詩 鳳仙花(2006年)

鳳仙花の実がはじけると
足場をなくして裁断された
紙きれ天使の黄金(きん)の翼は

蝶の目覚めの瑞々しさで
薄荷の匂いを薫らせて
夜から脱けでた阿佐ヶ谷通りを
さんさんさんさん行き交って

ペンキの剥がれた鉄のベンチで
どこかを見ている
小柄な少女の瞳の奥で

可憐な頸をやさしく包み
風に揺られるマフラーで

白地に黒に瑠璃色の
タータンチェックの調べを唄う

(2006年)

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