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「味わう」という動詞は神だった

動詞の中で最強のものはなんだろう?すこしだけ考えてみたい。最強の意味合い。多数の含意があることとする。オールマイティ。どんな状況や場面でも幅広く活躍する、われわれがよく活用できる動詞。真っ先に思いついたのが「味わう」だ。この動詞は味覚以外でも用いられるので3つに分類する。①飲み物や食べ物の味を感じるとること、②物事の意味や面白さを感じとること、③人生の機微や人間の喜怒哀楽を身に染みて感じとること。①はおいしさ、②はおもしろさ、③はいとをかしさ。こうしてみると「味わう」という動詞は、一瞬で感じるような感覚ではなく、時の経過の中でゆっくり、じわじわと湧き上がるようなものだとわかる。つまり、感じるのは瞬間だが、感じとるのは差延。熱いや冷たい、甘いや辛いは誰でも即答できる。しかし、「おいしい」や「おもしろい」や「いとをかし」は人それぞれ。味は複合的なもので白黒つけ難いのだ。

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