『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』Tips
今回はここまでで書いてなかった小ネタ集を思い出せる範囲で。
公爵夫人の贈り物の件
公爵夫人がアリスへの贈り物として語る長い教訓。
これは二重否定やseem, mightなどを絡めた冗談ではないでしょうか。
not(not A)=Aならnot(not(not(not A)))=A、ということで「その気になればいくらでも長くできる」のかも。
英語における二重否定が文法的に「誤り」とされるのは少し前の18世紀後半。
双子兄弟の場面でも似たような問答が出てきますが、正直よく分かりません。降参。
HDのネクタイとベルトの件
アリスがハンプティ・ダンプティのネクタイをベルトと間違えるのは、もともとこの場面の挿絵が「公爵夫人の2つの顔」のような上下反転可能なものになる予定だったからではないでしょうか。
テニエルの挿絵はそうはなっていないのですが、「卵型」のHDが、アリスが上下を間違えるくらい塀の上をゴロゴロ転がっていたとしたら・・・
なかなか楽しそうですが。
あ、もちろんHDはイースターエッグの象徴とも考えられます。(まだ書いてなかった)
肉のコースの間のプディングの件
白の騎士が発明したという"a new pudding during the meat-course"はmeat→meanで「Ways and Meansの詩の間に挟まれたChristmas puddingの謎々詩」、すなわちJabberwockyを指しているのでしょう。
tin armourの件
白の騎士がスズの鎧を着けているのはtinがTで始まることからT→Teaで家庭教師時代のキャロルのニックネーム。
白の騎士は1863年時点(チェス11手目)のキャロルの分身ですからね。
next dayの件
白騎士の台詞"Well not the next day," (nextが斜体字)と"not the next day. In fact,"(dayが斜体字)は、白の女王の台詞にあった「今日のジャム」を指しているのではないでしょうか。
シュロの主日の件
女王たちがアリスを葉っぱであおぐ場面は、Lentのシュロの主日を思わせます。
担ぎ上げ?の件
宴会の場面で、アリスが女王2人に押されて浮き上がりそうになるのは、イングランドの伝統的風習「担ぎ上げ」を思わせます。
参考:「ヨーロッパの祭たち」P.61、P.62
この本にはこんな情報もありました。
スナップドラゴンの件
スナップドラゴンには皿に張ったブランデーに火を付けて浮かべたレーズンを取るタイプと、ブランデーをかけて火を付けたプディングからレーズンをつまみ取るタイプがあると知りました。
ジャバウォックの謎々とも関係があるかも。
参考:「ヨーロッパの祭たち」P.53
飛ぶボトルの件
宴会の最後に瓶が飛ぶ場面は
bottles fly→butterflyで帽子屋の謎々詩を思い出させます。
ここでアリスが"and very like birds they look,"と考えるのも謎かけを暗示しているのかも知れません。
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