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『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』エピローグ

『不思議の国のアリス』が求愛の暗号書、『鏡の国のアリス』が求婚の暗号書だという私の仮説はほぼ説明しました。

「キャロルはアリスに恋愛感情などは抱いていなかった」と主張する方もいるのですが、多くのパズルが相互に繋がって一つの結論に収束していくように見えるのは、決して偶然ではないと思います。

『不思議の国のアリス』の表紙は豚になった赤ん坊を抱いたアリス。
『鏡の国のアリス』の表紙はアリスと話している赤の女王。(アリスは枠の外)

どちらも、これまでの仮説が正しければ表紙に相応しいモチーフのように思われます。

『地下の国のアリス』『不思議の国のアリス』では、夢から醒めたアリスにお姉さんが言う台詞の中にnow run in to your teaというフレーズが折り込まれています。
キャロルの家庭教師時代のニックネームを知っていれば、ここに秘められたメッセージも分かるでしょう。
彼の分身の1人、帽子屋の名もTeaでした。

『鏡の国のアリス』の白騎士は乗馬の練習を「何度も、何度もしたのだ」と言いますが、ここではbrideと同音のbridle(手綱)という単語が使われています。
個人的には、ちょっと切なくなる場面です。

アリスの猫ダイナは『不思議の国のアリス』では独身でしたが、『鏡の国のアリス』では2匹の子猫の母親になっています。
作中では7歳0ヶ月と7歳6ヶ月であるアリスも、いずれは伴侶を得て母親になるのだということでしょうか。

私にはどれも「求愛・求婚」を象徴しているように思えてなりません。

パズルの難易度から考えて、Alice Liddellという女性は極めて高い知性の持ち主だったと推察されます。

その彼女が、作品とどう向き合ったのか。

自分をモデルにした少女が主人公をつとめる物語の中にたっぷり詰め込まれたパズルを、13歳と19歳の彼女は解くことができたのでしょうか。

キャロルの作品にパズルが折り込まれていることは知っていたはずですが。

もしかすると、パズルは解いたけど暗号には気付かないふりをしたのかもしれません。

階級社会とか母親の意向もあったでしょうが妹イーディスの早逝とかレオポルド王子との恋愛とか、自分の人生を生きるだけで精一杯だったはず。

いや、単に解けなかっただけなのかも・・・

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