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ルイス・キャロルの「アリス」考察

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『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』および関連作品の考察。 作中のパズルを解く記事が中心です。
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#ポーカー

『不思議の国のアリス』のポーカーの進行④

ポーカーの進行の続きです。

5回戦Caterpillarが座っていたキノコをかじって、アリスの首が極端に長くなる場面。
ここではアスタリスクによる区切りも入り、5回戦が始まります。

まず身体をギュッと縮めて、それからグーンと引き伸ばす。
「身体を伸ばす」という意味の動詞はstraightenですから、straighten→straight。
今回のアリスの役は「ストレート」ですね。

首が長く

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『不思議の国のアリス』のポーカーの進行③

ポーカーの進行の続きです。

4回戦アリスがWhite Rabbitの家で扇1本と手袋1組を手に取って、魔法の小瓶の中身を口にしたところから4回戦が始まります。
アリスの身体が大きくなって家を満たすほど膨れ上がってしまいました。
・・・full houseですね。
扇でスリーカード部分、手袋でワンペア部分を表しています。

ご存じのようにフルハウスはポーカーの中で非常に強い役です。
確率的には負け

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『不思議の国のアリス』のポーカーの進行②

ポーカーの進行の続きです。

3回戦White Rabbitが落とした手袋と扇(『地下の国』では花束)をアリスが拾い、扇であおぐ(花束の匂いを嗅ぐ)ところから、3回戦が始まります。

1回戦と2回戦では飲んだり食べたりすることで身体サイズが変化したわけですが、今回は扇や花束を投げ捨てることでアリスが小さくなります。

広げた扇や花束がトランプのカードを広げて手に持った状態を表し、全体役のフラッシュ

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『不思議の国のアリス』のポーカーの進行①

『不思議の国のアリス』前半のポーカーのゲーム進行について述べます。

この世界のルールその1。
夢から醒めて現実世界に戻るためにはアリスがゲームに勝利しなくてはなりません。
『不思議の国』ではトランプ、『鏡の国』ではチェスですね。

この世界のルールその2。
ゲームで有利になるとアリスの身体は大きくなり、不利になると小さくなります。
『鏡の国』ではアリス本人はサイズの変化を自覚していませんが、チェ

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