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生物界のおきてに学ぶ弱者の動詞③

稲垣栄洋さんの著書はいつも面白い。最初に手に取ったのが『弱者の戦略』。自然界は厳しい生存競争にさらされているが、必ずしも「強い」ものが生き残れるとは限らない。一般に「弱い」と思われている生物が生き残るために取っている戦略。それが4つにまとまっている。第三に、隠れるという動詞。強者はよくこう言う。「わたしは逃げも隠れもしない」と勇ましい。しかし、弱者にとって「逃げ隠れ」こそ必須の能力だ。逃げるは動的、隠れるは静的。隠れるという動詞は忍者のような感じがする。擬態、身を隠すために周囲のものへ色や形を変える戦略。昆虫のナナフシの場合は木の枝に、コノハチョウの場合は名前の通り木の葉に、その身を変えるのだ。自らの存在を隠す。アゲハチョウは特に巧み。何しろ成長にあわせて次々に擬態を変化させる。まるで昆虫界のカメレオンなのだ。

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