殺さない彼と死なない彼女

間宮祥太朗、桜井日奈子出演「殺さない彼と死なない彼女」


冒頭間宮演じる主人公小坂は1年留年しており、周囲とも距離を取っていた。最後まで留年した理由は明かされなかったためそこは特に重要ではないらしい。人当たりが強く、「うるせえ、死ね」、表情が少なく、淡々としている印象。桜井日奈子演じる鹿野は「死んでやる」が口癖でリスカを繰り返している。
しかし不思議と2人は一緒にいる時間が増え、笑いあう時間も増えた。
「アイス食べるか」の一言から始まった二人の時間。
いびつな二人の関係だったが互いに離れることなく、毎日を過ごしていた。

2人の他にも堀田真由演じるきゃぴ子、垣松祐里演じる地味子、箭内夢菜演じる大和撫子、ゆうたろう演じる八千代、それぞれの物語も進んでいく。

きゃぴ子は誰にでも愛されたい、自分が可愛いと思っているが、なんだか憎めないキャラ。堀田真由さんが演じているというのも、個人的には評価が高いポイントなのかもしれない。堀田真由さん本人がまとっている穏やかなオーラも、憎めないキャラになっている要因のひとつだろう。
きゃぴ子の横にいる地味子。地味子とは幼稚園からの友人。でも決して地味子を馬鹿にするわけでもなく、自分の引き立て役にしているわけでもない。地味子もきゃぴ子にかわいいと言うが、本当にかわいいと思っているし、でもはっきりときゃぴ子に物を言う時もある。
この互いの関係は、いいな、と個人的に思う。

実は小坂&鹿野のシーンと地味子&きゃぴ子/大和撫子&八千代のシーンは最初は同じ時だと思っていたが、実は小坂&鹿野のシーンだけは過去の話だった。それが終盤に、「殺さない彼と死なない彼女」の本当の意味を知ったと同時に知る。



以下、ネタバレ含むので閲覧注意。





「衝撃のラスト」という文言から察してはいたが、君の膵臓を食べたいと似たような結末。タイトルの本当の意味。彼は誰も殺さない。彼女「死なない」。彼が死んだ。

今までの話が全部過去の話で、大和撫子は大学生になった鹿野に救われていた。そして鹿野が言った「未来の話をしましょう」と、八千代にも言う。小坂に自分が救われた。彼が死んだあと、鹿野は自分と同じように見えた大和撫子を、小坂に救ってもらったように「アイス食べる?」の一言から大和撫子を救った。
彼はもういない。でも、夢で彼に言われたことを堅実に守り、前を向いて生きていく鹿野の変化に心を打たれた。

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