「ボソッとドラマ感想会:若草物語ー1」
価値観というものは結局主観でしかないんだなぁと、そう思いました。
結論、面白かったです。
主人公は恋愛アンチの町田涼ちゃん。そしてその姉妹たち。
このドラマ、最初は姉妹のほのぼの恋愛ドラマかと思ってたんですが、結構違いましたね。
昨今言われている原作改変問題。
その過程をまるっと見せてくれた、アツいお仕事ドラマです。
今回の敵(?)役、脚本家の黒崎さん。この人は売れっ子の脚本家なようで、おそらくオリジナルドラマをよく作ってるっぽいです。
黒崎さんは黒崎さんの価値観で「女性」を語り、脚本を書きます。
そしてその内容は、涼ちゃんの価値観とは大きくズレていて、結果、涼ちゃんは涼ちゃんの価値観に従い、勝手に台詞を変更してしまいます。
第1話のあらすじはこんなもんです。
仕事上のプロセスについては、私は素人なので一切分かりませんけれど、実際の現場でもこんな風に、監督の価値観次第で台詞が変わってしまうことがあるのでしょうか。
今回の場合、原作者は黒崎さんです。
「女性としての意見が欲しい」と口では言っていても、結局自分の中では答えが決まっていて、誰かが意見を言ってところでそのほとんどは聞き流されるだけでしょう。
そんな黒崎さんは、「女性は恋愛してなんぼ。結婚が女性のシアワセ」という「古い価値観」の典型例を示してくれます。
私はそもそも、古い価値観が全て悪いもの、なくすべきものとは思いません。男同士、女同士で恋愛してたって子供は産まれませんからね。見てる分には非常にステキだし良いと思いますが、自由恋愛の果てなんて少子化と人口減少しか待ってませんからね。はっ...。私は一体なにを...?
古臭い価値観の黒崎さんに対し、涼ちゃんは早速自分の価値観をブツけます。価値観の殴り合い、主観の戦争です。
この戦争では涼ちゃんは負けてしまいますが、どうしても気になってしまった結果、涼ちゃんは現場での台詞変更に踏み切ってしまいます。
この辺りの展開が、まさに原作改変の現行犯といえるのではないでしょうか。
黒崎さんについてですが、私はずっと、「黒崎さんの価値観」と表現していますが、彼はどっちかというと自分の言いたいコトより大衆受けに重きを置いて脚本を作っているきらいがあります。実際、黒崎さんはいつも「マス」を主語にして主張をしていますし、涼ちゃんの事を「少数派」と呼んでいます。
一方、涼ちゃんは自分の言いたいコトを言いてくてしょうがないって感じです。彼女の主語はいつも自分です。ラストの論破パートも、別に論破できていませんしね。
「普通にいるんじゃないですか?恋愛も結婚もしなくても幸せな女性も」
そりゃいるでしょうよ。でも、それは台詞を変える理由にはならないし、それってつまり「恋愛や結婚をすることが幸せな女性」の肯定でもありますよね。
そしてなにより、黒崎さんのドラマで涼ちゃんの主張を反映させる必要は全くありません。
ラスト、涼ちゃんは「脚本家になってやる!」と捲し立てていますが、そうだ。君は脚本家になるべきだ。
私としては涼ちゃんの価値観に賛成なので、是非そういうドラマを作っていただきたい。
それに、いちいち自分の価値観に合わない台詞を修正する現場監督なんて、正直迷惑でしかないでしょう。
今は涼ちゃんが若いし、経験も浅いから立場が下みたいになっているだけで、経験豊富なベテラン現場監督が涼ちゃんと同じムーヴをかましたら、もう誰も止めることはできません。
クソみたいな恋愛要素を入れられた「ミステリと言う勿れ」とか、直近だと「ブラック・ジャック」とか。
言い出したらキリないですが、そういう酷い原作改変も、もしかしたら本当の悪は脚本家でなく現場監督だったりするのかもしれませんね。
とか言って、ホントのホントは、火中の「脚本家」から目を逸らさせる意図があったりして。