永劫オーコ問題。《永劫の無垢》をコピーした《首謀者、オーコ》が死亡した時、帰ってくるオーコに忠誠度カウンターは乗るか?
みなさんこんにちは
カードゲームって楽しいですよね
でもルールが難しくて困っちゃうことがありますよね
ということで難しいルールの話をしようと思います
今回のテーマはコイツ、《永劫の無垢》と《首謀者、オーコ》です
さて、今回の議論は《永劫の無垢》をコピーした《首謀者、オーコ》が死亡したとき、当然《永劫の無垢》の能力が誘発してオーコが帰ってくるわけですが、
そのとき忠誠度カウンターを乗せて帰ってくるのか?
についての話をします。
一般論としての、周辺ルールをおさらいするところから始めます。
そもそもPWは何故、忠誠度カウンターと共に戦場に出ることができるのか?
306.5bが示す能力が作る置換効果が、「PWであるパーマネントが戦場に出る」というイベントを置換し、「PWであるパーマネントが初期忠誠度に等しい数の忠誠度カウンターと共に戦場に出る」というイベントにするわけですね。
306.5bが言う「A planeswalker」というのは、戦場にあるプレインズウォーカーのみを指します。それ以外の領域にあるPWはこの能力を持ちません。こう断言する根拠は2つあって、1つ目は109.2で、2つ目は614.12です。
109.2は、呪文や能力が、領域について言及することなく、且つ「カード」「呪文」「ソース」「計略」という単語を伴わずカードタイプやサブタイプを用いてオブジェクトを表現しているとき、戦場にあるパーマネントであるそれのみを指すというルールです。
306.5bは「a planeswalker」としか言ってないので、戦場にあるパーマネントであるそれのみを指すと解釈できます。
いや、まあ、正直に言うと、「109.2は呪文や能力が言及する場合のルールであり、306.5bというルールが言及する場合には適用されない。」と反論されたら俺は少なくとも総合ルールを盾に再反論することができないんだけど、そう言い出すのはさすがに「おとなげない」振る舞いやろ。無視するで。
次に見る614.12のほうが大事やからええねん。
ややこしいからひとつずつ見ていきます。
「置換効果の中には、パーマネントが戦場に出ることに影響を及ぼすものがある。」←せやな。
「そのパーマネント自身が持つその種の効果が適用されるのは、その効果がそのパーマネント自身にだけ影響を及ぼす場合だけである(そのパーマネントを含む一群のパーマネントに影響を及ぼすものは、そのパーマネント自身には影響を及ぼさない)。」←《夢の宝珠》とかのことやな。
「他の発生源からの効果であることもありうる。」←せやな。《寓話の賢人》とかそうやな。
「それらの置換効果のうち、どれがどのように適用されるかを決定するに際しては、そのパーマネントが戦場に出た時点で取るであろう特性を見る。」
↑今回の永劫オーコ問題にもクリティカルに関わってくる大事な記述がココです。こいつが言う「戦場に出た時点で取るであろう特性」についての記述が続きます。
「ここで考慮するのは、戦場に出ることに影響を及ぼす置換効果のうちで既に適用したものと、そのパーマネント自身の常在型能力からの継続的効果でそのパーマネントが戦場に存在するようになった後で適用されることになるものと、既に存在している継続的効果でそのパーマネントに適用されることになるものだけである。」
↑ややこしいなあ!
でも大事なことが読み取れます。「そのパーマネントが戦場に出た時点で取るであろう特性」には、3つの要素が関わってくることが示されています。
1つは、戦場に出ることに影響を及ぼす置換効果のうちで既に適用したもの。
これは例えば、《クローン》系の「何かのコピーとして戦場に出るという置換効果」を適用した結果、それが「烈日」や「暴動」という戦場に出ることを置換する常在型能力を持つパーマネントのコピーとして戦場に出ようとしているケースが挙げられます。
このケースでも、烈日や暴動はそれが戦場に出ることを置換するんですね。然るべき数の然るべきカウンターを乗せたり、カウンターか速攻を選ばせた上でそれを与えたりするわけです。
2つは、そのパーマネント自身の常在型能力からの継続的効果でそのパーマネントが戦場に存在するようになった後で適用されることになるもの。
これは例としてはテーロスの神々の「信心が足りなければクリーチャーでない」という常在型能力ですね。
信心が明らかに足りない状態で神々を戦場に出すとき、それにはクリーチャーが戦場に出ることを置換する諸々の置換効果は適用されません。
3つは、既に存在している継続的効果でそのパーマネントに適用されることになるものです。
これの例は《謙虚》や、《永劫の無垢》の「それはエンチャントである。」です。
《謙虚》と《クローン》の挙動はここで説明できます。《謙虚》の継続的効果が適用された結果、自身が持っていたはずの常在型能力による置換効果を失った《クローン》は、その置換効果によって自身が戦場に出ることを置換することができず、何のコピーにもなれずに戦場に出てくるわけですね。
長々と書きましたが、ここから大事なことが読み取れます。
それは「パーマネントが持つ常在型能力が作る、そのパーマネント自身が戦場に出ることを置換する置換効果は、上記3つを考慮した上で決まる『戦場に出た時点で取るであろう特性』がそれを持っている場合にのみ、機能する。」ということです。
ここでやっと「306.5bが言う a planeswalker は戦場にあるやつだけを指す」という主張に帰ってきます。手札やスタック上のPWカードやPW呪文が、306.5bが言う置換効果を持っていても意味ないんですね。
上記3つを考慮した上で決まる『戦場に出た時点で取るであろう特性』がこの置換効果を持っていてやーっと初めて機能するんですね。
もうここまで来たら答えを言っているようなものだけど、永劫オーコ問題に取り掛かるぞ。
上記の議論をまとめて、永劫オーコ問題に必要な小道具を持たせてあげると、以下のような議論になります。
「《永劫の無垢》をコピーした《首謀者、オーコ》が死亡して帰ってくるとき、それが戦場に出ることを、306.5bが示す常在型能力が作る置換効果が置換するかは、《永劫の無垢》が示す『エンチャントである。』という既に存在している継続的効果によって修正された後のオーコの『戦場に出た時点で取るであろう特性』によって決まる。」
一般論として、「エンチャントである。」という第4種の継続的効果を受けているパーマネントは、それまで持っていたカードタイプを置き換えられます。(205.1a)
このことから明らかなように、『エンチャントである。』という既に存在している継続的効果によって修正された後のオーコの『戦場に出た時点で取るであろう特性』は「PWでないエンチャント」なわけです。
オーコはもはや「PWでないエンチャント」であるので、オーコの『戦場に出た時点で取るであろう特性』は、当然306.5bが言う常在型能力を持ちません。
じゃあ、306.5bはこのオーコが戦場に出ることを置換しないわけですね。
ということで、オーコは忠誠度カウンターを持たずに戦場に出ます。
書くのにエライ苦労しましたが、頑張って肉付けするとこんな感じでしょうか。
せっかくだから蜜柑代寄付スペースでも作るか。投げ銭する人間が居るとは思えんが、マジで蜜柑代にするからな。
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