記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『不思議の国のアリス』のポーカーの進行②

ポーカーの進行の続きです。

3回戦

White Rabbitが落とした手袋と扇(『地下の国』では花束)をアリスが拾い、扇であおぐ(花束の匂いを嗅ぐ)ところから、3回戦が始まります。

1回戦と2回戦では飲んだり食べたりすることで身体サイズが変化したわけですが、今回は扇や花束を投げ捨てることでアリスが小さくなります。

広げた扇や花束がトランプのカードを広げて手に持った状態を表し、全体役のフラッシュでアリスは優位に立ちます。
(ジャックのワンペアで大きくなった状態が続いています)

しかし、扇や花束を投げ捨てることでゲームから降りてしまったために、身体も小さくなってしまうのです。

ポーカーというゲームは、手札の強弱を比較するというよりも、手札を公開する前に相手を勝負から降ろす心理戦がメイン。
せっかくフラッシュという役で有利な状態になったアリスですが、相手のハッタリを真に受けてカードを投げ捨ててしまった、ということなのでしょう。

「フラッシュ」はflushですが、同じ綴りのflushという動詞には「水などがドッと溢れる、鳥などがパッと飛び立つ」という意味があります。
物語では「アリスが泣き出す場面から、鳥や動物たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出す場面まで」に対応していますね。

「降りる」はfold, down, dropです。
辞書によると、foldには「(鳥などが翼を)折り畳む、収める」「(子供などを)両腕に抱く、抱える」「(キリスト教会の)会衆」などの意味があります。
downには「座って」の意味も。

アリスがダイナを抱いた時の話をするとか、濡れて体温の下がった会衆を座らせてマウスが英国史の話をするとか、恐ろしいダイナの話を聞いたMagpieが翼をたたむとか、直接単語を出さずに表現していますね。

また、マウスとの会話でcatとdogを頭文字の「C and D」で表す台詞が出てきますが、これもC and D→candyで、comfitsとともにdropへの連想を促すヒントになっています。

アリスは今回の勝負に負けて鳥や動物たちにcomfitsを配り、ダイナの話をしてしまったために皆に逃げられてしまいました。
結構多めのチップを支払ったようですね。
フラッシュだったけどドロップしてアリスの負け。(1勝2敗)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?