見出し画像

詩)特別

自分は特別なんだと思っていた
オンリーワンでスペシャルだと
その他大勢、一掴みいくらの人間とは
違うと信じていた

長い間生きてきて勘違いに気付かされる
いや、気付いたと言うより認めざるを得なかった
こんな事自体、誰もが経験するわけで
要は早いか遅いかだけだ

自分しか写っていないフレームを
少し引いてみたら周りに人がいて
もっと引いたら自分の周りに人がいると言うより
自分自身が誰かの周りの人になっていた

確かに見た目も中身も匂いも
他人とは違う
全く違うわけじゃなくて
誰かと誰かを足して2で割ったような
色々ひっくるめて
自分にしかないものなどない人間だ

自分という物語の主人公ではあるものの
何か特別な力がある訳ではなく
拍手喝采を浴びるヒーローでもなければ
悲劇のヒロインでも
忌み嫌われ怖れられる悪役でもない

自叙伝を書いても盛り上がりもなく
何行かの箇条書きで終わってしまいそうだ
一言で言えば凡庸な人間なのだ

それでも、
自分という物語の主人公である以上
物語を進め、
いつかは幕を引かなければならない
幕を引くまでにいくつかは
太字で書けるエピソードは作れるのだろうか


この記事が参加している募集

スキしてみて