オンラインレッスンのあれこれ

こんにちは!
canvas音楽教室という小さい音楽教室を
必死に経営している田中里枝です。


この状況により当教室もオンラインレッスンにもちろん対応しているのですが
オンラインレッスンのいいところ、わるいところ
お話ししたいとおもいます。


先に結果を言うと皆さんが多分思ってることと違う展開になります。

(と、思います)



⒈オンラインレッスンのデメリット


どんなに避けても通れないのが


【生徒に直接感覚を伝えられないこと】

例えば、画面越しに弾いた生徒が
オクターブ違いで演奏し始めた場合、
通常だったら「こっちのドから初めてね!」
と指差すだけで終わりですが

画面越しの生徒に「こっち」は伝わりません。

一点ハのドから初めてね!で伝わる生徒さんなら問題ないですが
多くの生徒さんは幼児や児童であり

ほとんどの生徒さんが手探りで
88鍵の中から適切な鍵盤を選ばなければなりません。

あえてこの状況を高低差を聞き取る練習とする時もありますが、その分楽曲に回せるレッスン時間は短くなります。


また、指番号を間違えて弾いている場合
さりげなく指をトントン、こっちだよ、と教えてあげるだけで済むのが
「その指、違うよ」と言葉にして否定しなければなりません。

この【直接、感覚で伝えられないこと】が
私のレッスンで及ぼしているのが
「自己肯定感の育みの阻害」です。

言葉にして「違っていることを指摘」されることで
ちょっとしたミスや、いつもなら大したことない間違いも、「とんでもない間違いをしてしまった」と思ってしまう生徒さんもいます。

また、オンラインレッスンでは子ども向けのレッスンの場合、
保護者のデバイスを使ってのレッスンが多く、必然的に保護者と一緒にレッスンに参加することになります。

感覚的に補助できない、トントンと教えてあげられない部分の多くを
横にいらっしゃる保護者の協力で補えています。
オンラインレッスンに際し、生徒の年齢が若けれ若いほど保護者の協力は必須であり
わたしも常に感謝の気持ちでいっぱいです。

しかしその面で保護者にも、先生にも指摘される形となり
ひどく落ち込む結果になったり


また、反抗期や思春期などの生徒さんの中では保護者の方に指摘されたりレッスンの同席を嫌がる生徒さんもいます。


ここがオンラインレッスンで1番の難所だな、と痛感しております。


2つ目は
【即時性の限界】です。
例えば、1つの楽曲を終えた際には
わたしが即興で伴奏を弾きながら
連弾、アンサンブルの楽しさや
より楽曲を楽しめるようにしています。

まずこれがオンラインレッスンではできません!!!笑笑

そのため、課題的には両手で単旋律を頑張って弾いている生徒たちにとって
「この曲はどんな感じだったのか」
が非常に掴みにくい状況になります。

また生徒へのアンケートで
「最後に一緒に弾いてくれると、凄いいい曲を弾けるようになったんだ!って思う」
という意見が多々あり、
音楽を奏でる喜び、できた嬉しさ、というのを
さらに増やしてあげられているんだな、と実感していたのですが
それが難しくなります。


また即時性の限界、という面では
『リトミック』の技法が多くレッスンにて用いられなくなる、というデメリットもあります。


リトミックとは、「ピアノの前段階のもの」
という誤った認識が日本で知られていることが多々ありますが
そもそもリトミック自体が深く音楽を理解するためのメソッドの1つであり、
『音楽を理解する、学ぶ』という事の常に隣にいる、そんなメソッドです。

実際私のレッスンや、リトミックをきちんと学ばれた先生のレッスンで
ピアノの演奏で行き詰まった際には
よく椅子から降りて身体を用いて楽曲を理解するメソッドを行い、
再び椅子に戻って弾く
という光景を繰り返し見ることがありますが
リトミックのメソッドの多くが即時性を要するものが多く、オンラインレッスンでは現状難しいです。

もちろんそうでなく、取り入れられるものもありますが…

そのため、リトミックのレッスンに限ったレッスンは現状休講せざるを得ない状況にあります。


Twitterやインスタ、ブログなどで
[zoomやLINEを使用しての多人数の乳児リトミックを開講して大成功!]
と発信されているお教室様をお見かけしますが、
エミール・ジャック=ダルクローズ著
『リズムと音楽と教育』のページ番号も振られていない
「序〜我が友アドルフ・アッピアに捧げる〜」
をお読みいただければそういった形式のレッスンは
ダルクローズ式リトミックでは無い、
ということがお分かりいただけるかと思います。

画像1


そんなこんなでデメリットを2点挙げましたが
ぶっちゃけそのくらいです。
次に良い点を上げていきます。



⒉オンラインレッスンのメリット


【生徒の練習の様子がわかる】

これが、初めてみてから気が付いたんですが
オンラインレッスンを実施するにあたり、当たり前なんですけど
生徒さんの自宅のピアノで演奏するんですね

なのでどんなピアノで
どんな部屋で
どんな椅子に座って練習しているか

今まで知らなかったことが見えてくるんです


何回か手の形などを指摘した生徒さんは
ただ自宅のピアノ用の椅子が低すぎただけだったり。


椅子が深く座らないと収まりが悪い椅子で
レッスンの際も深く座っていた、とか。



本当に当たり前なんですが、私たち講師はご自宅での練習環境を覗いてみることはできません。

それが今回、オンラインレッスンということで練習環境を少しアドヴァイスするだけで治ってしまった癖がたくさんありました。



【自宅でのレッスンでピアノに向かう敷居が低くなる】


これまた予想していなかったメリットなんですが

今まで教室に通っていただいて、ピアノを弾いて、
お家に帰っておしまい!だったのが
レッスン終わった瞬間に、自宅のピアノに座っている。

「レッスンの時にうまく弾けなかったアレ、練習してから」
という癖がついた!と、保護者の方から声をいただきました。


確かに、オンラインレッスンになったら譜読みが早くなった!
という生徒さん、実はたくさんいます。



「忘れないうちに練習できる」

鉄は熱いうちに打て

フィードバックはすぐにやれ

ってやつですね。



また、自宅のピアノに触れる機会が多くなり
練習そのものの敷居が低くなった!とか

実はピアノ出しっ放しじゃなくていちいち閉まってたのを
毎週オンラインで出さなきゃいけなかったので、もう出しっ放しにしました!

(いや閉まってたんかーい😂)

ちょっとした時間に「じゃあピアノ練習してるわ!」ということが多くなった…

などなど



そしてこの2点のメリット、めちゃめちゃ強くないですか?
今回オンラインレッスンを実施してみて、本当に良かったな、と感じています。


⒊オンラインレッスンの品質向上に向けての対策と取り組み




しかし気になるデメリット部分。

田中はこのようにして対策しています。



自己肯定感を育める行動を意識する


⑴リアクションは死ぬほど大きくとる

コミュニケーションがどうしても取りづらいオンライン
弾いてるそばから頷きまくります。

「そう!!」

「いいね!!!」

さらには画面いっぱいにまるポーズ🙆‍♀️

ちらっと生徒さんが見た瞬間、「えっ大丈夫かな」と心配にならないように
一目で「いい感じだよ!!!!続けて!!!!!」がわかるように。

もはやボディランゲージです。

これ教室内でやったら本気で暑苦しい先生です。
そのため、通常のレッスンより体力の消耗が激しいです。



⑵小曲をたくさんこなす

今現在やっている教本が生徒さんの実力に対してどのくらいのレヴェルの教本であるか、にもよってしまいますが

知っているフレーズ

有名なフレーズ

8小節どころか4小節の時も。

今週の弾けるかな?コーナー!みたいな感じで出しています。


ファミリーマートの入店音

マクドナルドのポテトが揚がった音

生徒さん家のお風呂の音

今日のお昼ご飯のメニューを即興で曲にしたもの


なんでもいいのでちょっと練習すると弾ける曲を用意して
毎回必ず何かははなまるになる。

少しでも自己肯定感、ピアノへの自信に繋がるように。

別に曲じゃない時もあります。リズム打ちとかね。


そして、保護者の方には赤で大きなはなまるを書いてもらうようにお願いしています。
だんだん溜まってきたはなまるのついた紙ペラの譜面たち。
子供たちは大事にファイルに閉まってくれています。

(ありがとう、素直で可愛い教え子たちよ…)



自己肯定感を養うレッスン、というのは私が教室を設立した
また、田中里枝が音楽講師になって
当初からの大きなねらいの一つでもあります。



学校もないから遊んでばっかりで…と言われても
ピアノはちゃんとやってるよ!と言える、(笑)
そんなオンラインレッスンとの向き合い方をいつも考えています。



まだまだあるんですが、ご紹介しすぎて
私のネタがなくなってしまうので…
(こう対策してますと上記した癖に、紹介と言えるほど引き出しはない)




さてさて、デメリットの点で紹介した

「自己肯定感を育みにくい」ですが

講師側のちょっとしたテクニックで、カヴァーできるとなると
実はオンラインレッスンのデメリットって思ったほどではない、
というのが私個人としての見解です。

なんならメリット案外多くてびっくり。

また、オンラインレッスンではコミュニケーションの取り方が難しいため
当初30分レッスンを45分レッスンにしていました。
しかし、適応能力の高い子どもたち!
あっという間に慣れて、いつも通りのレッスンができるようになりました。

3回目くらいからは通常通りのレッスン時間で
レッスンすることができるようになってきています。



しかしこれはオンラインレッスンが「可能な生徒」にしか通用しません

幼児の生徒さんや、
まだ通い始めでピアノがご自宅にない生徒さん
また、レッスン中に保護者の方の補助は必須な年齢だが、
それが難しいご家庭など

オンラインレッスンが不可能な生徒さんのレッスンは止まったままです。


1日でも早くみんなとレッスンできますように。

それにつきます。


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