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リーダー修行記⑩(パートナー先生にリーダーを習ったら大失恋した件)

約3ヶ月ぶりに、女性の先生のところへレッスンに行ってきました。
男性の先生にリーダー個人レッスンを受け始めたばかりの頃に行ったときは、普段と全然違う華奢で折れそうな生き物を右手に抱えて前進することが怖くてろくに踊れず、知識も技術もなさすぎて、先生の言ってることがさっぱりわからないまま終わったレッスン。

思えばそのときは、先生も、女子リーダーとしての私が何を目指しているのかわからず、戸惑いがあったと思います。
でも今回は。
「ホールドの強さが、前と全然違うね。結構、真剣にやってるよね?」
って言ってくれた!
わーいわーい嬉しい嬉しい!!

と喜んでいたら、本気度が伝わりすぎたらしく、前回とうって変わってレッスンが厳しくなりました

厳しくなりました

ワルツのナチュラルターンでダメ出しをされ、タンゴの2ウォークでダメ出しをされ、スローのフェザーステップでダメ出しをされ続けた50分。

お前もか。お前もなのか。お前もジキルとハイドか。

リーダー、まじでつらいな泣きそう、と思いつつ受けたレッスンですが、男性の先生と女性の先生の「視点の違い」を感じることができたのが大収穫でした。
男性の先生は「リーダーはこうあるべき」と教えるけど、女性の先生は「リーダーにはこうしてほしい」と教える。言っていることは同じでも、視点が180度違う。

たとえば、ルーティンの途中から始めるとき、男性の先生に「ここからやって」と言われて「ここってどこよ?」と聞いたら、「そこで迷子になるのはリーダーじゃない」と怒られた話(詳細はこちら)を以前書きましたが、女性の先生はこう言うんですよ。

どこからやる?

私「・・・・・」←何を聞かれてるかわからない
先生「どこから始めるの?」
私「!!!!!」(それ私が決めるんですか!?!?)
先生「・・・・・」←だってオマエがリーダーだろという眼で待ってる
私「じ、じゃあ、ツイストターンから・・・」←この時点でクローズポジション
先生「クローズから始める気?」←決めるのはすべてオマエだという眼

そ、そうか。選択権を全部押しつけ…委ねてくるのがパートナー先生なのか。日頃、男性の先生に習ってる私。ここの部分に関しては、完全パートナー気分で先生に甘えてきたのだと反省しました。

しかし、私もだてに4ヶ月、ハイドの元で修行をしてきたわけではない。
踊り出しで動いてもらえず、ステップのたびに停止ボタンを押され、スマホの中に無駄に静止画を量産してきたわけではない。
き…気持ちの部分では…「リード」の神髄に関しては…ち、ちょっとくらい、まな…学んできたはずだ。それはきっと、つた…伝わるはず…。

先生「普段、どういうこと指摘される?」
私「パートナーに対する『気持ち』が足りないって言われます」
先生(爆笑)
私「そっちに行ってほしいっていう気持ちが足りないって」
先生(大爆笑)

先生「けやきさんの先生がそれを言う理由はすごくよくわかるんだけど」
私「はい!(ですよね!?)」
先生「その前にその左足はこっちに出して」(冷静)

・・・なんだろう、この「永遠の片思い」感。

お前そんなレベルじゃないだろ、というのももちろんあるだろうけれど。
なんか、そういうこととは関係のないものを感じる。
男性の先生が、技術に走る前に「気持ちがあること」がリーダーの必要最低条件だと認識しろ、そこは絶対間違えるな、大前提だと教えてくるのに対して、清々しいほどの「そういうのどうでもいい」感。

気持ちとかどうでもいいから足はこっちに出せ。

そう言われたとき、私、ふと思いました。

「君のことが大切だよ」とか言わなくていいから皿を洗え

って私も言ってるな!夫に!(笑)

別にそれで夫婦間がすれ違ったり、関係性が悪化したりもしないし、むしろそれがコミュニケーションみたいなところがあるわけで。
えっ、もしかしてダンスのパートナーシップもこんなものだったりしますか?

思えばかつてカップルレッスンを受けていたとき、初回のレッスンで、先生が「けやきさんのことを、すごく大切なモノとして扱ってほしいんですよ」とリーダー氏に切々と訴えていたのをとてもよく覚えているのですが、側で聞いていた私は「ふ~ん」くらいにしか思わなかったんですよね。まさしく、「そういうのいいから正しい位置に足出してくれる?」と考えていた。

む、胸が痛い。
立場が逆転したら、すごい、つらい。

もしかして世の中のリーダーさんたちは、みんなこの道を通っているんですか。
大切に大切に扱って、僕は君のことを想ってるよとどれだけ伝えても、いいからきれいに皿を洗え、ゴミを正しく分別しろと言われる理不尽に耐えているんですか。
それでも君のことが大切だと、全身で叫んでいるんですか。

はあ…いつも男性の先生と踊ってるから全然気づかなかったよ。
だってせんせえ、「気持ち」があれば通じるって言ったじゃないか(それだけで通じるとは言ってない)。

そんな傷心をホームに持ち帰ってパートナーレッスンを受けたら、パートナー側が上達していました。ダンスってそういうものよね(笑)

(つづく)

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