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『鏡の国のアリス』夢を見たのは誰

「赤の女王の正体は」からの続き。

『鏡の国のアリス』第12章のタイトルであるWhich dreamed it?への私の回答です。

この文は「夢を見たのはどちら」と訳されていることも多く、赤の王の夢かアリスの夢かという二者択一と捉えがちですが、whichで始まる疑問文は二者択一だけでなく3つ以上の中から1つを選ぶ場合にも使いますね。

赤の女王の正体が「未来から過去へ進む大人アリス」であることは既に述べましたから、彼女が第3候補である可能性も容易に浮かぶはずです。

(主人公の方の)アリスのこれからの人生で何が起きるかという情報を知り尽くしていることなどを考えると、赤の女王こそ、この夢の大部分を見ている人物と言えそうです。

しかし、物語の最初と最後は赤の女王の夢ではありません。

主人公アリスはいつから夢を見て、どこから赤の女王の夢に入り込んだのでしょう。

猫たちと遊んでいるうちにウトウトしてしまい、鏡を抜けるところで自分の夢から未来の自分の夢に移行した、という仮説が妥当だとは思いますが。(確証はありません)

いずれにせよ「大部分は赤の女王の夢、最初と最後はアリスの夢」で問題なさそうです。

第8章冒頭のアリスの台詞が、ほとんど答になっていますね。

"So I wasn't dreaming, after all,"
"unlessーunless we're all part of the same dream. Only I do hope It's my dream, and not the Red King's! I don't like belonging to another person's dream,"
(my dreamのmyが斜体字)

weやmy、another personなどが複数の意味に取れることを確かめて下さい。

ところで。

ハロウィンの夜とか真夜中とかに鏡を見ると
未来の伴侶や未来の自分が見えるという伝説が各地にあります。(諸説あり)

アリスが鏡の国で見たものも、その類いなのかもしれませんね。

そういえば『鏡の国のアリス』のタイトルは"Through the Looking-glass, and what Alice found there"でした。

赤の女王=黒の子猫ということを考えれば、物語の冒頭部分もWhich dreamed it?に関係しているとみることもできるでしょう。

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