まとめ買いして読んでください。全16冊、一生持ってて欲しいし損はない。

②がんばれ元気/小山ゆう 週刊少年サンデー連載

少年サンデー史の中でも名作中の名作でありボクシング漫画の大傑作。アッパーストレートって必殺パンチがいいじゃないですか。ボクはこの世界観の真逆をいったからこそ車田正美の「リングにかけろ」は爆発的ヒットにつながったんだと思ってます。少年ジャンプの3代目編集長西村繁男氏が「どうしても彼には描いて欲しかった」(実現せず)と自著で語っていたのが小山ゆう。ギャグ(「おれは直角」)も描けて「がんばれ元気」のような作品も描けた才能はいまだ現役で描き続けている姿を見ればわかる。でも泣けるという意味ではやっぱりコレ。すべての伏線が関拳児とのラストバトルに集約していく。好きなエピソードは関戦の前に組まれたタイトルマッチ、相手役の海藤卓がパンチドランカーになっちゃうやつで元気のトレーナーがそっち側へ行っちゃうやつ。出会いと別れを物語全体でこれほど爽やかに描いた作品を他に知らない。読んだことないひとはぜひ。ボクは「あずみ」より断然こっち派。

泣けるのはラストもそうだけど皆川のぼる編がいいなァ。元気が施設に預けられてた頃の幼馴染で才能はハナから違う、実力も段違い、それでも「僕は元気くんと試合がしたい」と熱望するのぼる。男ですよ。引退後はラーメン屋やるんだと爽やかに語るのぼる。2ラウンドKOだけど元気のハードパンチに倒れることなく立ったまま気絶した姿は感動。男だぜ、のぼる。

川谷拓三似の山谷勝蔵もいい味だしてる。東大入学するも受験ひとすじで趣味もなくいきなり女に溺れる岡村秀一(もちろんフラれる)、歌手志望でアイドルとしてデビューするも過酷な環境に耐えれず元気の部屋におしかける石田ともこ、小学生からのライバルの火山尊、みんないいやつ。ボクシング漫画なんだけどボクシングに逃げずちゃんとそれぞれの青春群像劇なんですよね。涙腺いますぐ破壊したいひとは即読んだほうがいい。昨日ひさびさに全巻読んだらやばいね。ずーっと涙腺ゆるみっぱなし。

③いつでも夢を/原秀則   週刊ヤングサンデー連載

個人的には「冬物語」よりこっちのほうが好きだったりする。いわゆる漫画家もの。漫画好きのさえない高校生(さえなさぶりが過去作含めてナンバーワン)が漫画家を目指す話だが、細かい描写がいちいちリアル。アシスタントをやるべく行った仕事場でいる嫌なやつとのやりとりとか。そんな中同じ漫画家志望の女の子と出会うがしかし、、。泣ける作品って意味だとちょいと違う気もするけど最終巻は見事なんじゃないかと思います。ラストはしみじみ泣ける。「部屋においでよ」のほうが泣けるんじゃない?と思うキミ。ちゃうねんちゃうねん。あれは泣ける話じゃなくて悲惨な話よ。青春はいつも残酷なんだ。Piece。

主人公の多田野一郎の学生時代の不遇さ(存在感のなさ)は当時読んでて辛かったけど漫画家目指してデビューのとっかかりつかむあたりから青春ものとしてぐいぐい読める。漫画を選ぶか恋を選ぶかの分岐点での行動は前作「部屋においでよ」にも通じるけど断じてアリ。ゆえにあの最終回なんですもんね。

④キャプテン/ちばあきお 月刊少年ジャンプ連載

この作品はラインナップせずにいられないよね。泣けるって意味では谷口編と丸井編。これはね、日本国民全員読むべきレベル。イガラシ編は嫌いじゃないけどこのへんになると戦力もそれなりに揃って強豪化しちゃってるんですよね。近藤編になると初期メンがほぼいなくなるし。谷口編だと青葉戦の初戦結末。あの終わり方を選んだ時点で名作確定。そして再試合って運びも納得。丸井編のセンバツ出場初戦敗退ってのもいいんだなあ。いったん地に落ちて這い上がっていくのを読む醍醐味。強豪中を呼んでの練習試合連戦カードを組み全勝しはずみをつけての宿敵青葉との決勝戦よ。もうね、読んでないとか読む気にならないってひと、意味わかんない。丸井編までは読むべきなんじゃないすか?てか読んで。おねがい。ほんと泣けるっす。泣けないひとおかしいよ!

前も書いたけどイガラシ編で好きなのは実家の中華屋で朝練いく前にラーメン作るシーン。いわゆる朝ラーですよ。あれ、いい。早朝からラーメン食うイガラシ兄弟。なんかうらやましかった記憶あり。

⑤新巨人の星/梶原一騎・川崎のぼる 週刊読売連載

先週何気に再読。これね、ほとんど評価されてない気がしますが「泣ける」って意味では傑作ですよ。変化球(魔球)多投で左腕を壊し投手生命を絶たれた星飛雄馬。最下位にあがく古巣巨人への復帰を目指すべくひとり山奥でバッティングマシーン相手にボールを打ち込む日々。かつて巨人のエースとして君臨した栄光にすがりつくよりも代打専門でも野球に復帰したいという毎年TBSで年末オンエアされてる「プロ野球戦力外通告」の先を行くこの作品。実はもともと右利きだったという設定もナイス。おそらく評価しづらいのが大リーグボール右1号蜃気楼魔球の存在なんですよ。左腕時代に繰り出した3つの魔球は理論的に作中で説明されていたけど蜃気楼魔球は「どうしてボールが3つに見えるのか」が解明されないままあっさり花形、左門に打ち込まれる。作品はそこで終了、川崎のぼるが降板し影丸穣也による「巨人のサムライ炎」で飛雄馬は2軍ピッチングコーチとして登場したりする。不屈の男、星飛雄馬が爽やかに描かれる作品って意味では「新巨人の星」ですよ。ちなみにアニメ版では星一徹、テレビで飛雄馬が投げてるところを観戦しながら自室で死んじゃうんですね。そして星は夢の大リーグに挑戦すべく旅立っていく。アニメ版では寿司屋に下宿してんですよ、飛雄馬。前作が偉大すぎて評価されにくいんでしょうが個人的には「泣ける」って意味ではこっちです。

⑥俺節/土田世紀 週刊ビッグコミック・スピリッツ連載

土田世紀のマンガ史に残る傑作中の傑作。バブル真っ盛りの時代のビッグコミックスピリッツであえて「演歌」もので挑戦する姿勢。この時点で泣ける。ディレクターの浜田山もいい。上司とのやりとりが妙にリアル。わかる。ああゆうことある。あるんです(ボク、元レコード会社社員だからわかるのよ)。
「オ・・俺、嫌んだもの。俺にだって武器あるったもの・・・」
そう言葉を残し故郷津軽を離脱、歌手を目指すべく上京する海鹿耕治。
ボクが東北出身だからいちいちコージの津軽弁には泣かされるだけかもしれないけど盟友南風原太郎ことオキナワとの別れ、そして恋人テレサとの別れと再会。いちいち泣く。泣かせる。北野波平(大御所演歌歌手)、流しの演歌師の大野、一瞬大江千里かと思わせるカジュアルな格好がグッドなコージのマネージャー唐名新政、と濃いキャラがこれでもかと泣かせにかかる。いわゆる歌手として大成してっていうドラマがあるわけじゃないけどそれがいい。なにげにコージの祖母がいい味出してるんだ。こたつで寝転がって昼ドラ観てるシーンとか最高ですよ。舞台化されてますけどコレ、あえてのアニメとかして欲しいですね。NHKのEテレアニメ枠で。ありだと思いますけどね。

ボクは「俺節」以前にたまたま「未成年」と「永ちゃん」を読んでいた。とんでもない才能だと思った。そして自分とトシがそれほど離れていない事実にショックを受けた。しかも東北ですよ。自分と世代が近い漫画家が世の中に出始めてきたんだと初めて実感させられたのは今でも覚えている。

⑦愛、知りそめし頃に…/ 藤子不二雄A ビッグコミック増刊連載

「まんが道」の続編であり、漫画家として軌道に乗り始めた滿才茂道(藤子不二雄)をはじめとする寺田ヒロオ、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、つのだじろう、鈴木伸一らの青春群像もの。あくまで目線は滿賀道雄(安孫子素雄)なので読むたびに途中離脱した森安なおや、結婚してトキワ荘をあとにするものちに筆を折ることになる寺田ヒロオ、一切登場しない水野英子など突っ込んで描いてないがゆえにこの描かれている青春の晩年が妙に切ない。きっと続けようと思えば物語は続けられたと思うけど「オバQ」誕生直前で作品は終わりを迎える。史実とはタイムラインも違うけどそういうことは重要じゃないんですよ。ちなみにトキワ荘ミュージアム、まだ行けてないんだよね。久々に「松葉」聖地巡礼もかねて行ってみたいよね。行かねばなんですけど、はい。

物語後半、静かにまんが道を去ろうとするテラさんの姿はやっぱ切ない。

⑧六三四の剣/村上もとか 週刊少年サンデー連載

村上もとかによる剣道青春(青シュン!ではない)もの。のちに描かれる「龍」も剣道を通じての大河ロマンものですが、この作品は80年代少年サンデーを代表する傑作ですね。岩手と奈良に住む2人の少年、六三四と修羅はそれぞれ剣道の天才。そしてふたりの少年の父もまた宿命のライバルだったって構図。幼少時代から小学生編、そして高校生編と丁寧に描かれるドラマはどっちが勝ったとか負けたはどうでもいい。ただ剣の道に一途に青春を賭けた姿の美しさを村上もとかの作画構成力により感動が増幅される。小学生編決勝、そして高校生編最後の大会決勝が感動のピーク。土日もしくは休日に一気読みをおすすめ。個人的推しは六三四が高校生になり寮生活を始めるあたり。小汚い下宿に生息する先輩たちが実にいい味だしてる。代表格が武者絜和(得意技はマシンガン突き)。あと六三四の父に尊敬の念を抱く大石巌。いいやつなんですよね、巌。幼少編では単なるいじめっ子のガキ大将が節目節目で六三四を鍛えるきっかけを作る男。「泣かせ」の素って周辺キャラがどう動くかってのも大事だと思うんですけど「六三四の剣」は理想的に機能してる作品なんですわ。

⑨男の自画像/柳沢きみお ビッグコミック連載

これは忘れちゃいけない。ハードボイルド柳沢きみおの最もアブラが乗った時期に描かれた傑作野球もの。物語の構図は「新巨人の星」にも通じる怪我をしたかつての名選手がカムバックを目指す話ですけど、こちらは引退後サラリーマンとして元CAの妻と子供とつつましやかな生活を営む中年男が主人公(しっかり愛人1名キープしてるのが柳沢クオリティ。ナイス!)。かつてバッテリーを組んでいた元キャッチャーは居酒屋経営(途中で奥さん逃亡)しながら主人公のプロ復帰にむけてバックアップをする。切ないのは居酒屋も経営難で閉店せざるをえない状況になり田舎に帰っちゃうんですね。他にも酒におぼれて自室で亡くなったりヤクザになって撃たれて死んだりぼったくりバーのマスターになったりと元プロ野球選手が引退後いかに生きていくのがしんどいかってエピソードが随所に盛り込まれ物語に膨らみを与えている。主人公もね、カムバックはするけど大成はしない。だけどそこがいい。「男の生きがいとは如何に」を真正面から描いた傑作。生きがいに殉じる姿って泣けるんですよ。

⑩「坊ちゃん」の時代(シリーズ)/関川夏央・谷口ジロー 漫画アクション連載

この「坊ちゃん」の時代シリーズは紙でじっくり読んでほしい。明治の時代、夏目漱石を中心に描かれる群像劇。泣けるのが琢ボンこと(呼ばれてない)石川啄木編の「かの蒼空に」。殆ど啄木に関して知識がなかったボクはコレ読んだとき驚きましたね。こんなダメなひとのコトバが教科書のってたんだって。早朝から金田一くんと同じ下宿で自らを切り刻み泣きながら「死にたい」とつぶやく啄木。だが次のシーンではけろっと朝飯をおかわりする啄木。啄木のダメすぎる人間性を残酷なまでに描くこのシーンは秀逸ですよね。それをいえば「秋の舞姫」と題された森鴎外編もしかり。ドイツから来日するも願いかなわず帰国するエリス。明治流星雨編のヘヴィネスは今回はスルーしつつ最終章の「不機嫌亭漱石」切なさは好みなんですよね。死と時代の終わりに向き合う漱石と猫。関川の原作、そこに谷口ジローの絵があっておそらく史実が脚色されてるだろう点もまったく気にならない。泣けるって範疇で考えると少々ニュアンスが異なる作品かもしれないけど4部作の一気読みはおすすめですね。


10作品選んでみましたがおそらく漏れてるもの多数あるよなァ。むつ利之の「名門!第三野球部」はどうするのかとか(なんだかんだで冒頭1軍との試合は泣ける)選んだあとでも迷いはあるんですけど現時点ではコレ。やまだないとの「西荻夫婦」、松本大洋の「花男」もあったなあと思いつつ今回は入れてない。土田世紀は「編集王」じゃなくてよかったかなァとかさ少々後悔も正直あるっちゃある。「こんなの泣けねえ」「知らねえ作品ばっか」「読む気にならん」という意見もあるかと思いますがそれぞれのベスト10でいいじゃん。あくまでボクが選んだ「泣ける」マンガのベスト10。とりあえずみやたけしの「目指せ!1等賞」読んでよね。ほんと泣けるし。柳沢に続く布教活動作品ですよ。新装版でもなんでもいいから紙で再発して欲しいな。オレ、解説書きますから!

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