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愛とワイン

何だか大げさなタイトルになっちゃったけど、あるできごとの忘備録。


3月に人生初の演出の仕事でメルボルンに行った。予算を丸投げするから、自分で飛行機も宿も見つけて来てくれ!というやり方だった。飛行機代・宿代を節約すれば、その分ギャラが増える。もちろん、できるだけ安い直行便(お金も節約したいけど、時間も節約したいので)を選び、宿も稽古場に歩いていける範囲をAirbnbで探した。

たまたま条件に合った宿が、大当たり!公園に面した部屋で氣持ちいいし、おしゃれだし、おいしいパン屋まで徒歩1分だし、しかも大家さんが同業者だった!正確に言うなら、プロデューサー、でも元々はダンサーだったそう。自分も仕事で世界各地を旅していてAirbnbを使い、逆にいつかアーティストが泊まってくれる日を夢見てAirbnbを始めたそうだ。そして、僕がその第1号になった。

ある晩、大家さんが家に親友が来るから一緒に晩御飯をどう?と誘ってくれた。その親友さんもアート界の人だったから、会話が弾む弾む!しかも、よくよく話したら、大家さんは何とフィジカルシアターのプロデューサーだった!お互い何度か同じフェスティバルに参加していただけでなく、僕は彼女の関わった公演を見ていたし、共通の知人もいた。

ご飯も済み、ワイン片手に公園を望むバルコニーに移り、夜は更け、パフォーマンスの本質的な話になった。

「愛が大切だよね」って。

僕も慌てて同意したけど、この何年か、ちゃんと意識したことなかったよなあと猛省した。

1人で大道芸をやっていた20代の頃、パフォーマンス中にいつでも意識できるよう、自分の手の甲にボールペンで「愛」って書いてさえいたのに、、、。

またソロ活動が始まった、まさにこのタイミングで、とても大事なことを思い出させてもらった。


その時に飲んでたワインが写真のワイン。そんなに高くないのにおいしいと、大家さんはストックしていた。その後、ロックダウンが始まるからと帰国を余儀なくされた。最終日、お土産に絶対にこのワインを買おうと、探し回った。でも、巣ごもりに備えた爆買いで、同じものが見つからず、諦めて泣く泣く似たようなやつを買って帰った。ところが、大家さんがその話を聞いて自分の最後の1本と交換してくれた。感涙。

それを昨日開けた。あいかわらず、いや、思い出の分、よりおいしく感じた。


ケッチ

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