「生理的早産」と子犬

こんにちは田中里枝です

音楽教室のブログとは違った内容を書きたいな

って時に書くこのnote

今日もどこに需要があるのかわからない話をします



今日はちょっと小難しくも感動し

世の中の「お母さん」まじハンパねえなって思った話です。



我が家は昨年末に戸建てに引越し

そのタイミングで子犬を飼い始めました。

ブリーダーさんからご連絡いただき、引越しした頃に

引き取るとちょうど良いぐらいに生まれてきてくれた

ミニチュアシュナウザーの女の子。


うちに来た時はやっと2ヶ月半を過ぎた頃で

明日で3ヶ月を迎えます。


私は週1、自分以外の教室で教えているの以外はほぼ在宅になり、

レコーディングや外での仕事が不定期にはいる以外は

家でレッスンをし、家で事務をし、家でなんかしらをしています。




……うん、めっちゃ寂しいな?!と思い、犬を飼うことを夫に提案しました。


(ちなみに私は犬かうさぎかリクガメ!といったのですが、うさぎとリクガメの案については触れることもなく消滅しました)



そうしてやってきた生後2ヶ月半の子犬、トトちゃん。



皆さんもご存知の通り、犬とは、というか大体の生き物は

生まれた瞬間から歩けるんですね

そして生まれた瞬間から水飲み機にいって水を飲んで

お腹が空いたらお腹すいたと訴えるし

構ってもらえないと拗ねるんですね



人間の赤ちゃんは所謂十月十日で産まれ

生まれた時は

快 or 不快

の二つの感情しか持ち合わせていません。

(と、言われています。)



また、哺乳瓶なり生身の乳首を差し出せば

反射で吸い付きますが、乳首をみて

「それは自分の空腹を満たしてくれるものだ」という風に認識するのは

とっても後になります。



ちなみにこの反射を吸啜反射といい、

乳首出なくても唇に触れたものにとりあえず吸い付き

お乳を吸うような仕草を見せます。

これは生後4ヶ月から7ヶ月頃まで続き、

その後、乳首という存在が

自分にとって空腹を満たしてくれるものであると認識し

おっぱいを欲しがるような動作がしっかりと出てきます


※何時頃から、というのは大きく個人差があります



多くの生き物は生まれた瞬間からある程度

成熟した状態で生まれてくるのに対して

なぜ人間は未熟で大人の手を借りなければ生きていけないのか。



人間が他の動物たちと同じような成熟度で生まれてくるためには

おおよそ21ヶ月の妊娠期間が必要だとされています。

21ヶ月!

じゃあ他の動物は?というと。



ハムスターの妊娠期間は14日ほど。

犬や猫は大体2ヶ月。


人間により近いニホンザルは160~180日のおおよそ半年

さらに近いチンパンジーは230日。8ヶ月弱といったところでしょうか


人間に妊娠期間が近いのは意外にも牛で9ヶ月半くらい。


クジラ・ラクダ・馬は約350日でほぼ一年。

キリンやシマウマは一年半。


最長なのは象で、

その妊娠期間は2年ほど。

平均寿命でいうと象は60年〜80年生きるのでその点は人間と近いですね


21ヶ月妊娠期間が必要な人間がどうして十月十日で生まれてくるのか。




それは二足歩行に切り替えたことに理由があります。

人間は進化の途中で直立二足歩行に切り替わり、その時代わりに脳を大きくすることができました。

その代償として、ぶら下がる内臓を支えるために骨盤底が生まれ

胎児を未熟なまま、出産することになったのです。



十月十日の妊娠期間の後、本来ならば胎児のままであったはずのおおよそ11ヶ月。

この時期をアドルフ・ポルトマンは「生理的早産」「子宮外胎児」と唱えています。


(幼児教育を学ぶと必ず出てくるこのアドルフ・ポルトマンですが、実際には幼児教育の専門ではなく、元々は鳥類の研究者で、そこから比較発達研究の分野に進んだ際に人間の赤ちゃんを子宮外胎児、と名付けたそうです。教育学者と間違えて記載しているHPの多さたるや…)


つまり、本来ならば子宮内で育つはずの時期を

わざと早く出産させ、人間のみが持ち得た大きな脳と

直立二足歩行で得た両手が使えるという機能を存分に使い

「子育て」の期間に含めたのです。



310日間ほどの妊娠期間を得て

その後の320日間は子宮外胎児として育てるということ!

(カンガルーとかコアラとか、育児嚢があって子宮外胎児として育ててますよね)


え、まって!世の中のお母さん、本当はあと倍以上お腹の中にいる予定だった赤ちゃんを家事して果ては仕事しながら育ててるの、尋常じゃなくない?


そうなんです尋常じゃないんです。

1歳未満で歩き出す子なんて珍しくありません。

本当はお腹の中で管理できる胎児のはずが、

自我を持って歩き泣いたり笑ったりする

半端ないんですよ。マジで。




「じゃあずっと抱っこ紐しておけばよくない?」

という意見がもしあったとしましょう




赤ちゃんを抱っこしながらだと、

・抱っこが嫌だと動き回り体制がくずれたら一巻の終わりという緊張感あふれる体幹の負荷

・寝ぐずりお腹すいたなんか嫌といった不快感による耳元での絶叫

など数え切れないサービスが付いてきます。

※個人差が大きくあります。大きく。



スクワットを負荷をかけながら。

ジムでお金を払ってしてる方もいますよね?

でもそれは自分が「したい」時に「したい」量できること。




育児・保育とはまさに「不条理の連続」であります。

自分が予期せぬタイミングでのアクシデント

MP持って行かれますよね。仕事ならもうこの会社付き合い切れないわ、と

転職することだってできます。


「自分で好きで産んだんでしょ?」

「赤ちゃん可愛いから楽しいでしょ?」


そうだよ。どうだとも。

しかし自分の時間は欲しいし、不条理もできるなら受けたくない!



…ねえ、世の中のお母さん、すごくない?


そう、私は既婚者ではありますが未経産婦。

子どものいない世帯です。

それが今回生理的早産「ではない」子犬を飼ってみて


おトイレはすぐには覚えられないし

おトイレしそうになってたのに夫の帰宅で興奮して(犬がね)

忘れちゃって、あ〜あ(笑)カーペットにしちゃった。なんてことも。


極め付けは夜泣きです

寝る時間が短く夜中に一度は起きてしまううちの犬。

リビングに誰もいないとなると大パニック

15分ほど放っては起きますが

心配になりチラッと伺うとしゃくりあげて涙は出てないものの

赤子のそれそのもの。


もう気管支に嘔吐物が混ざる音がしてきたので

すぐに抱き上げ、よしよしよし…


鳴いたらきてくれると思ってもらうのも困るので

ある程度でやめなくては、と思いつつも、

生まれてきてまだ3ヶ月、うちに来て2週間だもんなあ。など。


でもね、お留守番ができるんです

少しの間放っておいても死なないんです

※トイレシートに引っ掻き防止の網をかけておかないとすぐに引っ掻いて吸水ポリマーを美味しくいただいてしまうのでもちろんある程度の配慮をした上で


水も自分で飲みに行くし

一人で遊ぶし

一人で寝るんですよ。


子犬は赤ちゃんであって赤ちゃんではない。

人間の赤ちゃんは赤ちゃんであるが胎児である。



子宮外胎児をお育ての世のお母さんに敬愛を込めて









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