ほぼ毎日ほぼ500字短編:その9「ふくれっ面」
「リホって、どんな顔もかわいいよな」
大学でのお昼、タケルが急にそんなことを言った。
「えぇ。どういう意味?」
「そのまんまだよ。笑っている顔も、怒っている顔もかわいいってこと」
タケルは学食のカレーを頬張った。
なにか、裏がある。直感的にそう思った。
「……タケル、私になんか隠し事があるでしょ?」
タケルの動作が止まる。
「……いや。別になにも」
「うそ。絶対なんかある」
「何にもない! あったところで、正直に言っているから」
またはぐらかされた……。納得いかない。
「……ふふ」
「なによー」
「ふくれっ面も、かわいいなって思って」
無意識だった。顔が一気に熱くなる。
「な、なに言って! そんなので、ごまかさないでよ」
「でも、悪い気はしないだろ?」
「……まぁ」
それ以上の追求は諦めて、私はお弁当のふりかけご飯を一口頬張った。
「ヒントをあげよう」
タケルがカレーを平らげる。
「今度の誕生日、楽しみにしててな」
2024年11月14日 pixiv創作アイディアより
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