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松本晃のマネジメント論

・従業員が育たないのはトップの責任

・環境を作るためのポイントは任せること 目的と権限を与えて、後は従業員自身にやらせること

・プロジェクトを立ち上げてリーダーを選ぶ プロジェクトの目的やリーダーの人選、権限はトップが決める ポイントはプロジェクトのメンバーを絞り込み、リーダーの責任を明確にすること

・任せっぱなしでなく、1年以内に芽が出なければ打ち切るべき

・採用のポイントはトップ自身が採用基準を持つこと 基準とは世の中のルールを守れる倫理観があること 例えば約束の時間を守れるかどうか 時間までに来なかった人は、どんなに優秀でも採用しませんでした 
次は地頭の良さ 正解のない問いを投げかける そしてコミュニケーションスキル 面接を終えた後でまた会って話をしてみたいとあなたが思えれば、スキルがあると考える 一回会っていいかなと好印象を持った人とは必ずもう一度会う 会うたびに印象が良くなる人は、入社後も周囲からの評判が高かった 

・昇格降格の基準を決める際のポイントはシンプル、デジタル、コントラクチャル 事前に数値目標を定め、結果を極力、数字で判断することです

・間接部門、人事部だと、今年の新卒採用は●人 一年以内の離職率を●%以下に抑えるなど

・期初に今後一年で達成すべき数値目標を明記した契約を上司と交わす

・トップから先に従業員に声をかける 日頃から話しやすい雰囲気を作っておけば、トラブルなどがあった時に部下がすぐ相談してくれる

・危機対応のキープロセス 顧客優先 速やかな情報開示 経営幹部による率先垂範 スピード対応 再発防止及びビジネスの再構築

・決議をしない会議はやめるべきです 報告だけなら今時メールで伝えられるし、そのほうがはるかに効率がいい 開始時刻と終了時刻を決める 資料は2日前までに出席者に配布 出席者は会議前に必ず資料に目を通す 会議を減らして外に出る時間を確保する

・なぜ働き方改革を進めるかといえば、今より成果を上げるため、ひいては社員が豊かになるため

・生産性の高い働き方をするうえで大切なことは、能力をあげること 勉強するためには時間を作らなければいけない そのために成果に繋がらないつまらない仕事をやめる

・個人レベルで働き方改革を進めるうえで意識すべきことは、早く起きて、早く仕事をしに来て、早く帰る

・本は月に4~5冊読んでいます 歴史上の人物で好きなのは織田信長です

・まず業績が低迷している原因を人に求めず、仕組みに着目しました 前任者を否定して人事を刷新する経営者もいますが、なんの意味もありません

・各指標の成長をみています 利益の成長、売上の成長、EPS(1株あたり純利益)の成長 あとは工場稼働率、製造原価率、マーケットシェア それくらいですよ 指標が多すぎると知恵が出てきません

・数字は正直です 急に増えたり減ったりする現象には、必ず理由がある それはなんなのか 自分で仮説を立てて、現場に行って検証する 仮説が正しければ、それにそってアクションを起こす これも単純なことです

・いまは指標を減らした「ダッシュボード」に変えました 車のダッシュボードは計器が少ないですよね ドライバーが確認しているのは、スピードメーターとガソリンの量くらいです 

・社長になりたかったのはなんでも自分で決められるから 社長になってからは、社員に任せるのが僕のスタイルになりました もちろん「握る」こと、つまり目標に関して契約しておくことは必要です 後は全部任せて置いたらいいと思っています

・仕事を任せること、権限を委譲すること それが社員を成長させる最良の方法

・経営者がハンズオンでやらなければならないことはある 例えば、危機管理 しかし、ほとんどのことは社長が直接やる必要はありません

・企業の場合は単純で、基本的には給料が上がることがモチベーションになります。そのモチベーションをより具体化するにはどうすればいいか 最初に給料をあげればいいんです 「成長したらもっと給料を上げるよ」と伝える

・「朝三暮四」という中国の故事があるでしょう 猿に「餌を朝3つ、夜4つやる」と言ったら怒ったので、「では朝4つ、夜3つやる」と言ったら喜んだという話 人間も猿に似たようなものです

・変革というのは既得権益を剥奪することです 例えばダイバーシティー これは端的に言って、男性から既得権を剥奪することです しかし、組織をよくしたいならば、トップはそれをやらなければならない

・経営トップの期間は8年が最適 10年じゃ長い 権力は10年で必ず腐敗するというのが僕の持論です 最初の2年で変革の方向性を固めて、次の2年で変革を実行して、その次の2年で完成させる だから本当は6年でいいんだけれど、それだとやりきれず消化不良になる可能性があります それで、社長を辞めた後で会長職として位が残ったりすることになる しかし、8年あれば全てをやりきることができます

・私は後継者を育てません 任命もしません 自分で育てたり、選んだりすると、その人に面倒見てもらいたくなるでしょう そうすると、その会社との繋がりが続いてしまう だから、私は後継者選びには関与しません。引き継ぎ書も書きません 

・13科目とは、経理、法律、英語 それから人事、総務、マーケティング、IT(情報技術)、財務、製造、営業、品質、プレゼンテーション、一般教養です

・社長は、何かを専門分野を持つエキスパートではなく、ゼネラリストでいいんです だから知っていなければならないことが当然多い それで13科目もあるわけですが、どれも等しく重要というわけではありません 特に重要なのは最初の3つ「経理、法律、英語」です 残りの10科目は、基本的な知識だけ押さえておけばいい 試験にたとえるなら、60点ぐらい取っておけばいいんです

・人事の仕事は、採用、教育、制度作り、リテンション(人材の引き留め)、ターミネーション(雇用契約の解除)の5つです 採用は優秀な人材を採ること その優秀な人材を徹底的に鍛えるのが教育です 人が活躍するにはモチベーションが大切だから、モチベーションを上げるような制度作りもしなければなりません そして優秀な人材が辞めない仕組みをつくるのが、リテンションです 逆に、会社に貢献しない人には去ってもらわないと困る これがターミネーション この5つを理解し実践しないと、経営者として成功しません

・「伊藤忠では社長にはなれないな」とも思っていました 僕は京大農学部の出身で大学院も農学研究科でした なぜ農学部を選んだか 当時、京大の学部で一番入りやすかったからなんです それで自分では「二流学部の出身」というふうに思っていて、伊藤忠のような会社でトップになる可能性は限りなくゼロに近いだろうと考えたんです だから「45歳まではこの会社で働き、辞めてどこかの会社の社長になろう」という青写真を描いていました 45歳で辞めたのは、突然思い立ったわけではないんです

・よさそうな会社だと思って入ってみたら、自分の価値観と違うことに気づく せっかく入った会社を簡単に辞めてしまう それは本人にとっても会社にとっても不幸です でも、それは辞めるほうが悪いんじゃなくて、ビジョンを示さない会社が悪い 僕はそう思いますね

・10の考え方
1.Commitment & Accountability(C&A=約束と結果責任)
2.人の評価はFair(フェア)に
3.会社は「厳しく」「あたたかく」
4.現状維持是即(これすなわち)脱落
5.正しいことを正しく
6.No Meeting, No Memo(ノーミーティング、ノーメモ)
7.One Dollar-OUT(1ドル-アウト)
8.すべてのコストは顧客が負担
9.報告の3原則 トラブルはすぐ報告せよ、悪いことから報告せよ、ウソをつくな
10.業務の3原則 簡素化、透明化、分権化

・約束は、誰と誰がするのか 上司と部下です カルビーではC&Aを徹底するため、上司と部下の間で契約書を交わすようにしました 契約ですから一方通行ではありません 2人で話し合った結果を契約書に書いてサインする そして1年後、約束を果たしたかどうか確認するわけです

・「数字で評価するのは、営業のような分野なら簡単だけど……」という声が聞こえてきそうです でも、人事や総務の仕事だって数字にできないことはありません たとえば、人事だったら、「来年は優秀な新卒を30人採ります」と契約書に書けばいい 「社員の英語能力テスト『TOEIC』の平均点を30点上げます」でもいい 何だっていいんです 数字にできないものは、世の中にはめったにありません

・会社を大きく変えようと思ったら、トップダウンで、いろいろな抵抗勢力と戦わなくちゃいけない 一番大切なのは、トップが強い意志を示すことです 「ガタガタ言わずにやれ 嫌なら辞めろ」というくらいの強いメッセージを発する そうしないと勝てません

・株式会社には株主がいます 大企業になればなるほど、その数も多い その株主一人ひとりが経営に直接口をはさみ始めたら、経営者はお手上げです たとえて言うなら、1億2000万人の日本人が首相官邸に押し寄せて陳情するようなものです それでは国も対処のしようがありません だから選挙で国民の代表を決めるんです そうして選ばれた代表、つまり国会議員が、国民に代わって政府に物申す所が国会というわけです
会社も一緒です 株主全員にはとても対応できないので株主の代表を決めます その代表が取締役です ですから取締役の仕事は、株主を代表して会社に物申すことです 株主総会で取締役を選任するのは、単なる手続きではないんです

・昔、プロ野球の巨人は外国人選手を使わず、「純血主義」なんて言われました 長嶋、王の時代はそれでも強かったんですが、今そんなことをしたらボロ負けしますよ サッカーのJリーグは、お金がないからヨーロッパの国の一流選手を呼べない 呼べるのは、楽天の三木谷浩史会長ぐらいでしょう 一流の外国人選手を呼べないから、他国のプロチームと試合をしてもなかなか勝てない 勝てないと人気と収入を伸ばす機会を逃してしまうわけです

・評価の尺度を成果以外にしたらどうなるか 結局、好き嫌いの世界になってしまうのです そうすると組織は絶対ダメになる 人間だから好き嫌いの感情があるのは当然としても、評価は全く別物にしないといけません

・「あいつはいい奴なんだ 打たないけれど仕方がない 3番でサードを守らせる」こんなことを言う監督がいれば、そのチームは負けるに決まっています 会社で言えば、そういう評価のやり方で、皆が不幸になります

・僕は人事の季節になると、ずいぶんやかましく言います。「マネジメント(経営層)を選ぶというのは本当に大変な仕事だ」とね 監督が悪いとチームは負けます 弱い監督、弱いマネジャーがいたら、そういう人物を偉くしてはダメなのです きちんと組織を運営し、管理し、伸ばしていくことができない人をポストにつけてはいけないのです 性格がいいとか、悪いとかいう問題とは関係ないのです

・僕は昔から「上は3年で下を見、下は3日で上を見る」と言っています 上司が部下を知るには3年かかり、部下は3日で上司を見抜くということです 周りの人は、よく見ていますよ

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