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リーダー修行記35(肉体的に男子に負ける気がしていなかった私の謎の自信が打ち砕かれた人体の不思議について)

リーダーをやり始めてから、人って見た目の体型とか身長体重関係なく、骨格が全然違うってことに気づいたんですよ!

と、すごい発見をしたかのように言ったら「男同士は、相手が肉体的に強いかどうかを常に比較観察する生き物なので、その辺は本能的にわかりますよ」と、行きつけの整体師さんに言われました。

そ、そうなの?
狩猟民族だったときの名残りなのかしら。
女性同士は、スタイルを比較観察することはあっても、他人の骨格を気にする人はマレな気がしますけども。

私はサークルでリーダーを始めたので、当初は女性、それもたいていが自分より小柄な女性とばかり踊っていました(自分がでかいのでね)。なので、いざ本格的に自分の先生にリーダーを習うことになって組んだとき、その身体の硬さと厚みにビビりました。

私の先生は私との身長差が10cmもないし、すごく華奢に見えるし、私と組んだ写真や動画を観ても全然大きく見えないし、むしろ小さすぎるくらいだし、うちの先生は細すぎてリフトできないに違いないという話で同門の生徒さんたちと盛り上がったこともあるし(めちゃ失礼)、私が踊ったことのある他のプロの先生と比べても華奢な部類。
だと、思っていたのですが。

なんだこの、逆転した途端の巨大化現象は。
右腕が…長さには絶対的な自信がある私の右腕が、背中に全然届かん。タンゴとか絶対無理なレベルで届かん。

私は子供の頃、成長の遅い男子なんか片手でへし折れるくらい大きかったので、大人になってもその感覚が抜けなくて、自分と男性の間に圧倒的な肉体差があるということが実感としてあまりないのです。私の指を本当に片手でへし折ったガチ体育会系の夫にすら、本気で立ち向かえば勝てると思ってるフシがあります。

そんな私なので、男女の身体が見た目以上にはっきり違うということに、わりと衝撃を受けました。これ、普通に組んでる分には全然気づかないんですが、逆転すると如実に実感できる上に、外見的にも体格差が強調されるのが不思議なところです。

以降、いろんな男性の先生にスポットでリーダーを習うようになって、さらに発見したことがあります。それは、

みんながみんな分厚いわけではない。

最初の衝撃があまりに大きかったせいで、相手が男性となると、もう絶対手が届かない前提で挑むのですが、案外なこと、普通に組める先生もいます。
それなりに背が高くて、それほど華奢に見えないのに、わりと楽に右手に抱えられるくらい厚みのない先生もいるし、私より小柄なのに、絶対腕が届かん無理!みたいな先生もいる。

なるほど見た目のサイズ感と骨格の太さは比例しないのだな。

けやき、40年以上生きてきて、初めてそのことを知りました。

あれ?みんな知ってた?

私はねえ、自分、誰とでも肉体的に勝負できると思ってましたね。骨格なんて同じモンゴロイドならたいした違いはないと思ってました(笑)
私、昔から「内臓足りない疑惑」を持たれがちなほど身体が薄くて、それは単に痩せてるせいだと思っていたのですが、骨格のせいだったのですね。

そんな人体の不思議と、どうやら自分は肉体的に男性に勝つことは難しいらしいと学んだリーダー修行(今かよ)。
もうひとつ学習したことがあります。それは、人間の行動の多くが、視覚に影響される、ということです。

普段のレッスンでは、私の右側の視界の7割は、パートナーの身体でふさがれています。必然、ありとあらゆるステップで逃げ腰になります。
相手に道を開けてもらうリードをしたのち、開いた場所に進めばよい。という理屈はわかっていても、物理的に視界がふさっているので、道が開く感覚がなく、壁に立ち向かっていかなければいけないような恐怖心があるのです。この修行記を最初から読んでくださっている方はご存じかと思いますが、私、これまで散々その壁に弾き返されてきたので、余計怖いのです。
ちなみに「弾き返される」というのは比喩ではなく、本当にぶち当たって弾かれています。ううぅぅぅ男子の胸板がこんなに頑強にできてるなんて知らなかったよ。私がその気になれば押し通れると思ってたよ。ぐすん。

なんの話でしたっけ。
ああ、視界の話ですね。

対極にあるのが、女性の先生です。これはこれで、初めて組んだ瞬間の衝撃がすごかったです。なにしろ、視界から消えましたからね。

視界から消えましたからね。

ええええぇぇぇぇぇ?
女性の先生がシェイプしたら、リーダーの視界から消えるの?

それまで3割しかなかった視界が、突然10割になった感動。
真っ暗なトンネルに突っ込んでいくもの、と思っていたナチュラルターンが、勇気を振り絞らなくてもターンできるステップだと知った感動。
逃げるな突っ込めと言われ続けて、何回練習してもできなかったコントラチェックからのロンデが、サクッとできちゃった感動。

本来、リーダーの進む先は、見えてるものだったんですねえ。
人間の心理も動きも、こんなにも視界に影響されるものだったんですねえ。

個人的に、リードを習うのは男性の先生の方がわかりやすいのですが、リーダーとして成長するためには、女性の先生に習うのもとっても大切だと感じました。壁がそびえ立ってなかったらちゃんとリードできるもん!という自己肯定感を得るためにも重要です。たまにそういうご褒美を自分にあげないとリーダー修行は詰むからね(笑)

ちなみに、ごく稀にですが、リーダーの視界から消えることのできる男性の先生もいます。これはこれで、びっくりします。ど、どういう構造で?
思えばリーダーの私は、初めての人と組むたびになにかしらの衝撃を受けてますね。もしできるものなら自分と組んでみたいですね。多分ものすごい衝撃を受けると思いますけどね(悪い意味で)。

(おわり)

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