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『鏡の国のアリス』今日のジャム

『鏡の国のアリス』第5章白の女王がアリスをlady's-maidとして雇おうとする場面。

週2ペンスの給金に加えて「今日のジャム」をどうするかという話になります。

これについては、マーティン・ガードナーの『詳注アリス』にラテン語のiamをからめた有名な註釈があり、私もそれには賛成ですが、今回は別の見方も示したいと思います。

todayやtomorrowという単語が、本作ではto-day, to-morrowという表記になっているのがポイント。

女王はto-dayを「昼のための」to-morrowを「朝のための」という意味で使っているのではないでしょうか。
直前にaddressingとa-dressingをかけた言葉遊びがあるのもヒントのように思われます。

だとすると、
①to-day
②to-morrow
③yesterday
④any other day
⑤every other dayを、

アリスは
①今日
②明日
③昨日
④他のどの日も
⑤1日おきに
という意味で使い、

白の女王は
①昼のための
②朝のための
③昨日(の朝)の
④昼以外の
⑤昼以外全ての
という意味で使っているはず。


2人の会話を抜き出しますので、意味の違いを念頭に置いて読んでみて下さい。
(Q:白の女王、A:アリス)

Q: "Twopence a week, and jam every other day."
A: I don't want you to hire meーand I don't care for jam."
Q: "It's very good jam,"
A: Well, I don't want any to-day, at any rate."
Q: You couldn't have it if you did want it,"
"The rule is, jam to-morrow and jam yesterdayーbut never jam to-day."
A: It must come sometimes to 'jam to-day,'"
Q: "No, it can't, " "It's jam every other day: to-day isn't any other day, you know."

このあたりの会話のズレまで訳出するのは、なかなか難しそうです。
翻訳家の皆さん、頑張って下さいね。

おそらく単発のパズルだと思いますが、今後何かのつながりが見つかるかも知れません。


あ、もしかして「断食を破る食事」としてのbreakfastに誘導するヒントだったのかな。

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