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『鏡の国のアリス』赤の女王の正体は

第9章のアリスの台詞
「イングランドの歴史上一度に1人より多くの女王がいたことなんてない」

3人いるクイーンのうち、1人がアリス、白のクイーンがヴィクトリア女王とすると、赤のクイーンは一体何者なのでしょうか。

第9章Queen Aliceの宴会は
アリスが来る前から始まっていました。
ならば宴会の主催者は?

宴会で給仕に命令を出していたのは赤の女王。その後アリスも給仕に命令を出します。

宴会で給仕に命令できるのは主催者のはず。
となれば、赤の女王とアリスが「どちらも主催者」なのではないでしょうか。

だとすると、思い当たるフシが。

第2章で、アリスが迷子になったという意味で「lost my way」を使ったとき、赤の女王は自分の所有物という意味で「my way」と返してきました。

また、赤の女王はアリスの「未来」について詳しく知っています。
(鏡の国の他の連中も)

これは、夢なんだからそんなこともあるさ、というような話でしょうか。

赤の女王を始めとする鏡の国の住人が「未来→過去」の逆行する時間の中で生きていることを考えると。

「赤の女王=未来のアリス」なら説明がつくのではないでしょうか。

第3章の「名無しの森」では、Lで始まる名前(Liddell姓)を忘れたアリスが、森を抜けたときAで始まる名前(Alice)を思い出して、アイデンティティーを回復します。
これは、結婚して姓が変わった後もアリスはアリスのままだという意味でしょう。
(男性側の論理ですけどね)

これを踏まえて、第9章の「アリス女王を讃える歌」の謎を考えてみましょう。

この詩には、第1連と第2連の両方に「the Red Queen, the White Queen, and me」というフレーズがありますが、第1連の方では「the Red Queen, the White」と「Queen, and me」の間で改行されています。
これがヒント。

Queen AnnやQueen Victoriaのように女王を呼ぶときは大文字のQで始めて冠詞を付けないことを考えると「the Red ーQueen, ーthe White」と「Queen and me」を対応させることに気付きます。

「赤のクイーンの駒、女王陛下、白のクイーンの駒」と「女王陛下と私」が対応するということは、「私」は赤のクイーンであり、白のクイーンでもあるということ。

白のクイーンは過去から未来へ向かって進む少女アリス。
赤のクイーンは未来から過去へ向かって進む大人アリス。

チェス手順の21.○Q×e8# では白のクイーンが赤のクイーンを取って(1つに重なって)チェックメイトになります。
1手=1年換算で数えの21歳になったとき、1手=1日換算で結婚禁止の期間であるLentが終了したとき、チェックメイト。

「チェックメイト」は、特に口語ではmateで呼ばれることが多いのですが、辞書によるとmateには「結婚する」という意味があります。

3つのプディングが「花嫁アリス」を指していたことも含め、『鏡の国のアリス』は求婚の暗号だと言えるのではないでしょうか。

あくまで筆者の仮説です。
定説ではありません。

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