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詩 夢(2002年)

時に養われたまま生きている 
期待でできた 夢の臓腑が きみの伴侶になった
昨日の果てで
これから先へも 崩れ落ちていく昨日の果てで
その半身だけに眩い化粧を施して 
それはきみのそばまでやって来た きみのそばまで
きみは毎日のように 裏切られたままそれと出会った
気付いたときにはもうそこに降りている
数え切れない約束の中心
眠りから目覚めた場所にある静寂の裏側

強く透き通った陽射しが 
夢遊病に取り憑かれた街並を浮き彫りにさせて
その奥で次第に引き延ばされていく菫色の黄昏が 
ささやかな陶酔にひとつの翳りを縫い付けていく
不釣合いなほどに重い翳り
もうもとに戻らないまでに蒸発した一つの断裂が 
流れるように降りてきた宵闇の中に 遍在している

運命と憂鬱が きみの外側に流れ出て 
あらゆるものの中に混ぜ合わされていく
あらゆる美しいものが新しく名づけられて 
やがては次第にきえていくのをきみは視る
ほんとうはきみではなくて ただきみの影だけがそれをみていた

(2002年 おそらく2006年頃推敲)


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