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ルイス・キャロルの「アリス」考察

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『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』および関連作品の考察。 作中のパズルを解く記事が中心です。
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#ブラックジャック

『不思議の国のアリス』署名の無い手紙④(タルト裁判)

「署名の無い手紙」第3連です。

第3連I gave her one, they gave him two,
You gave us three or more;
They all returned from him to you,
Though they were mine before.

私(公爵夫人)はアリスに「1」を与えた。
ギリシャ語教師には「2」が与えられた。
貴女(ハートの女王)は

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『不思議の国のアリス』のブラックジャックの進行⑤

ブラックジャックの進行の続きです。

4回戦(『地下』では2回戦)第9章後半~第10章の海岸の場面①Mock Turtle(tortoiseで8文字)
②Gryphon(Gryphonで7文字)
どちらか一方が♤6でもう一方が♤9

偽海亀Mock Turtleは「海亀に似て海亀ならざるもの」ですから、正体は陸亀tortoise。

8+7=15で、合計15になるのは残りのカードでは♤6と♤9の組

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『不思議の国のアリス』のブラックジャックの進行④

ブラックジャックの進行の続きです。

幕間第8章後半から第9章前半のクローケーの場面は『不思議』と『地下』で少し違いますが、『不思議』の方で説明していきます。

第8章後半クローケー場のあちこちで頻繁に争いごとが起きています。pokerの象徴ですね。

クローケーの試合で球を打ったり、その場に留まったり、突然立ち上がったりするのは、hitやstayやstandという用語のあるブラックジャックの象徴

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『不思議の国のアリス』のブラックジャックの進行③

ブラックジャックの進行の続きです。

2回戦第7章のお茶会の場面①帽子屋♤3(名前がTeaで3文字)
②三月兎♤4(Hareで4文字)
③ヤマネ♤8(Dormouseで8文字)

♤3、♤4、♤8にアリスの♤Aが加わっても合計16にしかなりません。
一般的なブラックジャックのゲームでは、ディーラーは16以下だともう1枚引かなくてはならないというルールがあるのですが、『不思議の国』の特殊ルールでは、

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『不思議の国のアリス』のブラックジャックの進行②

ブラックジャックの進行の続きです。

1回戦公爵夫人の家(外)ブラックジャックはカードの点数の合計を17以上21以下にするのが目的で、22以上にしてしまうとbustという失格になります。

トランプの本などを見るとbustだけが出ていることが多いのですが、burst、over、out、break、breakingなどとも言います。
日本語だと「ブタ」なんてのもありますね。

アリスが公爵夫人の家に

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『不思議の国のアリス』のブラックジャックの進行①

『不思議の国のアリス』後半のゲームであるブラックジャックについて述べます。

概要物語前半のポーカーではアリスはプレーヤーでしたが、物語後半のブラックジャックではアリス自身がトランプのカードの1枚になりゲームに勝つための仲間を捜しに行きます。

前提その1アリスのカードはスペードのエースです。
Aliceの頭文字がAですから。(後述)

前提その2第8章と第12章でアリスがa pack of ca

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