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猫と暮らして

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愛猫との生活の記録。彼らへの偏愛。猫を飼うことの意義。それらを綴っていきます。
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#多頭飼い

繊細な、猫の「食」-猫と暮らして(7)

ただ餌を与えるわけではなくて「衣食住」は生きるための三大要素である。言い古された表現だが、生活の根幹を探ると、確かにこの3つにたどり着く。 猫には「衣」はない。代わりに「毛」がある。 家猫には「住」があるが、野良猫にはない。 いろいろ考えると、猫も人も等しく必要なものは「食」ということになる。 猫を飼う前後、猫の食事について本を読んだりウェブで検索をしたりした。調べると誤解が多いと分かる。 ご飯に味噌汁をぶっかけたものを「猫まんま」というが、あれを猫に与えるのはNGらし

猫に名前をつけた日-猫と暮らして(6)

名前をつけることは難しいいざ考えだすと難しい。一度決めたら変えることはできない。名付けたら最後、不可逆の選択。私は悩んだ。こういうことに考えすぎる傾向があたしにはある。 だが逆に正直なんでもいいかとも思った。理由は2つある。 一つは、あたしに名前に対するこだわりがないから。飼ったらこんな名前をつけたいという願望がなく、まぁ極端に派手だったり意味深だったりする名前でなければ何でもいい。 もう一つは猫は名前に反応しない、名前を認識できないという話を聞いたことがあるから。名付

猫と離れる・猫のおしっこ・忘れていた大事なアレ-猫と暮らして(5)

猫と離れる自分の家に猫がいる。数日前までは、会ったこともない猫たち。彼らだけが家にいる。 猫たちは今どうしているのか。仕事が手につかない、は言い過ぎだが、あまり集中できなかったことは確かだ。
 変なところに入って出てこれないことはないだろうか。怪我したらどうしよう。物を壊すこともあるだろう。いや、それはいいとして、やはり怪我や困りごとが起きてないといいが……。 退勤時間になり、足早に家に帰った。 ドアを開けて灯りをつけた。部屋をざっと見渡したが、変わった様子はなかった

彼らがうちにやって来た日-猫と暮らして(4)

受け取りの日結局、引き取ることを先方に伝え、具体的な受け取りの日取りを決めた。 日程が固まり、ふと思った。本当に猫を飼うのか、と。猫との暮らしがスタートしたら最後、猫と自分は終生の「家族」となる。自分の生活の形やリズムが変わるだろう。できていたことができなくなるかもしれない。そういう迷いがあった。 しかし同時に、ここまで決まったら腹をくくるしかない。何事も前向きにとらえるしかないのだ。そうも思った。 数日後。梅雨の前のカラリとした日。2匹が住む隣県某市のお家に伺った。 お

条件・お断り・めぐり合わせ-猫と暮らして(3)

某年の春。数年ぶりに引越しをした。引越し先は猫が飼えるアパート。猫が歩きやすい床、猫の爪とぎに耐える壁紙など、猫が生きやすい作りになった建物を選んだ。わたしは猫を飼う決心をつけたのだ。 改めて「ペットのおうち」を検索した。 私がこだわった条件は、「兄弟/姉妹・二匹・雑種」だった。 私は日中は家にいない。一匹だと寂しい思いをさせてしまうだろう。 ある友人は2匹の兄妹猫と暮らしている。 「性格にもよるが、2匹だと寂しくないみたい。血がつながっていて生まれたときから一緒に暮らし

猫の価値・人の都合・引っ越し-猫と暮らして(2)

「どうして猫を飼おうと思ったの?」と聞かれることがある。 猫と暮らすのが子供の頃からの夢、だったわけではない。猫の扱われ方に対する憤りと同情と責任感。それが綯交ぜになり、いつしか飼うことを決心した。簡単に言うとそういうことだ。 ある日ふと興味本位で動物の値段を調べてみた。亀や金魚のように安い動物もいれば、希少動物だと車の値段に匹敵するものもいる。 代表的なペットである猫も値段の上下が大きいなと感じた。 猫の「価値」は様々だ。店頭で数十万で売られている猫がいる。そうかと思

記録・偏愛・その日に向けて−猫と暮らして(1)

私・見える彼ら・見えない彼ら我が家には猫が二匹いる。目の前で餌を食べ、遊び、寝転がる。しかし、姿が見えないことも多い。移動のとき、足音を消してどこかへ歩いていったりもする。それなのに、確実に私の家に息づいている。どこかに気配がある。それが私には分かる。 目に見える彼らと家と一体となり空気として存在する彼ら。私は二種類の猫と日々暮らしている。 勝手・絡み合い・共に暮らすなぞ猫には猫の勝手がある。人はその様子をわがままと呼んだり、気高いと呼んだりする。 夜明け前。眠い中叩き起こ