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『鏡の国のアリス』のチェス問題⑩(手順のルーツ)

「フィドルディディーの謎」の続きです。

詩のメイン部分(再掲)

①Says the fly, says he,
②"Will you marry me,
③And live with me,
④Sweet bumble bee?"

⑤Says the bee, says she,
⑥"I'll live under your wing,
⑦And you'll never know
⑧That I carry a sting."

⑨So when Joyce and Beetle
⑩Had joined the pair,
⑪They both went out
⑫To take the air,

⑬And the flies did buzz,
⑭And the bells did ringー
⑮Did ever you hear
⑯So merry a thing?

⑰And then to think
⑱That of all the flies
⑲The humble bee
⑳Should carry the prize.

チェス手順との関係

この①~⑳が、21手のチェス回答手順に対応しています。
Jabberwocky第2連~第6連のときは19行目がチェスの2手分で他は1行=1手換算でしたが、fiddle-de-deeでは⑳がcarryとprizeで20手目と21手目に対応しています。

①→1.○Nd4
・・・flyが第2章の赤の女王が走る場面に対応
・・・says heが第2章の花壇中央の柳の木の"Bough-wough!"に対応
②→2.○Nf5
・・・Will you→willowの洒落?
③→3.○d4
・・・liveが第3章のアリスの台詞"What does it live on?"に対応
④→4.○Qc4
・・・sweetが第5章のジャムの話に対応
⑤→5.○Qc5
・・・Says the bee, says sheが、第5章で白の女王が"Much be-etter!~(中略)~Be-e-ehh!"と言って羊に変わる場面に対応
⑥→6.○d5
・・・wingが第5章の"Feather!"に対応
⑦→7.●Ke5
・・・you'll never knowがハンプティ・ダンプティの台詞"I shouldn't know…"に対応?
⑧→8.●Nf6
・・・stingが第7章の白の女王への攻撃に対応
⑨→9.○Qc8
・・・Beetleが白の王の台詞"Do you spell 'creature' with a double 'e'?"に対応
⑩→10.●Ne7+
・・・Had joined the pairが赤のナイトによるフォーク(両取り)に対応
⑪→11.○N×e7+
・・・went outが赤のナイト退場に対応
⑫⑬⑭→12-14手目
・・・ハエとマルハナバチの旅立ちが、アリスが白の騎士を見送る場面に対応
⑮→15.●Kd4
・・・you hearがハンプティ・ダンプティの詩でmessengerが怒鳴られる場面に対応
⑯→16.○Nf5+
・・・merry a thingが見送りの完了に対応
⑰→17.○Kd6+
・・・thinkがスズメバチとの会話に対応?
⑱→18.○Rf2+
・・・fliesが「浮き上がるルーク」に対応?
⑲→19.●Qe8
・・・The humble beeが2人の女王に挟まれておとなしくしているアリスに対応
⑳→20.○Qa6+
・・・carryが深皿で運ばれる白の女王に対応
⑳→21.○Q×e8#
・・・prizeがチェックメイトに対応

やや怪しい所もありますが、確かに対応関係がありますね。

ルーツ

替え歌にせよオリジナル詩にせよ、作中詩はどれもキャロルの手が入っているわけですがマザーグースであるfiddle-de-deeはそうではありません。

なのにチェス手順との対応関係があるということは、逆にチェス手順の方がこのライムに合わせて設計されたということではないでしょうか。

チェス手順が物語の骨格であることを考えると『鏡の国』自体のルーツがfiddle-de-deeだと言えるのかも知れません。

やはり、「求婚」の暗号物語ですよね・・・

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