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オススメなライトノベル「空ろの箱と零のマリア」

どうも、けつあご3世です。

「最近、本読んでないな~」なんて思っているときに、ふと見つけたこの1冊。

ネットではそれなりに評判が良く、私が大好きな「ループもの」を扱った作品とのことで、早速気になった私はアマゾンで久しぶりに本を購入しました。

今回はその本(ラノベ)の紹介記事になります。あらすじや個人的な感想を簡単にまとめましたので、お気軽にお読みいただけると幸いです。


ご紹介する本のタイトル

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空ろの箱と零のマリア」(全1~7巻)
著者:御影瑛路 
イラストレーター:415(鉄雄)

全体的な評価:A
ストーリー:A
キャラクター:B(人によっては”C”になるかも……)
設定:S
オリジナリティー:B
読みやすさ:S

(「S>A>B>C>D」で評価しています)

あらすじ

 3月。中途半端な時期にやって来た転校生・音無彩矢。そのあまりの美しさに息を呑む教室の中で、彼女は教壇に立ち、無愛想にただ自分の名前だけを告げた。教室全体が次の言葉を待っていた、その時――

「星野一輝」

――呼んだのは、何故か僕の名前。

「私はお前を壊すために、ここにいる」

 そして、突然の宣戦布告。
 ただ超然と、毅然として言い放ち、静かに微笑む彼女の真意は……!?

「空ろの箱と零のマリア 1巻」より


……と、ここまでが本作のあらすじになりますがいかがでしょうか。

おそらくこれだけだと、この本のストーリーが全然つかめないと思うので、もう少しだけ本文から引用させていただきます。


<物語冒頭>

 忘れたわけじゃないんだ。たぶん、僕はそこがどこだか憶えているし、実際にこうやって風景付きの夢を見ている。
 それなのに、僕はこの景色を、夢以外で思い出せない。
 忘れたわけじゃない。そうじゃなくて、この記憶を引き出すための取っ掛かりがないんだ。思い出す機会が現実のどこにもない。きっと思い出そうとすれば思い出せるのに、そうやって振り返る余地を与えない。
 だってこの目の前の相手が、僕がいる日常のどこにも引っかからない。

「願い事はあるかい?」

 そう穏やかな声で問いかける彼(彼女?)の顔はクルクルと色んな顔に変わる。夢を作っている僕の深層心理が、彼の顔を固定できない。確かに見たはずのその顔は、どんな人にも似ているようで、どんな人にも似ていなかった。
 たぶん僕は何の変哲もない無難な回答でもしたのだろう。だからどんな返答をしたのかは憶えていない。それでもその人は、僕の返答を聞いて、入れ物のようなモノを僕へと差し出した。

「これは、どんな願い事でも叶える”箱”だよ」

 言われてみるとそれは箱に見えた。
 目を細めて箱を見る。僕の視力は悪くない。なのに、近くにあるはずのその箱が、どうにもはっきり見えない。中身は空っぽ。そのことにすごい違和感。重みがあって、振ると音がする未開封のクッキーの箱が、空けてみると空っぽだったみたいに。
 そして確か僕は、「どうして僕にこんなものを?」なんてつまらない質問をした。

「君が実におもしろいからだよ。私は個性のない君たちの些細な相異を区別できない。その人をその人と認識できない。こんなにも君たちに興味があるのにね。皮肉なものだよ」

 彼が何を言っているのか理解できなかったけれど、適当に頷いた。

「だが、君は判断できる。それだけのことと思うかもしれないが、それは私の気を惹くには十分な条件なんだよ」

 僕は箱の底を見た。そこに何があるわけでもないのに、全身がその箱の底に引っ張られるような気持ち悪い感覚に襲われる。見るのをすぐにやめる。

「どんな願い事でもこの”箱”を使えば叶うよ。どんな願いだって構わない。それがすべての人間を不幸にするものでも私は干渉しない。私はただ君が、君たちが、どんな願い事をするのか見たいだけなんだ」

 僕が何かを言うと、彼は微笑した。

「ふふ……いやいや特別な力などではないんだよ。そもそも人間には明確にイメージを持つこと、それ自体で願いを叶える力があるんだから。私はその力を少しだけ後押しすることができるだけなんだ」

 僕は箱を受け取った。
 もちろんそのことは、この夢が終われば思い出せない。
 でも僕が彼のことをどういう風に思ったのかだけははっきりと憶えていて、この夢の中でも彼に対する印象は変わらない。
 なんかこの人――

 ――気持ち悪くない?


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1回目
「音無彩矢です。よろしくお願いします」
 転校生はわずかに微笑を浮かべて言った。

23回目
「音無彩矢だ。……よろしく」
 転校生は淡々と感情を込めず口にした。

1050回目
「音無彩矢だ」
 転校生はつまらなそうに誰にも視線を合わせずに吐き捨てた。

13118回目
 教壇の上に立つ、音無彩矢という名の、名前をまだ知らない転校生を見る。

「音無彩矢だ」

 転校生はクラスメイトに向かって、ただそれだけを呟いた。聞こえなくても構わないと言わんばかりの声量で。だけどよく通る透き通った声で。

――うん。名前、知ってるよ。もちろんその名前は初めて聞いたけど。

 誰もが息を潜めていた。そのあまりにも無愛想で、挨拶にもなっていない、簡潔な自己紹介に対してじゃない。たぶん単純に、彼女がそこにいるだけで異質であるような、絶世の美少女だったからだ。
 誰もがそんな彼女の、次の一言を待っていた。
 彼女は口を開いた。

「星野一輝」
「――え?」

 なぜか僕の名前を呼んだ。クラス中の視線が、その理由を求めるように僕に集まる。そんな風に見られても、僕だってその理由が分からない。

「私はお前を壊すために、ここにいる」

 彼女は突然、そんなことを言いだす。

「これが13118回目の”転校”だ。その数には私もいい加減いらだっている。なので、今回は気晴らしに宣戦布告しておく」

 クラスメイトたちが呆気にとられていることもまったく意に介さず、彼女は僕だけをしっかりと見据える。

「星野一輝。私はお前を屈服させる。早々にお前の最も大切なものを、私に差し出すがいい。抵抗は無意味だ。なぜか? そんなことは簡単だ。私は――」

 音無彩矢は、微笑みを浮かべて、続きを言った。

「――どんなに時を経ても、お前の側にいるからだ」

「空ろの箱と零のマリア 1巻」pp10-18より

感想

まず先に一言だけ言わせてください。

もう、めっちゃくちゃ面白かったです!! あまりにもハマりすぎて、1巻を読み終わった後すぐに全巻買ってしまいました(笑) 

正直な話、読む前はそこまで期待していませんでした。というのも、今まで1度も聞いたことのないタイトルだったし、なんだかイラストからして昔っぽいイメージがあったからです。やっぱり昔の作品となると、少しだけ抵抗感が出てしまいます。

しかし、今までにないループの仕組みやその伏線の張りかたは見事なもので、先の展開が読めそうで読めない…………という焦れったい感じが私には堪りませんでした。おそらくこの本を読んだ人の多くが、”あれ”に騙されたことでしょう。ネタバレになってしまうのでここでは伏せますが、読んでいただければ私が言いたいことが分かっていただけると思います。

また、1人称視点の物語だったこともあり、比較的読みやすかったのも個人的にはよかったです。私のように、久しぶりに小説を読んでみたいという人向けには、丁度いい読みやすさでした。

(ちなみに一人称視点の作品といえば「涼宮ハルヒの憂鬱」が挙げられますが、他にパッと出てくる作品って意外と無いんですよね。何か面白い作品があれば、ご紹介していただけると嬉しいです)


…………にしても、物語の冒頭からものの数ページの間で、13188回もループしていたことには衝撃を受けましたね(笑) 

「Re:ゼロから始める異世界生活」や「STEINS;GATE」、「魔法少女まどか☆マギカ」などの有名な作品なんかは、”途中から”ループしていることに気づいて「おおっ……!」ってなりますが、
――ていうかそのパターンしかありえないと思っていたので、まさかこんな序盤でネタバレするとは予想だにしていませんでした。

本を読み始めて5分もしないうちに「大丈夫かこれ」と先行きが不安になったのは、後にも先にもこのときだけだと思います。

まあでも、そんな不安もどこかへ吹き飛んでいくほどこの作品は面白かったです。ループものが好きな方なら絶対ハマっていただけると思います。

またループものがそんなに好きじゃない人や、そもそもあまり読まないという方でも、ミステリー小説として見れば十分に楽しめる内容になっているので、ご興味がある方は1巻だけでも試しに読んでみてはいかがでしょうか。


<追記> 
最近になってようやく全巻読み終わりました。
結論から言いますと、1~4巻まではすごく面白かったです。私好みのストーリー展開で、その斬新な設定に何度も驚かされたりしました。きっと今アニメ化したらそれなりに流行ると思います。ていうかなんでアニメ化されてないんでしょうか?? 不思議でなりません。
ただ、5巻以降は、正直「う~~~ん…………(・_・;)」って感じでした。💦
1~4巻まではマジでオススメです。

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