今度のアジアオープンはすごかったらしい
いまいち筆が重くて1週間たってしまったのは、現地に行ってないのと、まああの…ちょっと結果に納得がいかなくてダメージをくらっていたからなのですが(なんでお前が?という感じですが)、やっぱりすごいものはすごいと書いておきたいと思います。
あれ、言及しちゃあかんこと言ったかな。
別にいいよね。私、一般人だし。
結果に納得がいかん!!!(個人の感想です!!!)
ま、オリンピックでさえ採点競技というのはもやもやするものですからね。
(平野歩夢くんはすごいなあ。怒りをパワーに変えてジャッジを黙らせた技術とメンタルがすごい)
さて。私は今回、観戦に行くかどうか、相当悩みました。
海外選手は来ないし、チケット代は高いし、安めの席だと矯正視力が両目で0.6しかない私にはつらいし、競技会の食事は食べたくないし(だっておいしくな…)、そもそも円卓が好きじゃない。それでも行く価値があるのか否か、できるだけ事前にリサーチしました(その必要性は以前学んだのでね。詳細はこちら)。
で、わかったのは、ミュージカル歌手の方が来て歌うこと、それに合わせてレジェンドダンサーがショーをすること、準決・決勝はミュージカル音楽で行われること。
うーん、微妙なところだなあ。
というのは、私、お芝居は大好きなのですが、ミュージカルはほとんど知らないのです。
「お芝居は、お客さんに一緒に笑ったり泣いたりして共感してもらうのが醍醐味だけど、歌ったり踊ったりは…普通しないじゃないですか」
と、ミュージカルをディスったのは、私ではなく私が敬愛する三谷幸喜で、その後に彼は「オケピ」という大傑作ミュージカルを上演し、私は3回もリピートして音源も買ってしまったわけですが、はまったミュージカルはそれくらいかな。ミュージカル音楽も、誰もが知ってる曲しか知らない。
「今度のアジアオープンはすごいらしい」
と書かれた教室のポスターを眺めながら、「準決・決勝で使うミュージカル曲ってダンス音楽にアレンジされてるんですよね?」「ええ、そうですね」という会話を先生としたのがチケット販売が開始された頃。だったら別にいいかなあ、だって普段からよくダンス音楽に使われてるじゃんミュージカル曲って多分。
(注:選手は数日前までダンス音楽だと思っていたらしいので、先生に責任はないです)
ま、チバテレさんの配信のクオリティなら安心だし、配信でいっか。
という流れで現地観戦はやめて、当日は夜の部の配信を観ながらオンライン女子会をしました。いい時代になりましたね。
まずは、ミュージカル歌手の生歌でのチャンピオンショー。大変素晴らしゅうございました(満足)。
そしていよいよ準決勝へ。
はいはい、全曲ミュージカル曲というのは聞いてますよ。おお、曲紹介が入るのか、凝ってるな。私、ほとんど知らんけどな。
と、オンライン越しにわちゃわちゃ喋っていたダンス仲間たち、曲が流れた瞬間に、みんな固まる。
これ、原曲じゃね?
ダンス音楽じゃなくね?
えっえっ!? デモじゃないよね? コンペよね? いきなりこれ流れて普通に踊りだしてるんですけど、これで競技ルーティン踊れるの? どこでリズム取ってるの? アドリブなの? 白紙の台本渡された北島マヤ的な感じなの? みんな天才なの? プロってそういうものなの?
ついにインターナショナルダンスもアメリカンダンス寄りに振り切ったのか。英国より米国か。やっぱりGDPには逆らえないか。いやいや、アメリカンダンスだってさすがにコンペではダンス曲使うだろう。
戸惑う我々をよそに進んでいく競技。流れるタンゴ…タン…ゴ…?
友「けやきさん…これ…踊れる?」
踊れないよ…。
いくら私がダンスのリズムを全無視したポップスやらロックやらでスタンダードデモをしてる勇者だといっても、先生と打合せしてるし!もはや練習期間の大半をリズム取るための打合せに費やしてるようなものだし!
なにしろ配信なので、どんどんカメラが切り替わっていき、さっぱり全貌がつかめないのです。そしてこの準決から、解説が、ない…。
Zoomの中で、何がなんだかわからずおろおろする我々。
そんな配信画面に一瞬映ったスタンダードの西尾組(準優勝)の踊り出しが、なんかちょっとアレンジされててとても曲に合っていたので、さすがキチガイみたいな…違った、やる気に満ち満ちたブログを大会前に書くミュージカル狂…じゃないわ、ミュージカルをこよなく愛する西尾組は、曲名のアナウンスだけで即興でこんなアドリブできるのか、北島マヤと姫川亜弓が組んでるみたいやな、とわけのわからんことを考えるくらいに私も興奮していたわけですが、真上からのアングルでフロア全体が映ったとき、曲の間(ま)に合わせて全カップルが一斉に間(ま)をとったのを観て、あ、事前に知らされてるんだな、と悟って落ち着きました。ぜえぜえ。
私、ただの習い事としてふらふら踊ってるだけの一般人ですが、ダンスは曲先というこだわりを持っており、コンペでもトライアルでも、何が流れるか踊る瞬間までわからない、という類のやつは、踊る立場としてはもれなく苦手です。観る立場でもですね…まあ、ほら、たまに…ときどき…わりと頻繁に…むりやりリズムを変えてこねくり回して編曲したあかん曲が流れるじゃないですか…。ああいうのがほんとダメな人なのでね…勘弁してくれと思う人なのでね…今回、心から思ったのです。
原曲は裏切らない。
原曲は裏切らない。
大事なことなので2回言いました。
きっと踊りにくいと思います。だけど、それぞれの選手が独自の感性で音楽を表現している姿が、かっこよくて、芸術的で、個性にあふれていて素晴らしかった。それを、同時に、一斉に、同じフロアで同じ瞬間に観比べられる競技なんて、他にはないんじゃないだろうか。私、改めてこの競技の魅力と可能性を認識しました。これをやろうと決めた発想の転換と勇気がすごいよ。
ミュージカル音楽のことは恥ずかしいくらい知らないけれど、ダンスとの親和性がとても高くて、私は今回の競技会に、音楽に対するリスペクトを感じました。もちろん社交ダンスそのものに対しても。
今度のアジアオープンはすごいらしい、と聞いていたけど本当にすごかった。ダンスの世界の新しい扉をまたひとつ開けてくれたことを、とてもとても嬉しく思います。運営の皆さま、スポンサー様、選手のみなさん、ありがとうございました。
蛇足ではございますが、ひとつだけお願いがございます…。
一般人の私は、すごい「らしい」で3万円は出せませぬ。「すごい」内容はチケットを売り出す際に教えていただきたく、切に切にお願い申し上げます。(前も言ったけどしつこく言うよ。だってもったいないじゃないか。観たい人に!観てもらいたいじゃないか!あんなに面白いものなら!私も!現地で!観たかったじゃないか!)
何卒、何卒…。
(おわり)
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